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尿酸が高い・・高尿酸血症ってどんな病気? - 高尿酸血症と痛風の関係|名古屋糖尿病内科 アスクレピオス診療院|名東区の糖尿病専門医

尿酸が高い・・高尿酸血症ってどんな病気? - 高尿酸血症と痛風の関係

尿酸が高い・・高尿酸血症ってどんな病気? - 高尿酸血症と痛風の関係|名古屋糖尿病内科 アスクレピオス診療院|名東区の糖尿病専門医

尿酸が高い・・高尿酸血症ってどんな病気? - 高尿酸血症と痛風の関係

公開日: 2019年9月30日

最終更新日: 2022年12月30日

 
「高尿酸血症」「痛風」という病気を耳にしたことのある方は多いと思います。
 
では、この高尿酸血症や痛風とは、どんな病気なのでしょうか?
 
簡単に説明すると、
 
高尿酸血症は、血液中の尿酸値が高くなる病気です。
 
痛風は、尿酸が足や膝などの関節に尿酸が析出し、関節の痛みや腫れをきたす病気です。

 
以上です・・・では、簡潔すぎますので、
 
これから、医療従事者でない方にも分かりやく、高尿酸血症がどういう病気なのか紹介していきます。
 

 
 

 
 
 
 

尿酸って何?

 
今回の話題の中心にある「尿酸」ですが、これは「プリン体」という物質が体内で分解されてできた老廃物です。
 
尿酸の元になるプリン体は、体内で生合成されるものと、食事から摂取されるものがあります。
 
(プリン体フリーのビールとか聞いたことはありませんか?)
 
尿酸は、ヒトの体内の細胞内で、1日約700mg作られており、尿酸の大部分(1日約500mg)は、腎臓から尿を通じて体外に排泄されています。
 
これだけなら問題は生じないのですが、
 
困ったことに、
「尿酸には水に溶けにくい」
という性質があります。
 
つまり、血液中の尿酸が増えすぎると、体液中に溶けきれなくなり、患者さんの体のあちこちで、尿酸が結晶化し、尿酸塩結晶として析出してきます。
 
析出した尿酸塩の結晶は、体にとって異物ですので、足の関節などで析出・結晶化すると、
 
炎症をきたし、関節が腫れあがる(痛風発作)など、体にとって良くない事をおこします。
 
 
 
 

高尿酸血症の診断基準

 
先ほど、尿酸は水に溶けにくいことを説明しました。
 
尿酸が発症に関係する病気の多くは、体液中に溶けきれなくなった尿酸が体のあちこちに析出することで生じます。
 
高尿酸血症の基準には、尿酸が体液に溶ける事ができる濃度を用いるのが良さそうです。
 
では、尿酸はどのくらいまで水に溶けるのでしょうか?
 
通常の条件では、尿酸の血漿中の溶解度は、7.0mg/dlになります。
 
そのため、高尿酸血症は、血清尿酸値が 7.0mg/dl 以上 と定義されています。
 
つまり、尿酸値が7.0mg/dlを超えると、
体液中に溶けきれなくなった尿酸が体のあちこちに析出し、悪さをし始めるという事ですね。
 
 
 
 

尿酸値が高くなるのはなぜ?

 
次に、血液中の尿酸値が高くなるメカニズムを説明します。
 
通常、体内の尿酸の量は、1200mgと一定に保たれています。
 
しかし、尿酸の産生量や排泄量などの尿酸代謝は、食事などの影響を受けて変動します。
 
つまり、
 
① 尿酸の生産量が増える。
(例:プリン体・果糖の摂取多い)
→ たくさん、外に出す必要がある。

 
② 尿酸の排泄量が減る。 
(例:腎臓が悪い) 
→ 体にたまりやすくなる。

 
の関係になっています。
 
尿酸は、大部分を腎臓から尿を通じて体外に排泄しており、腎臓から排泄する能力にも制限があるため、
 
尿酸の産生が増える、体質的に排泄しにくいなどの要因があると、血液中の尿酸値は、高くなってしまうという事です。
 
ちなみに医学の病型分類としては、
 
・尿酸産生過剰型 
・尿酸排泄低下型 
・混合型(両方がある人)
 
に分類されています。
 
 
 
 

高尿酸血症をきたす原因

 
尿酸が高くなる原因は、尿酸の産生が多い、または、尿酸を外に出しづらい からという事が分かりました。
 
もう少し、詳しく原因を説明すると、
以下のような場合があります。
 
① 遺伝的・体質的に尿酸を排泄しづらい。
 
② 尿酸の元となるプリン体・果糖を含む食品の摂取量が多い。
 (=尿酸の元をとりすぎ)

 (例:プリン体の多い食品:アルコール・肉類・魚介類 他)
 
③ 体内での尿酸の生産量が多い。
 (=甲状腺機能低下症・悪性腫瘍など)

 
④ 腎臓から尿酸を排泄できる量が少ない。
 (=脱水・腎不全など)

 
⑤ 利尿薬などの薬剤
 (=薬の副作用で、尿酸が尿中にだしづらいなど)

 
 
高尿酸血症の多くは、これだと言える原因が分からない場合が多いのですが、
 
基礎疾患や薬物などの原因が明らかな場合には、二次性高尿酸血症と呼ばれます。
 
 
 
 

高尿酸血症の合併症

 

高尿酸血症の合併症はどこに起こる?

 
それでは、高尿酸血症が続くと、
何が起きるのかを説明したいと思います。
 
尿酸の産生が過剰になったり、尿酸の排泄が低下したりして、血液中の尿酸の濃度が高くなると、
 
尿酸が、体のあちこちで析出して結晶を作り、さまざまな症状をきたします。
 
昔からよく症状がでるところとして知られている臓器には、関節、腎臓、尿管があります。
 
① 尿酸が関節内で析出して炎症をきたした痛風
② 尿酸が腎臓に析出沈着して腎障害をきたした痛風腎
③ 尿酸が尿管(尿の通り道)で析出した尿路結石 
 
などが代表的です。
 
血清中の尿酸値が高ければ高いほど、
高尿酸血症の合併症の頻度は上昇します。
 
また、近年では、高尿酸血症は、高血圧・心・脳血管病のリスクとなる可能性も示唆されています。
 

痛風

 
次に、高尿酸血症の合併症の代表例である
痛風について説明します。
 
痛風の関節炎は、痛風発作と呼ばれています。
 
症状としては、足・手などの関節に尿酸が析出し、炎症をおこし、赤く腫れあがり、歩行困難になります。
 
急性期の治療は、痛み止め・コルヒチンによる対症療法になります。
 
一旦、症状が治まると、次の発作まで自覚症状はありませんが、次第に痛風発作が頻発するようになります。
 
尿酸のコントロールが悪いと、痛風結節と呼ばれるできものができたり、関節炎を繰り返し、関節が破壊されたりします。
 
痛風発症リスクを避けるため、
平時からの高尿酸血症の治療が必要です。
 
尿酸と痛風発作の図
上図は、痛風発作をおこしやすい関節です。
 
 
 

高尿酸血症の治療

 

治療開始の基準と治療目標値

 
最後に、高尿酸血症の治療についてです。
 
高尿酸血症の治療は、将来の高尿酸血症の合併症を避けること、つまり、尿酸を析出させないことが目標です。
 
また、血液中の尿酸値の濃度が高ければ高いほど、尿酸は析出しやすくなります。
 
尿酸値 7.0mg/dl以上の方は、
全て治療してもよさそうですが、
 
費用対効果と薬の副作用も考慮しますので、
 
高尿酸血症の合併症(痛風など)がある人
(症候性高尿酸血症)
→ 尿酸値 8.0mg/dl 以上

 
まだ、症状がでたことがない人
(無症候性高尿酸血症)
→ 尿酸値 9.0mg/dl 以上

 
が治療開始の基準として推奨されています。
 
(ただし、他の病気も総合判断して、治療の是非は決定します。)
 
治療目標値は、尿酸値 6.0mg/dl 未満
推奨されています。
 
 

高尿酸血症の治療法

 
高尿酸血症の治療方法は、
 
① 生活習慣の改善
 
② 高尿酸血症に合併することの多い生活習慣病(肥満、メタボリックシンドローム、糖尿病、高血圧、脂質異常症など)の治療
 
③ 尿酸降下薬の投与
 (尿酸排泄促進薬、尿酸生成抑制薬 他)

 
をおこないます。
 
生活習慣の改善については、
 
食事療法として
体内での尿酸産生が増えやすくなる過食、
 
高プリン食(例:肉・魚介類)・果糖(例:果物)の食べ過ぎ、
 
アルコール多飲などの生活習慣を避けます

 
次に、高尿酸血症に合併することが多く、
リスクとなりうる生活習慣病を治療をします。
 
(例:肥満、メタボリックシンドローム、高血圧、糖尿病、脂質異常症等)
(治療の例:肥満なら、食事・運動療法による減量など)
 
これらの病気は、放置すると、動脈硬化をきたしたり、腎臓を悪くすることもあり、
 
別の意味でも注意・治療が必要です。
 
最後に、薬物療法ですが、高尿酸血症の代表的な治療薬には、尿酸の産生を抑える薬と、尿酸の排泄を促す薬の二種類があります。
 
現在では、尿酸の産生を抑える薬を良く使います。
 
加えて、高尿酸血症には、糖尿病、高血圧症、高脂血症(脂質異常所)等の疾患を合併することが多いため、
 
脂質異常症の治療薬のフェノフィブラート(1)
 
降圧薬のロサルタン(2)、イルベサルタン(3)
 
血糖降下薬のSGLT2阻害薬(4) など
 
の他の疾患を治療しながら、尿酸値を下げる効果のある薬を使用する場合があります。
 
加えて、尿酸値は、脱水になると上昇することがあるため、十分な水分摂取をすることも必要です。
 
 
 
以上が、痛風・高尿酸血症の説明です。
 
高尿酸血症は、男性に多い健康診断で指摘されることもある生活習慣病の一つです。
 
もし、お困りなら外来にてご相談下さい。
 
 
文責・名古屋市名東区の糖尿病内科 アスクレピオス診療院 糖尿病専門医 服部 泰輔
 
参考文献リスト
 
高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版 
Hyperuricemia NCBI book shelf(5)(6)(7) 他
 
 
 
 
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