糖尿病の食事の食べ方 ー 肥満・食後高血糖・血糖スパイクを抑える方法
糖尿病の食事の食べ方 ー 肥満・食後高血糖・血糖スパイクを抑える方法
公開日: 2019年9月30日
最終更新日: 2021年9月22日
健常な人の血糖値は、食前・食後ともに変わらず、100 mg/dl 前後です。
糖尿病になると、食事による糖分の負荷のかかる食後の血糖から徐々に上がってきます。
今回は、糖尿病患者さんにとって体に優しい食事の食べ方について説明します。
エサを頬張り、早食いするリス
食事の食べ方については、
① ゆっくりよく噛んで食べる。
② 糖分の吸収をゆっくりにするため、ご飯を後にして、野菜・肉・魚から先に食べる
③ 夕食後以降は間食を控える。
の3点が重要です。
ゆっくりよく噛んで食べる事が重要な理由は、早食いすると、食事を開始してから、満腹感を感じるまでに時間がかかるため、食事の量が多くなりがちになるからです。
早食いは、ゆっくりよく噛んで食べるのと比べて、食後の血糖が上昇しやすくなります。
疫学研究でも、早食い習慣のある人は、ゆっくり食べる人と比較し、メタボリックシンドロームを発症するリスクが上昇します。
早食いは、体重増加、血糖値上昇、腹囲周囲径の増加と関連していることも報告されています。
よく噛んで食べることは、健常者では、食後の高血糖を抑制することができます。
一包、糖尿病患者や糖尿病予備軍の方では、食後の高血糖を抑制できるかは明らかではありません。
日本人は江戸時代中期までは1日2食でしたが、中期以降から1日3食食べるようになりました。
食事の回数については、はっきりとした見解は得られていませんが、
1日の摂取カロリーを同じにして、朝食を多くすると、体重減少効果が得られることが報告されています。
次に、食べるもの(米飯、野菜、肉・魚)の順番は、食後血糖に影響します。
米飯の前に野菜を食べると、食物繊維が糖や脂質の吸収を抑制し、食後の血糖上昇を抑えることができます。
肉や魚を先に食べても食後血糖の上昇を抑制する事ができます。
血糖値が上昇すると、ヒトは満腹感を覚えます。
どこの国のフルコース料理でも、血糖を上昇させる白米・デザートは最後に食べるようになっています。
これも食事を最後までおいしくいただくための知恵なのかもしれませんね。
夕食以降は間食をしない理由は、これは、夜間の血糖値をなるべく平穏に保つためです。
健常者の血糖値は、1日中、食前食後をつうじて、100mg/dl前後で平坦になっていますが、糖尿病の方では、食後から血糖値が上がってきます。
そのため、眠前の間食は、寝ているときに大きな血糖値の山を作ることがあるため、避けるようにしましょう。
以上が、糖尿病患者さんにとって、体に優しい食事の食べ方になります。
食事は、ゆっくりよく噛み、夜食は避けて、夕食以降は間食を食べるのはやめましょう。
文責・名古屋市名東区の糖尿病内科 アスクレピオス診療院 服部 泰輔
参考文献リスト:
Yamaji T. et al. Abstract 20249: Slow Down, You Eat Too Fast: Fast Eating Associate With Obesity and Future Prevalence of Metabolic Syndrome Circuration. 2017
Suzuki H et al. Effects of thorough mastication on postprandial plasma glucose concentrations in nonobese Japanese subjects. Metabolism. 2005
食べる順番による血糖値および尿中インスリン量の変動に関する研究
→ 糖尿病食事療法 – 献立・レシピで気をつけること の記事
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