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高血圧と肥満|名古屋糖尿病内科 アスクレピオス診療院|名東区の糖尿病専門医

高血圧と肥満

高血圧と肥満|名古屋糖尿病内科 アスクレピオス診療院|名東区の糖尿病専門医

高血圧と肥満

公開日: 2021年10月31日

最終更新日: 2022年12月28日

肥満症は、日本人の4人~5人に1人に認められる非常に多い病気です。

血圧は、体重が増えるにつれて、高くなることが知られており、肥満は、高血圧のリスクになります。

逆に、体重を減らすと、血圧は下がり、将来、高血圧を発症するリスクは低下します。

肥満は血圧を上昇させる以外にも、糖尿病、脂質異常症などの動脈硬化を促進する病気のリスクを高め、将来の脳や心臓の血管の病気の発症リスクを高めます。

太りすぎや肥満の人は、食生活や運動習慣を見直し、適性体重に維持しましょう。

肥満の基準を教えてください。

体脂肪量を測定する簡便な方法が無いため、肥満の判定には、BMI(体格指数、body mass index)という指標が広く用いられています。

WHOによる肥満(obese)の判定基準は、BMI 30以上ですが、日本ではBMI 25以上を肥満としています。

これは、日本人では、BMIが25を超えると、高血圧、糖尿病、脂質異常などの合併症の頻度が高まる事が理由です。

肥満度の指標であるBMI(体格指数)は、体重(kg)を身長(m)の二乗で割ることにより、計算します。

世界と日本における肥満の人の割合を教えてください。

肥満は、世界中で増加しており、大きな健康問題となっています。

2016年の時点では、18歳以上の19億人以上の成人が太りすぎ(BMI 25以上)であり、これらのうち、6億5000万人以上の成人が肥満です。

人口の割合で示すと、世界の成人の39%(男性の39%、女性の40%)が太りすぎであり、成人の約13%(男性の11%、女性の15%)が肥満でした。

肥満の人の割合は、1975年から2016年の間に約3倍に増加しています。

日本では、令和元年度の国民健康・栄養調査報告によると、20歳以上の成人の肥満者の割合は、男性33.0%、女性22.3%と報告されています。

日本の肥満の人の割合の推移を教えてください。

1980年には、男性 20.6%、女性 18.4%の人が肥満でした。

2017年には、男性 30.7%、女性 19.7%の人が肥満です。

1980年と2017年を比較すると、女性の肥満者の割合はほぼ横ばいですが、男性では1.5倍に増加しています。

ただし、ここ最近の10年間では、日本の肥満者の割合は、あまり変化がなく、横ばいの状況が続いています。

 肥満者(BMI≧25 kgm 2)の割合の年次推移(20- 69歳)(昭和55年-平成29年)

縦軸:肥満者の割合(%)
横軸:年号
■男性 ●女性


櫻井 勝 日循予防誌 第54巻より引用

体重が増えると、血圧はどうなりますか?

体重が増えると、血圧が高くなりやすくなり、高血圧を発症するリスクが上昇します。

次の図は、2008年の日本の大学の新入生の健康診断で測定したBMI(肥満度)と血圧の関係を表したものです。

BMI値と血圧値の関係
村谷 博美 人間科学 2021年より引用

BMIが高くなるにつれて、徐々に血圧が高くなる傾向があることが分かります。

上図では、BMIが1増加するごとに、収縮期血圧は、男性 1.68mmHg、女性 1.38mmHg、拡張期血圧は、男性 0.6mmHg、女性 0.49mmHg上昇しています。

体重が増えると、血圧がどの程度上昇するかについては、年齢、身長や体格、性別等の影響を受けるため、一概には言えません。

体重が増えると、血圧が上昇するメカニズムを教えてください。

体重が増えると、次のような機序で血圧が上昇すると推定されています。

肥満により血圧が上昇するメカニズム

  • 交感神経の活性化
  • レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系の活性化
  • 腎臓での水や塩分の再吸収の増加
  • 高インスリン血症

肥満の人では、交感神経の活性化により、血圧上昇とともに脈拍数の増加がみられます。

インスリンは、糖分を体に取り込むホルモンですが、同時に、腎臓でナトリウム(塩分)の取り込みを増やす働きがあります。

アルドステロンは、血圧に深く関係するホルモンで、腎臓でナトリウムを取り込み、カリウムを外に出す働きをしています。

肥満の人では、インスリンやアルドステロンの作用が強くなり、水分や塩分を体にため込みやすくなり、血圧が上昇しやすくなります。

そのため、降圧薬の効果が不十分な肥満の人に、利尿薬を少量追加し、溜まりすぎた塩分と水分を体外に出すと、血圧が下がりやすくなる場合があります。

肥満の人は、糖尿病や脂質異常症などを合併するリスクが高く、動脈硬化が進行しやすい点にも注意が必要です。

体重を減らすと、血圧は下がりますか?

複数の研究をまとめて解析した研究(メタアナリシス)では、体重を1kg減らすと、血圧は約1mmHg低下すると報告されています。

ただし、体重減少に伴う血圧低下の度合いは、報告により差があります。

体重を減らすためには、一般的には、食事のカロリーを制限するか、食事制限に加えて定期的な運動が必要です。

食事の制限を行う場合には、同時に、減塩やカリウムを多く含む野菜の摂取を指導することが多く、これらの食生活は、血圧を低下させます。

また、定期的な運動によっても、血圧は低下します。

体重減少による血圧低下は、純粋な体重減少の影響だけでなく、これらの食事制限や運動の影響も含まれていることに注意が必要です。

体重を減らせば、将来の高血圧の発症のリスクは下がりますか?

体重を減らすと、将来の高血圧の発症リスクを下げる事ができることが知られています。

1987年に米国のメリーランド州で、体重を減らすと高血圧の発症を予防できるかどうかを調べる試験が行われました。

30歳~54歳の男女181人に対して、減量を目標としたライフスタイルの修正を18ヵ月間にわたり行い、7年間の追跡調査を行いました。

ライフスタイルを修正した人では、介入後に一旦体重は減量しましたが、7年後の追跡調査の時には、体重が増えて、ライフスタイルの修正を受けなかった人と同じくらいになりました。

しかし、高血圧の発症率には大きな差があり、ライフスタイルの修正を受けなかった人のうち、40.5%の人が高血圧を発症しましたが、ライフスタイルを修正し減量した人では、18.9%の人が高血圧を発症したと報告されています。

肥満がリスクになる高血圧以外の病気を教えてください。

肥満は、脳卒中や心筋梗塞などの脳や心臓の血管の病気、糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症などの生活習慣病、特定のがん、腎臓病、血栓症、膝や腰などの関節の病気など、さまざまな病気を発症するリスクを高めます。

肥満は、万病のもとです。

太りすぎの方は減量して、適性体重を維持しましょう。

肥満と高血圧の関係の解説は以上です。

アスクレピオス診療院では、糖尿病や高血圧の生活習慣病の専門家が治療に当たっています。

高血圧のことでお困りなら、当院にご相談ください。

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