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糖尿病内科医のマニフェスト(衆議院議員総選挙時)|名古屋糖尿病内科 アスクレピオス診療院|名東区の糖尿病専門医

糖尿病内科医のマニフェスト(衆議院議員総選挙時)

糖尿病内科医のマニフェスト(衆議院議員総選挙時)|名古屋糖尿病内科 アスクレピオス診療院|名東区の糖尿病専門医

糖尿病内科医のマニフェスト(衆議院議員総選挙時)

公開日: 2019年4月29日

最終更新日: 2020年6月4日

2017年9月の第48回衆議院議員総選挙の時に作成したマニフェストです。

SEO対策のためにアップしました。

もしご興味があれば、読んでいただけると幸いです。

政策の基本理念です。
1.将来にわたり維持可能な社会をめざす。
2.生来の人間の性質に沿った自然法に準じた社会をつくる。
3.機会は平等、結果は能力。成果は程よく分配する。
4.現在の福祉ではなく、次世代への投資を優先する。
5.寝たきりで長生きするより、元気なときの人生の質を重視する。
6.科学的な知見と客観的なデータを重視し、理性的に判断する。
7.若者には機会と未来を。働く人には生活保障と安寧を。
経営者には失敗しても挽回できる環境を。
高齢者には人生の終わりまでの見通しと安らかな終焉を。

基本理念についての説明
1.将来にわたり維持可能な社会をめざす。
お金の使い道は人となりを表します。
お金の使い道を見れば、その人の価値観や生き方などがわかるものです。
残念なことに、日本国のお金の使い道である国家予算をみると、今の日本は、「後先考えずに、種もみを食べる農民。」という表現が相応しい国になっています。
社会福祉には、将来への投資になるもの(例:少子化対策・労働者向け)となりにくいもの(例:高齢者向けの医療・介護など)があります。
また、社会福祉は、経済成長の果実として享受するものであり、将来への投資を済ませたあとで分配すべきものです。
これまでの日本の予算配分をみると、高齢者・障害者向けの福祉を拡充しつづける一方で、将来への投資である教育費や家族・労働者向けの福祉は、先進国の最低水準のままで放置してきました。
加えて、日本の将来を支える基礎研究を担う国立大学の予算を減らしつづけるなど、科学技術の振興を軽視し、被引用度の高い論文数の順位(≒日本の基礎研究の国際競争力)は、2002~2004年の世界4位から、2012~2014年には世界10位となり、スペインより下位になりました。
現在の方針は、将来への投資を限界まで切り詰めながら、高齢者への福祉を拡張しつづけている末期的な状態と言えます。
さすがに、この状況を放置しつづけると、日本は破綻してしまうでしょう。
ここまで状況が悪化した背景には、日本にとって必要な処置をせず、問題を先送りにしながら、支持者や支援団体に対して、厳しい事を言わなかったためと思われます。
次に、これからの日本の方針は、「現在の福祉から将来の投資へ」とかえる必要があります。
具体的な手順としては、はじめに、高齢者・障害者向けの給付を適性化し、予算を捻出します。はじめに、終末期の医療改革により、自然な看取りをすすめ、呼びかけに反応のない寝たきり高齢者等への過剰な医療給付の制限から始めていくことになるでしょう。
そして、労働者の雇用や生活の安定、家族向け福祉や少子化対策の拡充、新しい知的産業時代に適した人材を育成する教育、科学研究体制の充実 などの未来につながるものに予算を優先して配分します。

2.生来の人間の性質に沿った自然法に準じた社会をつくる。
ヒトは、言語を話し、社会を形成する動物です。
維持可能で住みやすい社会をつくる際には、ヒトの動物としての側面を無視することはできず、生物的な側面に配慮した社会づくりが必要です。
生物的な側面を配慮した社会づくりの例として、男女共同参画社会を挙げます。
現在、男女の性別に応じた役割は否定されていますが、現実的に、男性と女性では、生来の特性や嗜好は異なっており、一生のライフステージにおいて、女性にしかできない出産や授乳などの仕事が存在します。
我が国の男女共同参画社会とは、諸外国のように男性社会に女性を組み込むことで、男女に等しく役割を分配していくことではなく、男性の社会と共に、女性の社会を築いていくことを目指すべきでしょう。
(*男女の役割を性別により固定していくのではなく、男女平等に凝り固まらず、性差を考慮しつつ、柔軟に政策を立案します。)

3.機会は平等、結果は能力。成果は程よく分配する。
平等には、機会の平等と結果の平等の2種類があります。
日本では、平等とは、機会の平等を指すのか、結果の平等を指すのかが曖昧になっています。
一見どちらでも良いように思えますが、結果の平等を目指した場合には、不平等感が蔓延し、全体の質は低下する事すらありえます。
これからの我が国では、「機会は平等、結果は能力」の国を目指すべきと思います。
しかし、世の中には様々な人々がおり、能力と結果のみに応じて、お金や資源を分配すると、資本主義の特性上、貧富の差は著しく拡大し、不安定な社会になります。
今の世は、物不足の時代ではなく、飽食の時代です。人ひとりの消費量には限りがあり、誰かにお金を集中させても、ものを買える人がいなければ、経済は回りません。
社会の安定と経済の活性化を目的として、成果は程よく分配します。

4.現在の福祉ではなく、次世代への投資を優先する。
1.に記載しました。

5.寝たきりで長生きするより、元気なときの人生の質を重視する。
これまでの日本では、年齢に関わらず、終末期まで濃厚な治療がなされていました。
超高齢者が寝たきり状態で生命を維持するためには、多額の費用(例:標準年金支給額 約270万円/年/夫婦、医療費 75歳以上 約91万円/年、介護費(支給限度額 要介護5 約433万円/年 合計は本人負担分を考慮し、概算で約600万円/年 程度))が必要になります。
日本の高齢化率は上昇し続けており、現在の現役世代に負担を転嫁する方式では、社会の維持は徐々に難しくなります。
これからの我が国では、寝たきり状態で多額の給付を受けるのではなく、寿命は短くなるものの、終末期はほどほどのところであきらめ、元気なうちの生活の質を重視していくべきです。

6.科学的な知見と客観的なデータを重視し、理性的に判断する。
社会政策には、アートの側面はありますが、科学的な根拠がある場合には、科学的な根拠に基づいて定められています。
為政者は、各政策の責任者であり、各政策の是非を判断していますが、物事の判断には、該当分野の専門知識に加えて、複数分野にわたる統計学などの幅広い科学的な基礎知識が必要です。

7.若者には機会と未来を。働く人には生活保障と安寧を。
経営者には失敗しても挽回できる環境を。
高齢者には人生の終わりまでの見通しと安らかな終焉を。
人の生涯で各ステージにおける重要なことは異なっています。
若者は、この国で最優先すべき世代です。
青少年には、親の経済状況に関わらず、大望を抱ける環境を整えます。
余計な事は気にせず、勉学に集中して、教育を受ける機会を与えます。ただし、結果は本人次第です。人間には向き不向きがあり、失敗し、脱落することがあります。
座学の勉強に不向きな人や人生から一度ドロップアウトした人のために、生活を支援しつつ、生活する上で必要な技能を習得する道を作り、再起するチャンスを作ります。
働く人については、日本では労働力人口の減少が進むため、自然に給与待遇は改善されていきます。それに加えて、全体的な生活環境の底上げを目指し、低所得者への家賃補助の供給や失業保険等の生活保障を強化します。また、保育所の整備や育児休暇の給付率も増やします。
高齢者については、年金や生活資金については保障しますが、医療と介護給付の適正化を行います。高齢者の最大の不安は、長生きした場合に生活資金が無くなることと、自立した生活が営めなくなることです。
そのため、高齢者の生活保護の受給要件を緩和し、自宅等の一定の所有を認める。認知症等の条件を満たした高齢者は、特別養護老人ホームに無料で入所できる代わりに医療の受給制限を設けることなどが必要です。

(参考データ)
教育費や科学研究費などの将来につながる投資を切り詰めながら、
高齢者や障害者への福祉ばかりを増やしても、状況は良くならないでしょう。

後期高齢者(老人)医療費:2007年11.3兆円 → 2014年 14.5兆円
介護費         :2007年 6.7兆円 → 2016年 10.4兆円
障害者福祉サービス予算 :2007年 5400億円 → 2017年 1兆2700億円
公的教育費       :2013年 OECD 33か国中の32位
(対GDP比 日本 3.2% OECD平均 4.5%)
家族関係社会支出:2014年 日本 1.34% 米国 0.68% ドイツ 2.24% イギリス 3.85%
国立大学運営費交付金 :2004年 1兆2400億円 → 2015年 1兆900億円
労働者向けの福祉の例 :失業時の基本手当(生活費)の最低額 1日1976円

・社会保障(総論)
<基本方針>
1.寿命の伸長ではなく、元気なときの生活の質を重視する。
2.社会保障は、日本の社会の維持を考慮しながら、整備する。
優先順位は、① 家族・子供・労働者 ② 年金 ③ 医療(小児・現役世代―前期高齢者)④ 介護 ⑤ 医療(後期高齢者)とする。
3.高齢世代の医療費や介護費は、受益者負担の原則の導入し、現役世代と公費への負担の転嫁を減らす。
4.家族・子供・労働者に対する社会保障の整備を推進する。
5.社会保障を享受する機会を、全国民に公平に与える。
6.人生の終わりまでの生活の見通しをたてられるようにする。
7.予算配分は、温情に流されず、現実を直視して決める。

社会保障(総論)の基本方針についての説明
人生には、良い事、悪い事を含めて様々な事がおきます。
社会保障とは、個人では対応する事が難しい人生の様々なリスクを、国民全体で負担することで、国民生活の安定と向上を図るものです。
そのため、社会保障で最も重視すべきことは、寿命を伸ばすことではなく、どんな状況になっても、一定レベルの生活を営むことができ、将来の見通しを立てられるようにすることです。
現在、日本の社会保障は、医療・介護といった生命維持を目的とするものが優先的に整備されています。しかし、多くの人にとっては、人生の最後の時の寿命を伸ばすよりも、元気な時に楽しく過ごせるように整備した方が良いでしょう。
そのため、これからは、若い頃や元気に動ける時の社会保障を拡充していきます。
加えて、日本社会が存続するためには、出生率を2.1まで向上させる必要があります。
現役世代の労働者の生活の安定に加え、保育所等の育児環境の整備や、子供をもつことが不利にならないような環境の整備を進めていきます。

<施策>
1.社会保障の給付額の通知制度の確立
現在、国民には各人が給付されている社会保障の金額は通知されていません。
各国民に対して、社会保障費(医療、介護、年金、家族手当など)の公的負担分を周知することにより、国民に社会保障費の使い道について考える機会を与えます。

2.高齢世代と現役世代の社会保障負担(医療、介護)の分離の推進
日本の高齢化は進行しており、高齢世代の負担を増やさずに、現役世代と公費への負担を増やすことで、高齢者の社会保障費を賄うことは、いずれ困難となります。
現在の現役世代に負担を転嫁する方針を続けた場合には、将来への投資(教育費・科学研究費・少子化対策費等)は減少しつづけ、日本は長期的に衰退していきます。
高齢世代の社会保障の費用負担は、なるべく高齢世代で賄うことを基本とし、現役世代に転嫁しないように努めます。

・社会保障(医療)
<基本方針>
1.医療の理念を「人の命は地球よりも重く、老若男女のすべての命は平等である。
生命とは尊いものであり、どれだけの費用をかけても救命すべきだ。」から、
「法律上は、人の命は平等である。しかし、現実を鑑みると、先行き短い老人と将来のある子供の命の価値は異なる。また、医療技術は進歩したものの老化は止める事はできず、死に至ることは必定である。我が国が未曾有の高齢化社会に直面していることを踏まえ、年齢・病状・社会負担を考慮した医療にする。」に変更する。
2.小児期から青壮年期まではしっかり治療。
老年期はほどほどに治療し、終末期は自然に看取る。
3.生涯にわたる濃厚治療から、疾病予防、早期発見、早期治療へ変更する。
4.公的医療保険により給付する医療は「治療効果の確立されたすべての医療」から、
「治療効果の確立された費用対効果のよい医療」に変更する。
5.医療は、アクセス、コスト、クオリティーの順に確保する。

社会保障(医療)の基本方針についての説明
人生の終わりに近づくにつれ、医療・介護に多額の費用が必要になります。
これからの日本では高齢化が進んでいくため、国民全員に最高の医療や介護を少ない個人負担で給付し続けるのは難しくなります。また、仮に給付が可能であったとしても、人生の終わりに給付が集中し、日本人は、死ぬ直前に最善の医療と介護を受けるために一生涯、働く社会となるでしょう。この社会はさすがに避けた方が良いと思います。
そのため、医療・介護の給付を適正化せざるを得ませんが、どこを削減するのかが問題となります。
以下の点をふまえ、医療理念を再構築し、制度を再設計します。
① 死と老化は万人に訪れる。
② 人生は元気なときに豊かな方が良い。
③ 生命維持を最善と考えず、費用対効果を重視する。
(無制限に費用をかけ、100点の医療を目指すのではなく、ほどほどの費用で80点の医療を目指す。)
④ 医療の質は良くても医療機関に受診できなければ意味はない。
⑤ 医療は不確実なものであり、不慮の事故は避けられないものである。

<施策>
<医療のあり方>
・生涯にわたる濃厚治療から、早期発見、早期治療、終末期の自然な看取りに変更する。
・医療給付は、医療資源の分配を最適化するため、患者希望から医学的判断で決定する事を明確にする。
・患者希望に沿えない場合や、最善の医療給付がおこなえずに不幸な転機をたどる症例が増加し、医療への不満や医療訴訟が増加する事が予想されるため、医療コンフリクトと防衛医療への対策をおこなう。
・公的な医療給付の範囲に制限を設けることで、国民全員に最高の医療をふるまうのではなく、国民全員が費用対効果の良いほどほどの医療を享受できるようにする。

1.終末期の自然な看取りの推進
人生の終わりに近づくにつれて、生命維持に必要な医療費、及び、介護費は増加します。
現行の医療倫理(生命維持にはどれだけの費用をかけても良い。)では、高齢化に伴い医療、介護保険制度の維持は困難となるため、人生の終末期の公的な医療給付、及び、介護給付には一定の制限を設けます。
具体的には、老衰、脳血管疾患、高度認知症等により、重度の要介護状態、かつ、意思疎通は困難、経口摂取が不能となった場合には、公的医療給付は制限します。
今後の方針は、下記の通りとする。
① 国民への自然な看取りのすすめの周知(思想の流布)
② 医療従事者への自然な看取りの推進(政府見解の通達、治療中断の基準の作成)
③ 胃瘻、および、中心静脈栄養の保険適応の制限(公的負担の制限)
④ 保険適応外の胃瘻造設時、中心静脈栄養の費用等の指針の作成(自費診療)

2.新しい患者・医師関係への変更
医療資源を最適に分配することが可能な職種は、医師になります。
医療給付の適正化のために、医師が年齢・病状をふまえて、総合的に医療適応を判断し、患者に治療の利点、副作用を説明し、患者の同意を得て、医療行為を行う形に変更します。
つまり、パターナリズムとインフォームドコンセントを統合した患者・医師関係に変更します。

3.医療機関へのアクセスの適正化 その1
医療給付の最適化には、国民は各人の病状に応じた医療機関を利用する必要があります。
現行の大病院への初診時の選定療養費(非紹介加算)制度に加え、病院(特定機能病院、及び、地域医療支援病院等)への通院の継続の是非を担当医師が判断する制度とします。
また、大学病院等の医学研究を主目的とする医療機関については、病院の理念に、福祉施設ではなく、研究機関であることを明示させ、設立目的の明確化をおこないます。

4.医療機関のアクセスの適性化 その2
病院と診療所の役割分担を明確にするため、急性期病院の保険診療の報酬を入院部門の収益により、外来部門を支える構造とします。
( 具体的な例としては、急性期病院の入院のDPCの診療報酬を高くし、外来の軽症患者の受診は抑えるため、保外来患者一人あたり一定金額を減額するなどの診療給付を減らします。)

5.医療機関のアクセスの適性化 その3
診療所・病院の外来報酬は基本的に出来高制となっていますが、無駄な検査が増えるため、包括制に変更します。また、数か月分の診療した担当期間ごとに診療報酬を得られるように変えることで、患者・医師双方の最適な受診回数を目指します。

6.医療事故に対する刑事責任の限定
医療行為は身体に侵襲を加えることにより、病気の治癒を目指すものです。
医療行為には、不確実性が伴うことから、過失の有無に関わらず、一定の確率で不幸な事故が発生することは不可避です。そのため、救命を目的とする医療行為により、不幸な転機を辿った症例に対して、刑事責任を課すのは不適当でしょう。
刑事責任は明らかな加害の意思があった場合を除き、医療行為上の刑事責任は免責します。
日本の医療給付に一定の制限を加えていかなければならない事をふまえ、医療給付の適正化によって生じた場合についても、刑事責任を免責します。

7.医療訴訟における民事賠償の基準額の設定
これからの日本では全国民に最良の医療を提供することは難しくなり、最善の医療を給付した場合と比べ、不幸な転機をきたす例が増加する事が予想されます。
また、医療訴訟の賠償額が不適切に高額な場合は、医師の過剰診療や防衛医療を招き、医療給付の適正な分配に支障をきたします。
そのため、各疾患の平均余命や生活経費を考慮し、医療事故の賠償額の指針を作成します。
(例:慰謝料(100~200万円)+ 各疾患における平均余命*(予想収入-予想経費))

8.医療事故調査制度の報告者の責任の免責
医療事故調査制度については、事故の発見とシステム上の再発予防に重点をおき、悪質な場合を除き、報告症例についての報告者の責任を免責します。
その場合の民事責任についての公的保障制度を作成します。

9.医療コンフリクトへの対応の推進
医療給付の制限をおこなうと患者不満が高まり、医療コンフリクトが増加します。
医療コンフリクトの原因は、治療経過や内容への不満(医療事故を含む)や接遇ですが、日本の医療従事者数は、病床あたりでは欧米の1/2〜1/4の水準に過ぎない人数で運営しているため、やむを得ない側面があります。(治療成績は、欧米並みです。)
医療従事者と不満のある患者の間に入り、患者の意向を聴取する医療メディエーター制度の整備を推進します。また、海外と日本の医療についての、費用、入院期間、医療へのアクセス等の違いについて周知をすすめ、不満を抑えます。

10.小児医療において障害を有する場合の治療ガイドラインの設定
医療の進歩に伴い重大な障害を有していても長期生存することが可能となりました。
小児は、自分の病状を理解して、自らの治療方針についての妥当な判断することはできず、両親と医師の治療方針に相違が生じる可能性があります。
また、同時に医療ネグレクトの可能性も考慮されるため、ガイドラインの作成が必要です。
具体的には、下記の通りとします。
① 治療により正常化する場合は、医師の判断に基づき治療を行い、両親が拒否する場合は、医療ネグレクトの可能性を考慮し、児童相談所への通報を考慮する。
② 治療をしても重大な後遺症や死亡する可能性がある場合は、医師は両親の最終決定に従い、両親の選択を最大限尊重する。

11.緩和医療の推進
人生は生老病死の順に進み、人は死を避ける事ができません。
緩和医療は、病院、あるいは、在宅において、病から死への苦痛を軽減するためにおこなわれています。これらの分野の臨床研究や疼痛軽減のための新規薬物の開発を推進します。
在宅の看取りを希望する国民は多いため、在宅医療については、公的介護給付に一定の限度を設けた上で推進します。
在宅における終末期については、病院と診療所の連携を深め、家族が在宅での看取りは困難であると判断した場合には、入院し、地域包括ケア病棟等にて看取りが行えるようにします。

12.積極的安楽死の整備
人生の終末期において、病等でどうすることもできない場合はあります。
著しい身体苦痛を伴う末期がん患者等における積極的安楽死の整備をすすめます。
(うつ病・認知症などの身体的な疼痛が伴わない他の疾患については保留します。)

<医療の給付と負担の適正化>
現在の日本では、すべての医療をすべての国民が一定限度の金額を支払うことで享受することが可能となっています。しかし、医療技術の発展や高額薬剤の登場に伴い極めて高額な医療が登場した結果、すべての国民にすべての医療を給付することは困難となりつつあります。そのため、全国民は基本的な医療を受けられるものとするものの、高額薬剤等の高額医療についての医療給付には一定の制限を設けます。

13.公的医療給付の適応の制限と保険外併用療養制度の拡充
近年、抗がん薬等の一部の薬剤は高額化しており、例としては、年間3500万円の薬剤費がかかり、約3か月の延命効果のある薬剤が認可されました。
高額薬剤を公的保険ですべて負担した場合には、公的な医療費の高騰は不可避であり、費用対効果の側面からも、これらの薬剤費を国民全員で負担するのは妥当ではありません。
国民全員が、一定水準の医療は享受できるものの、高額な薬剤・治療については、公的負担を限定し、個人負担とする制度に変更します。
具体的には、下記の通りです。
① 公的な医療給付の対象(=高額療養費制度等により、個人負担が限定される医療。)となる保険適応の範囲を、「治療効果の確立されたすべての医療」から、「治療効果の確立された費用対効果のよい医療」とします。
② 混合診療は解禁せず、保険外併用療養制度を拡充し、公的な医療給付の対象外となった一部の高額薬剤や医療技術については、厚生省が認可し、薬剤費や治療費の一部を公的に負担します。

14.高額介護合算療養費制度の見直し
現在、医療費と介護費を合わせた自己負担額が一定以上となった場合の自己負担額に上限が設けられていますが、医療給付、介護費給付の適正化の観点から、見直しを行います。

15.後期高齢者の医療費の自己負担割合の見直し
後期高齢者の自己負担割合を、前期高齢者、及び、就学前小児の自己負担が2割であることをふまえ、見直しを行います。

16.高額療養費制度の給付状況の把握
高額療養費制度において、月当たりの支払い額が1000万円を超える高額レセプトが存在することから、給付状況を把握し、医療給付の適正化に努めます。
将来的には、高額療養費制度に給付限度額を設けます。

17.生活保護受給者への後発品の使用の推進
医療技術の進歩に伴い後発品による治療でも、一定の治療効果を得る事は可能です。
代替薬がない場合を除き、生活保護受給者へ医療給付は、後発品を使用します。

18.救急車の有料化
軽症での不適切な救急車の使用を防ぐため、軽症者(例:入院の必要性がなかった人)に対しては、一定の搬送料金(定額 + 距離に応じた料金:タクシー代の2~3倍程度を目安)を請求します。死亡者、及び、入院を要する場合には、救急搬送料を無料とします。

19.電子カルテへの薬剤費の保険点数の表記
医療の給付を行う主体は医師であるものの、手技、検査、投与薬の保険点数(価格)を記憶し、処方している人は少ないです。電子カルテに薬剤の保険点数を表記させ、後発品が使用できる薬品の場合には別表示にするなど、給付の適正化を図ります。

<医療システム>
医療給付の適正化と医療の効率化を目的として、国民の病状に応じた医療機関への受診と、病院の機能分化を推進します。

20.かかりつけ医制度の推進
診療所と病院の役割分担を進めるため、かかりつけ医制を推進します。

21.内科診療所の家庭医の開業前教育・研修制度の整備の推進
日本では、特定の専門科の内科勤務医が、内科診療所を開業することが多いです。
一方で、家庭医は、特定分野を担当する事の多い病院勤務とは異なり、総合診療をおこなう必要があります。家庭医としての必要な知識と技能を習得するための制度の整備が進んでいないことをふまえ、開業前の医師の教育・研修制度の整備を推進します。
(診療所の開業後に連携することとなる病院での短期間の勤務等も含みます。)

22.病院の集約化と機能分化の推進
医学の進歩につれて、各分野の医学知識は増加し、専門分野の細分化が進むため、医療水準の向上のために、病院あたりの医師数を増やす必要があります。
また、日本の人口は減少し、地方では人口密度が低下するため、病院の維持が困難になる地域が出現します。
上記の理由から、病院を機能分化させつつ、地方では集約化をすすめます。
機能分化は、現行方針の高度急性期、急性期、回復期、慢性期とし、病床あたりの医師・看護師の配置数の最低基準を設定します。
慢性期病床では、家族の介護負担の軽減を目的として、終末期の看取り、緩和ケア、レスパイト入院を推進し、在宅や介護施設では看取れない患者の看取りをおこないます。
また、医学の発展には、症例を集中させる必要があり、専門に特化した病院(例 ハートセンター等)の設立を推進します。

23.診療所と病院間の診療データの共有の推進
診療所と病院間で同じ診療データを共有することにより、病診連携はより円滑となります。
インターネットを通じて情報を共有した場合、セキュリティーの問題があります。
診療情報用の個人用保存メディア(カード型など)を作成し、診療所や病院受診時に血液検査、画像検査、診療録、投薬内容等を特定のフォーマット形式で保存し、別の医療機関に受診時に参照できるようにします。また、本人の同意、許可を得て、各医療機関に個人診療情報を保存する。将来的には、介護情報も一元化します。

24.救急診療時の病院と病院間の診療情報(画像データ)の送付の推進
救急搬送された病院で該当疾患に対する検査や治療をおこなうことができない場合には、より高度な医療機関への再搬送がおこなわれています。
現在は、救急外来の担当医師が、電話にて診療情報を伝達し、搬送の可否を決定しているものの、画像情報があれば、より正確に病状を判断する事が可能となります。
医療画像データを圧縮に伴う画素の低下の許容範囲を設定し、メール添付して搬送先の病院に送付する方式を検討します。

25.診療管理下にある在宅、及び、施設にて療養中の患者が急変後に死亡し、病院搬送後に救急外来医が救急外来にて死亡確認した場合の死亡診断書の作成基準の変更
現在、医師が死亡を確認した際には、「自らの診療管理下にある患者が、生前に診察していた傷病に関連して死亡したと認める場合」には、死亡診断書を作成し、それ以外の場合には、死体検案書を作成しています。
しかし、療養中に死亡し、救急搬送後に死亡確認した場合は、主治医は死亡には立ち会えず、老衰による自然死の場合でも、死亡診断書を作成する事ができないため、検視後に死体検案書を作成する必要があります。
今後、在宅や介護施設での看取りを推進した場合には、在宅や介護での死亡が増加するものの、常に主治医が往診できるとは限らないため、救急外来に搬送して、死亡確認することになりますが、代わりに不必要な検視が増加します。そのため、死亡診断書の作成基準を緩和する。
具体的には、
① 在宅、及び、施設にて療養中であり、近日中に死亡する可能性がある人については、主治医は、病状を連携病院に連絡する。連絡がある場合、救急外来医は死亡確認後に死亡診断書を交付する。
② 救急外来医が死亡確認したのち、主治医に報告し、病歴から病死と判断できる場合には死亡診断書を交付します。

<健康診断の推進>
26.国民皆健康診断の推進
健康診断は、健康の維持、疾病の予防、早期発見を目的とします。
学校生徒や雇用労働者等の健康診断は、事業者に法で義務づけられており、受診率は高い水準にある一方で、無職者(例:20代~30代の専業主婦)及び個人事業主の受診率は、低い水準にとどまっています。
健康診断の受診率の向上のために、① 健康診断の必要性の周知、② 国民の健康診断の受診状況と検査結果の把握、③ 受診負担の軽減(受診費用の医療費控除、受診の既往がない人に対する簡易検査法(例 尿試験紙法)の送付など)、④ 国民への受診状況の通知と推奨を行う。健康診断は、自らの健康を鑑みる機会を与えることを目的とし、強制しません。

27.一般健康診断と特殊健康診断の項目、及び、実施間隔の再検討
労働者の健康維持を目的として、一般健康診断、及び、特殊健康診断が定められています。
被ばく、費用対効果の観点から、一般健康診断と特殊健康診断の検査項目、及び、項目毎に年齢等による実施間隔を見直します。定期的に費用対効果についての再検討を行います。
(例:一般健康診断の胸部X線、心電図検査、聴力検査の実施間隔、及び、特殊健康診断での夜勤者健康診断の貧血、肝機能評価などの業務との因果関係が不明なもの)

28.健康診断(一般、特殊、がん)のエビデンスの集積と定期的な見直し
一般健康診断、特殊健康診断、がん検診については、健康診断の効果の集積を行い、検査項目、検査間隔、事後対応等を定期的に再検討します。

<その他>
29.臓器移植の推進
日本の臓器提供者数は先進国の最低水準であり、移植臓器は不足しています。
臓器移植を推進しなければならない最大の理由は、血液透析にかかる医療費の節約にあります。透析患者数は約32万人と増加しつづけており、透析の医療費も一人あたり年間 400万から600万円と高額であり、医療費は概算で1.5兆円以上が支出されています。
腎移植は、透析患者のQOLを改善させるのみならず、120万円から180万円に減少させる事が可能です。
臓器移植を増やすためには、臓器提供を増やす必要があります。
そのため、① 終末期医療改革に伴う植物状態の人への医療給付の停止 ② 臓器提供意思のデフォルトの変更 ③ 臓器移植の適応の緩和 ④ 臓器提供者への感謝状と謝礼金の支給 ⑤ 地域単位での臓器移植の摘出の専門チームの作成 をします。
①は、高齢化の進行する日本には高齢者で植物状態の人を延命する余裕はないため、脳卒中等で植物状態となった場合には公的な医療給付は中止します。
②は、臓器移植の提供の登録のデフォルトは「希望する」に変更します。
③は、植物状態等で治療中止により死亡が確定している人については、移植臓器の摘出を可能とします。また、看取りの推移中、あるいは、自然死した場合の臓器摘出の適応を考慮します。
④は、植物状態等で臓器提供をおこなった人の家族に対して、国より感謝状と謝礼金(数百万円)を支給します。
⑤は、中小規模病院にて臓器提供希望者が死亡した場合には、臓器摘出・移植が困難であることをふまえ、医療圏単位にて、臓器移植の多職種チームを設立します。病院の医師は、臓器移植チームに連絡することにより、臓器摘出までの作業を一任できるものとします。
(必要に応じて、臓器摘出、及び、移植が可能な病院へ移送します。)

30.新型出生前診断の推進と新規出生前診断法の開発の推進
出産年齢が高齢になるに従い染色体異常を有する出生率は上昇します。
日本では、晩婚化が進み、高齢出産は増加しており、高齢出産では染色体異常等の先天奇形の発生リスクは上昇します。リスクの高い妊婦に対して、侵襲の少ない新型出生前診断の公的補助を行い、妊婦に選択肢を与えます。
侵襲の少ない出生前診断法の研究・開発を推進します。

31.高齢者に対する検査や薬物の医学的なエビデンスの確立の推進
多くの病気において、超高齢者(例 80歳以上)に対する治療効果は確立されていない、日常診療では、成人で確立されている医学的なエビデンスに準じて治療がおこなわれているものの、治療介入による効果の有無は不明です。
各種疾患の高齢者に対する検査、及び、治療等が臨床的に効果のあるものかどうかの医学的なエビデンスの確立を推進します。そして、無駄な検査・治療を削減していきます。

32.喫煙対策
喫煙については、禁煙の推進を進めるものの、全面禁煙は行わない。受動喫煙については、無関係な第三者へのタバコの暴露を防ぐため、公共の場の全面禁煙に加えて、分煙を勧めます。喫煙に伴う健康被害による医療費の増加は、たばこ税の増税により賄います。

33.医療現場とのフィードバックの推進
医療現場において、どのような問題が生じているかについては、医療現場が最もよく把握しており、行政と現場との認識の乖離により、不都合が多々生じていることをふまえ、意見の投書制度(目安箱)を作り、現場とのフィードバックを促します。

34.難病法から希少疾患対策法への変更
難病の定義は、原因不明(発病の機構が明らかでない)、治療方法が確立していない、希少な疾病、長い間療養を必要とすることとなるもの、を満たす疾患とされています。
しかし、疾患に対する治療法が確立されても指定は取り消されないなど、法律は無視され、恣意的な運用がなされている現状を鑑み、難病法を改め、代わりに、希少疾患対策法を制定します。

35.予防接種とワクチン開発の推進
予防接種は、一定の確率で副作用が発生するものの、全体としての利益が上回るためにおこなっています。日本人は、副作用が生じると、個別症例を取り上げて非難しますが、合理的に考え、全体としての利益が上回る場合には、接種を推進していきます。

36.単身高齢者の本人の意思確認ができない場合の治療指針等の作成
日本では単身世帯の高齢者が増加しています。高齢者は最終的には認知症等になり、自己判断ができない状態となります。本人の意思確認ができない場合にどの程度まで治療をすべきかは医師にとって判断は難しいです。
そのため、身寄りのない高齢者が治療の意思確認ができなくなった場合の治療指針を作成します。

37.安価な薬価の薬で医師主導治験の推進 等をすすめていきます。

・社会保障(介護)
<基本方針>
1.地域包括ケアシステムを推進する。
2.在宅療養を基本とし、在宅療養が難しい場合は、介護施設へ入所する。
3.公的介護の給付は必要最低限を目安に給付する。
4.公的介護の給付限度額を再設定する。医療費と介護費を合算した給付限度を設ける。
5.資金や在宅介護力の問題があり、在宅で療養できない要介護者は、一部の公的介護施設に自己負担なく、入所できる代わりに、医療給付に制限を設ける。
6.制度は、一増一減を原則とする。(制度を一つ増やしたら、別の給付を減らす。)
7.労働単価は引き下げず、介護士の給与待遇は確保する。

社会保障(介護)の基本方針についての説明
病気や老化に伴い身体不自由になると生活する上で、他者の支援、つまり、介護が必要になります。日本の介護制度は、医療制度と同じ理念で作られており、費用は、必要に応じて給付する制度となっています。(要介護5 給付限度 約36万円/月)
介護保険法の制定時(1997年)のような現役世代が多く、高齢世代が少ない人口構造(4.8人:1人)であれば、給付は必要な分だけおこなえますが、2050年には、現役世代と高齢世代がほぼ同じ人口構造(1.3人:1人)になるため、制度を維持することができません。
これからは、必要に応じて介護を給付するのではなく、介護給付は、基本的に人手がかかり、非常に高価なものであるため、限度額を先に決めて、その範囲内で介護給付を決める必要があります。(現行の在宅介護の給付額は、欧州の約2~3倍です)
在宅介護は、公的介護 + 家族 + 私費介護 で支えることになりますが、単身世帯も増加しており、介護をしてくれる家族やお金がなく、在宅では生活できない人が出現します。
解決策としては、特別養護老人ホームは、自己負担をなくし、代わりに、感染症の罹患時には原則、病院への搬送はしないなどの医療給付に一定の制限をもうけ、看取ります。
デイサービス等については、これまで通り、生活を豊かにするために行います。
予防リハビリについては、万人に等しく老化は進むため、若い時の骨折時のリハビリとは異なり、老化による身体衰弱に対して、リハビリをしても、最終的には動けなくなります。
在宅訪問のリハビリの公的給付は、費用対効果をふまえ、再検討します。

<施策>
1.介護給付の見直し
在宅介護の支給限度額が、欧州の約2~3倍であることをふまえ、支給限度額の見直しを行う。必要に応じて、地方自治体ごとに給付額を増減します。
介護保険による給付を減らした場合、医療保険による介護給付の増加が見込まれるため、医療保険の介護給付にも支給額の適性化を行います。

2.介護費の公的負担の適正化
介護保険料は、保険料 50%、公費 50%と、公費にて半額を負担しており、介護費の増加に伴い公費負担分も増加しています。(介護費推移:2000年 3.6兆円 2016年 10.4兆円)
先に、少子化対策等へ予算を割り振り、出生率が2.1以上に改善するまで、介護費の増加分の公費移転は凍結します。

3.医療、介護給付の合算支給限度制度の検討
公的医療、介護の給付に支給限度額(例:年1000万円)を設けます。
具体的な支給限度額については、各人に対して、どの程度が給付されているかの調査を行い、決定します。

4.介護保険の対象者の全年齢への拡大
介護保険料は、保険料 50%、公費 50%と、公費にて半額を負担しており、国民全員で負担しています。そのため、介護保険対象者を年齢により、区別するのは適切ではないと思われます。40歳未満の若年者においても、少数ですが、交通事故・脳出血等で公的介護を必要とする人がいることを考慮して、対象年齢を全年齢に拡大します。
負担する対象年齢の拡大については、40歳未満の受給者数と必要金額を計算したのちに検討します。

5.一部介護施設への入居費用の無料化と医療給付の制限
在宅療養できない要介護者が、施設費用負担はなく、特別養護老人ホーム等に優先して入所させ、代わりに、医療給付に制限を設ける制度を創設します。
(例:感染症等の発症時には医療機関への搬送をせず、経口内服薬にて加療する。骨折等の外傷については、嘱託医が判断する。)家人の判断で病院への搬送を希望する場合は、これまでの無料化した入居費用に追加金額を加えた額を請求します。

・社会保障(年金)
<基本方針>
(1)高齢者でも働ける人は働き、年金は、働けない人への所得補償とする。
(2)高齢世代へは医療・介護給付よりも年金給付を重視する。
(3)現実的な水準で計算した予想される将来の年金支給額を国民に通知する。
(4)基礎年金は、公費により、給付額を維持する。
(5)厚生年金は、積立金を取り崩さない場合の給付額を計算する。
(6)一定以上の所得の高齢者に対する年金支給は減額、または、停止する。
代わりに、引退後の支給額を増やす。
(7)障害年金の受給に所得制限を設け、所得がある場合は、減額、支給停止する。
(8)遺族年金は維持するものの、遺族厚生年金の支給対象の年収制限(現在は、年850万円未満の収入要件)を再設定する。
(9)個人年金、私的年金の拡充
(10)年金積立金の運用は、パッシブ運用の外国株式への長期投資を基本とし、相場の過熱時には国内の債権比率を高め、株式市場の暴落時には、株式への投資比率を増やす。

社会保障(年金)の基本方針についての説明
公的年金制度は、老年、障害、世帯の主な稼ぎ手がいなくなった際の生活資金を保障することを目的とします。当然のことですが、公的年金の支給時には、誰かがお金を負担する必要があります。
公的年金の運営方式には、積み立て方式(自分で老後の資金を積み立てる。)と賦課方式(世代間で負担する方式)があり、日本では、主として賦課方式で運営されています。
賦課方式の利点は、インフレ等の経済変動に強いことですが、欠点としては、高齢世代を現役世代で支えているため、少子高齢化が進むと、現役世代の負担が増えすぎる点です。
また、年金基金は、国内外の債権や株式で運用されており、運用益を得ていますが、同時に年金給付の不足分を基金から取り崩すことにより、補っています。
現在、日本の年金が維持可能のどうかが、疑問視されていますが、その原因は、日本の人口構成にあります。
日本の将来の人口構成を見ると、2050年頃には、現役世代 1.3人が高齢世代(65歳以上)1人を支える構造になっています。どう考えても、この人口構造では、現行の方式では年金給付を維持できません。そのため、いくつかの工夫が必要です。
その工夫とは、
① 高齢者でも働けるうちは働いてもらい社会を支える側になってもらう。代わりに、高齢者には、年金給付のない期間を設ける代わりに働けなくなった後の金額を増やします。
② 年金の給付額ですが、現役世代の負担を増やしすぎると、次世代の再生産ができなくなり、日本は消滅します。そのため、現役時の所得代替率で計算するのではなく、給付の原資の総額から支給額をこれまでの納付額に応じて決定します。
③ 年金基金の取り崩しは避け、運用益のみを分配にまわします。
以上です。
この年金支給方式では、生活ができない人も多数いると思いますので、その他の人については、生活保護制度の改変で対応します。
加えて、年金は、生活保障のための所得補償であることから、高所得者への障害年金、及び、遺族年金の支給には制限を加えます。
また、公的年金は基本的に賦課方式をとりますので、自己責任の積み立て方式となる個人年金や私的年金についても、制度の整備を進めます。
最後に、年金にとっての最大のリスクは、円の価値が毀損すること、つまり、円がインフレにより購買力を失うことですので、運用の海外比重を高めます。
年金基金の運用は、基本的に数十年の単位の長期間にわたります。株式投資は、20年から30年の長期投資では損失となることはなく、債権と比較し、高利回りとなることが知られているため、年金基金の運用は、海外投資を含めたインデックス投資のパッシブ運用を主体とし、市場の過熱と暴落に合わせて、債権比率と株式比率を調整していきます。
(* 基本方針を記載しましたが、専門家の先生との協議の上で再検討します。)

社会保障(雇用・就職支援)

<基本目標>
就職支援制度の目標は、①~④です。
① 失業時の生活保障の拡充
② 適性・技能に応じた仕事の紹介と斡旋
③ 時勢に適した職業技能の再教育
④ 人材の流動性の向上と、国内の労働力の配置の最適化
(*人手不足産業への労働者の移動の促進、年齢・技能別の就職支援)

<基本方針>
(1) 失業中の生活保障の拡充
-1 特定受給資格者及び特定理由離職者の給付期間の延長
-2 失業時の基本給付の増額と、給付開始後の経過期間に応じた給付額の減額
(2) 現実をふまえた年齢別の就職支援
-1 求人要項への希望年齢等の記載の許可
-2 年齢・病状等に応じた仕事の分配の推奨
(3)キャリア・再就職の相談制度の拡充
-1 労働者の年齢・適性・技能や需給バランスをふまえた職業の斡旋
(* 職務経験がある管理職・技術職・専門職を対象とした人材銀行の再設置)
-2 労働力が不足する産業分野への労働者への斡旋とインセンティブの付与
(* 職業訓練時の手当の増額など)
(4)職業技能の訓練制度の拡充
―1 職業能力開発センターの拡充
(* 農林水産業・保育等の労働者不足の産業の技能訓練項目の拡充)
(* 職業訓練中の協力企業への現場見学と派遣訓練制度)
-2 若年世代への高度技能訓練の機会提供
(5)企業の解雇要件の緩和
(* 高齢者の再雇用の解雇要件の緩和)

基本方針の説明
はじめに、日本で再就職支援の整備をすすめる背景を説明します。

① 人々が働く期間(労働寿命)が、企業の寿命(約20~30年)より長い時代となりました。人生の中で、失業したり、転職したりする機会が増えます。

② 本人の努力に関わらず、技術発展に伴い保有技術が陳腐化し、失業する可能性があります。(例:繊維産業・鉱業など)この場合、求職者が再就職を希望しても、本人の技能と、企業の求める技能との間にミスマッチが生じるため、再就職が円滑に進みません。
(企業は、中途採用では即戦力を希望します。)

③ 日本では、少子高齢化に伴い全国的に人手不足が進行します。将来的に、高齢者の人材活用は必須になります。しかし、高齢者が働く際には、現役世代と比較し、新しい技能の習得は難しい、病気や体力の制限があるなどの考慮すべき制約が多くあります。

④ 一部の産業分野(農林水産業・保育・建築分野等)では、人手不足が顕著です。

⑤ 人口減少社会では、これまでのように、全分野を拡大し続けることはできません。
日本の経済成長には、国内の不採算部門や不必要となった部門をリストラし、国内の人員配置を変更する、つまり、人材の流動性を向上していく必要があります。

以上が、日本の再就職対策を考える上で抑えるべきポイントとなります。

そして、上記をふまえると必要な対策は下記になります。

① 国内の仕事を、年齢・病状・技能等をふまえて、労働強度に応じて分配する。
(* 若い世代には、多少体力的にきつくとも、経験や技能を獲得できる仕事を分配する。
退職した高齢者には、体力的に厳しくない仕事を分配する。)
② 求職者の特性・技能を分析し、希望と適性に応じて、仕事の紹介・斡旋を行う。
③ 人々に時代に適した技能を、職業訓練を通じて、習得させる。
④ 再就職支援の際に、人手不足の産業への人材移動を奨励する。
⑤ 人材の流動性を上げるには、解雇規制を緩和する必要があるが、その前に、失業補償・再就職支援の拡充を行う。

次に基本方針の説明をします。

(1)失業中の生活保障の拡充
-1 特定受給資格者及び特定理由離職者の給付期間の延長
-2 失業時の基本給付の増額と、給付開始後の経過期間に応じた給付額の減額

倒産などの会社都合などにより、やむなく失業した人は、再就職を強いられます。
現在の給付期間は、最低90日間とされていますが、一般的に転職に要する期間は3~6か月がかかりますので、落ち着いて再就職活動をするには、最低6か月は給付すべきでしょう。
また、貯金がない世帯も多く、失業したからと言って、住居や生活をすぐに変えるのは難しいと考えられます。失業時の基本給付は、生活保護の支給額を参考にした最低給付額(*現在の基本手当の最低額 約2000円/日)を設けて、給付額を増やします。給付を増やし、期間を延長すると、すぐに就職活動しない人々もでてきますので、給付期間に応じて、給付金額は減らし、再就職を促します。

(2)現実をふまえた年齢別の就職支援
-1 求人要項への希望年齢等の記載の許可

現在、募集・採用に年齢制限を設けることは禁じられています。
しかし、現実的には、企業の採用には、暗黙の年齢制限があると考えたほうがよく、現在の制度では、求職者・企業の双方にとって、採用時に無駄な労力を費やすことになります。
企業の採用条件には、募集・採用に年齢制限は直接的には設けませんが、希望する年齢・性別等の条件を記載します。求職者が、企業の希望条件を満たさない場合は、企業に直接、連絡するようにした方が、社会としては効率が良いでしょう。

-2 年齢・病状等に応じた仕事の分配の推奨

日本の社会には色々な職業がありますが、どの職業にも、体力が必要か、習得が難しいか、将来的に発展性があるか、などに違いがあります。
経営者から見れば、高齢者でも若者でも雇用したときには違いがない職業もあります。
しかし、社会全体では、若い世代には、体力的に多少きつくとも、技能や知恵が蓄積でき、将来的に発展性のある仕事をさせ、一方、退職した高齢者には、体力的には負担の少ない仕事を配分していく方が良いと考えます。
(公的な職務についても、募集要項に希望年齢を記載し、単純・低労作の業務などについては、高齢者を優先して雇用していきます。)
(参考:高齢者のハローワークの採用職種:清掃・警備員・専門職等・マンション管理・タクシー・介護職等)

(3)キャリア・再就職の相談制度の拡充
-1 労働者の年齢・適性・技能や需給バランスをふまえた職業の斡旋
(* 職務経験がある管理職・技術職・専門職を対象とした人材銀行の再設置)

ハローワークのキャリア相談・再就職支援制度を拡充します。
これからの時代には、再就職支援のみならず、国民全体の技能向上と、国内における人材の適正配置を考慮することが必要になります。
また、インターネットでの検索が可能となり、低コストの登録とマッチングが可能となりました。民主党時代に廃止された職務経験がある管理職・技術職・専門職を対象とした人材銀行の理念を受けつぐ制度を作ります。

将来的には、本人の希望に応じますが、下記の流れを作ることが目標でしょう。
① 求職者がハローワークの相談窓口に行く。
② 就職支援の担当者がつく。
③ 求職者の適性検査・職歴・技能の棚卸しを行う。
④ 希望する職種の聴取、人手不足産業への紹介・斡旋や制度説明を行う。
⑤ 職業訓練が必要な場合は、職業能力開発センターに紹介する。
⑥ 職業訓練の課程で、人材募集中の協力企業への現場見学と派遣訓練を行う。
⑦ 就職する。
(就職支援について得られた知見は、学会に蓄積します。)

-2 労働力が不足する産業分野への労働者への斡旋とインセンティブの整備
(* 職業訓練時の手当の増額など。)

建築業などの労働力が不足している産業への労働者の移動を円滑に進めるために、希望者への職業訓練時の手当を増額します。

(4)職業技能の訓練制度の拡充
―1 職業能力開発センターの拡充
(* 農林水産業・保育等の労働者不足の産業の技能訓練項目の増設)
(* 職業訓練中の協力企業への現場見学と派遣訓練制度)

職業能力開発センターの主たる目的は、時勢に適した職業技能の再教育になります。
就職時には、基礎知識があった方がよい場合があるため、人手不足の産業(農林水産業等)の技能訓練項目の増設も必要でしょう。
新しい産業には、複数の分野を理解する人材が必要なため、相談に応じて、複数のプログラムの受講もできるようにします。
(* 指導プログラムは、全国共通のベースを作成し、各センターで特色をつけます。農林水産業では、地方移住の希望者もいることを予想し、現地実習の合宿形式も取り入れるとよいと思います。)
(新産業の創造の例:IT関連 + 農業プログラムの受講 ⇒ 体験型農業をインターネットで周知し、新ビジネスの構築を目指すなど)
職業訓練中の協力企業への現場見学と派遣訓練制度も整備を進めます。

-4 若年世代への高度技能訓練の機会提供

現在の日本は、若い時にドロップアウトすると、社会復帰が難しいシステムになっています。また、一旦、就職した人々が、社会人経験を積むにつれて、再度、大学・大学院等で勉強したいと考えても、資金面で困難な場合があります。
(海外では、社会人になってから大学再入学し、高度教育を受けるのは一般的です。)
そのため、専門実践訓練給付金・給付支援金の制度拡張を行います。
(* 人手不足の産業分野については、給付の優遇を行い、人材の移動を促進します。)
(* 国民の所有する技能の向上は、国富になります。)

(5)企業の解雇要件の緩和
(* 高齢者の再雇用の解雇要件の緩和)

企業は、高齢者の雇用を推進しつつありますが、これまで企業で働いていた面識のある人を継続雇用する場合と比較し、新規に雇用する場合には、健康・病気等のリスクが若年世代を存在します。新規の雇用を促すため、健康・病気等のリスクによる解雇要件を緩和します。
再就職支援制度の整備が進んだ後に、将来的には解雇規制を緩和します。

社会保障(少子化対策)

基本方針
(1)合計特殊出生率は、人口維持が可能になる2.1を目指す。
(夫婦あたりの子どもの人数は、地方都市・町村 3人、大都市 2人を目標とします。)
(2)少子化対策への予算と労働力は、医療・介護に優先して配分する。
(3)子どもを育てる費用は、社会で負担する。
(4)結婚を奨励する。
-1 政府広報活動
・結婚後の子育ての公的支援制度の周知
・子育てライフプラン(正社員夫・専業主婦世帯、共働き世帯、母子家庭等)の例示
・医学的な妊娠・出産の適齢期、高齢出産リスクの教育と周知
-2 結婚資金の公的貸し付け(例:200万円)と出生数に応じた返還免除
-3 結婚・出産・育児に関する公的支援についての国家資格の創設と相談員の設置
(5)出産を奨励する。
-1 育児休業給付金の給付水準の増額(0歳児は家庭で育てる。)
-2 育児給付金の創設(世帯年収が一定以下の非正規労働者・専業主婦を対象)
-3 出生前診断の公的扶助
-4 若年出産や経済的に育てる事のできない児童のための児童養護施設の拡充
-5 不妊を理由とする離婚の承認
(6)育児環境(小学校入学前)を整備する。
-1 保育所の定員増員と保育士の待遇改善(給与・担当人数等)
-2 母子保養施設・環境の整備(育児疲れの母親のストレス軽減)
(7)子育ての環境(小学校から高校)を整備する。
-1 公的学童保育の拡充と指導プログラムの改善
-2 私的学童保育の拡充
(8)子育て世帯を経済的に支援する。
-1 幼稚園から高校までの教育費の無償化(例:授業料・給食費・通学関連費等)
(公立学校は無償化し、私立学校は助成を増やす。)
-2 第3子以降を中心とした児童手当の支給額の増額
―3 国民年金の第3号被保険者の資格要件に子どもの有無を入れる。
(*大学教育については、後述。)

基本方針の説明(少子化対策)
(1)合計特殊出生率は、人口維持が可能になる2.1を目指す。

日本は未曾有の少子高齢化社会を迎えますが、その原因は少子化です。
日本の出生率は、1975年に2.0を下回り、その後も低下し続け、2016年には若干回復したものの1.44と低い水準が続いており、現在の状況を維持した場合には、日本は人口減少により、自然消滅します。(移民政策は、根本的な解決になりません。)
少子高齢化社会の到来は、20~30年前から予測できたことであり、高齢者福祉よりも先に少子化対策を整備すべきでした。
日本の人口維持には、女性が子どもを男女で平均2人以上は生む必要があり、必要な出生率は2.1以上となります。現実的には、結婚しない女性や不妊のために子供を生めない女性もみえるため、女性の約8割がそれぞれ2~3人の子どもを産むことが目標になります。
さらに、夫婦あたりの子どもの人数は、地方都市や町村では子ども3人を、大都市では、物理的な子育てのスペースや住宅事情を考慮すると、2人を目標とするのが妥当でしょう。

(2)少子化対策への予算と労働力は、医療・介護に優先して配分する。
(3)子どもを育てる費用は、社会で負担する。

子どもを1人前の大人に育てるためには、多大な費用と労力が必要です。
費用については、子ども一人を育てる上で家庭の負担は、生活費・教育費・遊興費などに約3000~4000万円(公立・私立の大学への進学含む)が必要です。
しかし、日本の若年労働者の平均賃金は低く、夫婦で共働きをした場合でも、金銭的な面がネックとなり、複数の子どもを育てるのは難しい状況となっています。
労力については、子どもが小さいうちは、両親や兄弟祖父母などの大人や年長者が、24時間中、片時の離れず面倒をみる必要があります。昭和の時代のように三世帯で同居し、祖父母と一緒に子育てをする家族形態や、正社員の夫と専業主婦の妻の家族形態であれば、小さな子どもの面倒を常にみる事はできました。
しかし、現在の日本では、核家族化が進み、転居等のために祖父母が近くにいない場合も多く、両親が共働きで不在となる間は小さな子どもを家族外の誰かに預ける必要があります。
(イクメンは、子どもの育児に男性が協力することは悪くありませんが、核家族化で不足した家庭内の育児労働力を、男性を動員することで補おうとする政策でしょう。)
以上が、日本の少子化の一因と考えられます。
子育て費用や育児の労働力を自己責任としても、若い世代は、無い袖を振ることはできず、労働力を自前で用意する事はできないため、社会で負担せざるを得ません。
日本は、これから高齢化が極めて深刻に進んでいきますが、予算を分配する際には、少子化対策の予算を先に振り分けていく必要があります。

(4)結婚を奨励する。
-1 政府広報活動
・結婚後の子育ての公的支援制度の周知
・子育てライフプラン(正社員夫・専業主婦世帯、共働き世帯、母子家庭等)の例示
・医学的な妊娠・出産の適齢期、高齢出産リスクの教育と周知
-2 結婚資金の公的貸し付け(例:200万円)と出生数に応じた返還免除
-3 結婚・出産・育児に関する公的支援についての国家資格の創設と相談員の設置

子どもが生まれるためには、男女が将来に希望をもって結婚する必要があります。
日本の独身男女の約8割以上が、将来の結婚を希望しており、意欲には問題ありません。
結婚に至るまでには様々な経過をたどりますが、若い男女をマッチングする婚活については、社会の需要に応じて、民間産業が発達してきています。
政府の役割としては、婚活の開始時期を早くするための医学的な出産適齢期の周知・教育と、結婚後の子育ての不安を解消するための公的な支援体制やライフプランの提示が考えらます。また、結婚資金の調達が問題となり、結婚できない人々もいる事から、経済浮揚と結婚・出産の奨励を兼ねて、結婚資金を公的に貸し付けます。貸し付けた資金は、用途を限定した政府商品券として原則無利子で貸し出し、出産数に応じて返還を免除します。
日本の結婚・出産・育児の公的支援は複雑で分かりにくいため、国家資格を創設し、民間の結婚相談所や結婚式場、役所への相談員の配置し、若い夫婦が疑問点をすぐに相談できる環境を目指します。

(5)出産を奨励する。
-1 育児休業給付金の給付水準の増額(0歳児は家庭で育てる。)
-2 育児給付金の創設(世帯年収が一定以下の非正規労働者・専業主婦を対象)
-3 出生前診断の公的扶助
-4 若年出産や経済的に育てる事のできない児童のための児童養護施設の拡充
-5 不妊を理由とする離婚の承認

結婚後は、妊娠→出産→育児の順番で、子育ては進みます。
日本では晩婚化が進んでおり、晩婚の妊娠における問題点は、不妊の増加と染色体異常などの先天的な異常をもつ子どもの増加 になります。
不妊治療については、現行でも助成制度があります。
染色体異常などの先天疾患をもつ子どもの人数の増加へ対応は、下記の通りです。
① 高リスクの妊婦へは新型出生前診断などの検査費用を扶助し、選択肢を与える。
② 医学が進歩した結果、生命維持に重大な障害をもつ子どもでも延命することは可能となったものの、治せない病気は治せないため、両親に治療の継続の是非を委ねる。
医療技術の進歩と共に自然状態では生存できない子どもの人数は増えていきますが、延命に無尽蔵に予算を投じるのではなく、一定の線引きが必要でしょう。

次に、出産における問題は、出産の前後の生活費になります。
出産前後の生活費については、育児休業補償金が雇用保険から受け取れますが、充分な額とは言えず、また、受給要件を満たさない人は、受け取れません。しかし、出産前後は働けず、生活費は必要ですので、非正規労働者や専業主婦(世帯年収の制限あり)でも一定額を受け取れる育児給付金を設立します。
望まれない妊娠による若年出産などでは子殺し等の事件が起こりますが、これらの子どもは児童養護施設に預けることを推奨し、国が責任をもって育てます。
母子家庭などで母親が一人で育児をしていくのは困難な場合もありますので、母子家庭向けの児童養護施設を拡充し、子どもを集団生活で育てる制度(母親は週末などに育児参加する)も必要でしょう。

(6)育児環境(小学校入学前)を整備する。
-1 保育所の定員増員と保育士の待遇改善(給与・担当人数等)
-2 母子保養施設・環境の整備(育児疲れの母親のストレス軽減)

次に、育児環境になります。
保育所に預けた場合には、0歳児 30~40万円/月以上、1~2歳児 約20万円/月、3歳児以降 約10万円/月 の費用がかかります。
女性の社会参加を促すのは良いのですが、保育を他人に任せる場合の費用対効果についても、考慮する必要があります。
0歳児は、育児休業給付金を増額し、育児給付金を創設し、家庭での育児を推奨します。
1~2歳児は、保育費用がやや高額なため、選択肢としては、2通りを設けます。
① 保育所に子どもを預けて共働きする。
② 育児給付金をもらい家庭で育児する。
この場合には、他人の子どもを預かることによる育児給付金の増額制度を作ります。
(他人の子ども預かりには、共働き家庭の母親の子どもが熱を出した時などに代理として迎えに行ってもらう制度も創設します。)
3歳児以降については、幼稚園・保育所は基本として無償化します。
育児給付金は中止されますが、次の子どもが生まれていれば、育児給付金はそのまま再度、給付されます。母親は、一人だと育児ストレスを抱え込みますので、ストレスを解消させる必要があり、男性の育児参加でも良いのですが、小さな子どもをもつ女性が利用できる保養環境の整備(例:小さな子供をもつ女性が集まって、子どもを一時的に預けて、お茶会を開くなど)を進めます。

(7)子育ての環境(小学校から高校)を整備する。
-1 公的学童保育の拡充と指導プログラムの改善
-2 私的学童保育の拡充

小学校から高校に入学すると、教育費がかかりますが、これは可能な限り、無償化します。
(私立学校に対しても、授業料減免措置を考慮します。)
小学校の子どもをもつ共働き家庭で困ることは、小学校の終業時刻が15時頃であるのに、一般的な職場の終わる時刻が、17時15分になっているため、放課後の子どもをどうするかが困ります。
そのため、公的学童保育の拡充をすすめ、また、学童保育の指導内容についても検討を加え、高い思考力をもつ児童を育てます。私的学童保育もアフタースクールとして推進します。

(8)子育て世帯を経済的に支援する。
-1 幼稚園から高校までの教育費の無償化(例:授業料・給食費・通学関連費等)
(公立学校は無償化し、私立学校は助成を増やす。)
-2 第3子以降を中心とした児童手当の支給額の増額
―3 国民年金の第3号被保険者の資格要件に子どもの有無を入れる。

教育費は前述したとおりに子育ての世帯の大きな負担となり、子どもの数を増やす上での最大の障害となっています。よって、給食費等のすべての児童や学生が必要とするものは、無償化していきます。
児童手当も子どもの人数が多くなると、夫婦のうちのどちらかは、フルタイムで働くことが難しくなるため、3人目以降は、働けない事を考慮に入れて、支給額を大幅に増額します。子育ては各世帯の個人的なことであり、社会の負担とするのが、納得がいかない人もいると思いますが、子育て世代は若年世帯で収入も少なく、無い袖は振れないことを考慮すると、少子化対策の負担は社会で負担せざるを得ません。
最後に、将来的には、子供のいない夫婦世帯の扶養者を、国民全体で扶養する意義には乏しく、子どもがいないのであれば、共働きすることに支障はありませんので、国民年金の3号保険者より、外していくことも考慮すべきです。

社会保障(生活保護・生活保障)
<基本方針>
(1)生活保護は、働けない人と働ける人に分けて対応する。
(2)受給資格のある人は全員、受給できるようにする。
(3)受給資格の資産要件を緩和し、自宅等の一定限度の資産の保有を認める。
(4)働ける人に対しては、労働(技能習得含む)を義務化する。
(5)給付水準は、必要性ではなく、予算総額に応じて決める。
(6)資産のある低所得者に対する住宅扶助(家賃補助)等の支援制度を創設する。

(* 労働の可否による支援内容の決定、捕捉率の向上、受給資格の資産要件の緩和、労働の義務化、給付水準の見直しと医療扶助・介護扶助の制限、低所得者への支援の拡充を目指す。)

社会保障(生活保護・生活保障)の基本方針の説明
日本は、高度経済成長を経て、物質的に豊かな社会になりました。
現在の国力であれば、全国民に対して、最低限の衣食住を供給することができます。
多くの人々は、労働の対価として賃金を得て生活していますが、能力に応じた資金の分配は時に著しい貧富の格差を生じ、働いても生活するのに十分な収入が得られない人々を生み出します。また、何かのきっかけで病気を発症し、働くことができなくなり、収入が得られなくなる人々もいます。
第二次大戦直後のように分け与える物品自体がない時代であれば仕方ありませんが、現在の日本は、ものが豊富にある時代であり、これらの人々の生活は支えていくことが可能でしょう(*1)。

現在の生活保護制度は、資産と能力等のすべてを活用してもなお生活に困窮する者に対し、困窮の程度に応じた保護を実施し、自立を促すことを目標としています。
ここでは、現行の生活保護制度の概要については述べませんが、
現制度の問題点は、下記の二点だと思われます。
① 生活保護の利用率・捕捉率が低く、生活困窮する人々の一部しか利用できていない点
② 資産のある低所得者は、支援を受けられない点
①の例としては、生活保護の申請を断られ、餓死する人々がいます。
②の例としては、生活保護の受給要件にすべての資産を活用する必要があるため、生活保護の受給者よりも低い生活レベルの一般労働者が多数存在しています。そのため、勤労に励む低所得者に対して、生活支援を行い是正していく必要があります。(*2)

これからの生活保護・生活保障制度は、下記の点をふまえて、制度の再設計をします。
① 受給者の労働の可否
② 予算総額を決めたのち、分配を決める。
(生活扶助・住宅扶助の給付を優先し、医療扶助・介護扶助の給付は制限します。)
③ 受給時の所有する資産条件の緩和
④ 低所得の労働者への生活保障・支援(住宅扶助など)

はじめに、生活保護の受給者を働ける人か、働けない人かに分けて対応します。
前者の働けない人の例としては、高齢、傷病、障害世帯があり、このグループには、生活保護制度を利用している世帯の約8割が含まれています。将来的に、平均寿命の伸長により、貯蓄が尽きてしまい、基礎年金のみでは生活がなりたたない高齢者世帯が増加していくと予想されます。
現行の制度では、生活保護を受ける際には、すべての資産を処分する必要がありますが、日本国内の空き家が増加している状況を考慮し、資産価値の乏しい自宅等の所有を認めます(*3)。また、地方では生活の足として、自動車は必要ですが、個人所有とすると、高コストになりますので、公的な福祉用自動車等のカーシェアリングにて対応します。
後者の働ける人の例としては、母子家庭などが挙げられます。
これらの人々の受給要件に、一定時間の労働(有償、もしくは、無償(市町村が承認します。))、あるいは、技能訓練を行うことを追加します。つまり、本人が努力しても、最低限の生活が維持できない場合には、公的に生活を支援します。また、勤労意欲を促すために定期的に年度毎に給付限度の減額を行います。(数年ごとに支給額はリセットします。)
現在は、支援の対象外である資産を有する低所得者に対しては、住宅扶助(家賃援助)を行い、生活を支援します。(公営住宅の入居者については、家賃の減額等を考慮します。)
生活保護の予算は限られていますので、生活扶助と住宅扶助を中心に給付し、医療扶助・介護扶助には支給限度額等の制限を設けます。(*5)

(*1 工業製品や農産物は、少ない労力で大量に生産を増やせますが、人力で生み出すサービス(医療・介護・保育など)は大量に生産を増やせず、供給に限度があります。)
(*2 低所得者は、所得を貯蓄に回す割合が少なく、潜在需要をもつため、資金供給により、新たな消費者が生まれ、日本経済は活性化します。)
(*3 将来的に空き家は増加し、本人以外にとっては資産価値に乏しい住宅が増加します。無理に自宅を処分するより、本人が住み続けた方が有益でしょう。ただし、相続には制限を加えます。)
(*4 生活保護により分配する物資の質の目標は、必要最低限、簡素であるが、生活する上では差支えがないものとします。医療扶助・介護扶助については、無制限の現物給付をやめて、入院を除き、月の支給額を決め、範囲内で治療します。制度整備の前に、支給状況の把握と、医師の電子カルテ等での医療の給付状況を知らせるシステムが必要です。)

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