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低血糖症って何? - 症状・原因・検査・治療から、救急車を呼ぶタイミング

低血糖症って何? - 症状・原因・検査・治療から、救急車を呼ぶタイミング

公開日: 2019年10月8日

最終更新日: 2019年11月16日

 
低血糖症(低血糖)ってどんな状態なのでしょうか。
 
糖尿病を治療されている方ではよく注意するように説明を受けると思います。
 
今回は、低血糖について、わかりやすく説明します。
 
低血糖症とは何か? うりぼうは語る
うりぼう:いのししの子供
 
 
<概要>
 
低血糖は、血糖値(ブドウ糖・グルコース)が非常に低くなった状態です。
 
低血糖は、糖尿病の治療に伴って生じる事が多いのですが、
 
糖尿病ではない方でも、様々な原因で低血糖をきたすことがあります。
 
低血糖そのものは、病気ではなく、発熱・疼痛と同じように症状です。
 
血糖値が70mg/dl以下に低下すると、
ほとんどの人で低血糖の症状を認めます。

 
代表的な症状としては、動悸、発汗、振戦などの自覚症状が出現します。
 
血糖値が50mg/dlを下回ると、
錯乱などの中枢神経症状を生じ、意識障害をきたす場合もあります。

 
低血糖の治療には、ブドウ糖の粉やタブレット、糖分を含む食べ物や飲み物、薬物が用いられます。
 
長期にわたり、低血糖を繰り返す場合には、原因の精査と治療が必要です。
 
 
 
 

 
 
 
 

低血糖とは

 
低血糖は、血糖値が低下した状態です。
 
健常者では、血糖値は、70mg~99mgの間にコントロールされています。
 
血糖値が、70mgを下回ると、低血糖と呼ばれます。
 
この症状は、糖尿病患者によく認められます。
 
 
 
 

低血糖の症状

 
血糖値が、70mg/dl未満に低下すると、
 
空腹感 
動悸 
発汗 
眠気 
めまい 
不機嫌 
過敏性 
不安 
疲労感
 
 
などを認めます。
 
さらに、低血糖が悪化すると、
 
混乱
かすみ目
けいれん
意識消失
昏睡
 
などの中枢神経症状をきたす
場合があります。
 
頻回に低血糖発作を起こされている方では、動悸・発汗などの自覚症状が乏しくなり、
 
(=無自覚低血糖)
 
気がつくまでに重篤化することがあります。
 
 
 
 

低血糖の原因

 
低血糖をおこす方の多くは、糖尿病患者です。
 
糖尿病の方では、1型糖尿病の人、または、特定の薬を使用している2型糖尿病の人に生じることが多いです。
 
糖尿病で低血糖を起こす頻度が高い薬は、
インスリン、または、膵臓のβ細胞に直接作用し、インスリン分泌を促す内服薬
です。
 
例としては、下記のものが挙げられます。
 
・インスリン
 
・スルホニル尿素薬
(2世代:グリベンクラミド、グリクラジド、3世代:グリメピリド)
 
・速効型インスリン分泌促進薬
(ナテグリニド、ミチグリニド、レパグリニド)
 
その他の血糖降下薬である
 
・ビグアニド
・チアゾリジン、
・αグルコシダーゼ阻害薬、
・DPP-Ⅳ阻害薬、
・SGLT2阻害薬、
・GLP-1製剤
 
は、低血糖を起こしにくい薬です。
 
しかし、インスリンやスルホニル尿素薬、速効型インスリン分泌促進薬と併用すると、
 
低血糖をきたす可能性があります。
 
食事の炭水化物の量に対して、インスリンや血糖降下薬を過剰投与すると、
 
低血糖になる場合があり、注意が必要です。
 
例:感染症に罹患し食欲がないとき
  食事を食べずにアルコールを飲んだとき
 
インスリンを使用中の方では、食事がとれないときに、インスリンの投与量をどうすべきか、主治医の先生に予め確認して下さい。
 
(インスリンには全体的に血糖を押し下げる基礎インスリンと、
 
食事の糖分を体に取り込ませるための速効型・超速効型インスリンの2種類があります。
 
食事用の速効型・超速効型のインスリンは、食事がとれないときに投与量の調節が必要になります。)
 
運動により、筋肉にグルコースが取り込まれ、運動中、または、運動後に低血糖をきたす場合があります。
 
この現象は、インスリン分泌の枯渇した1型糖尿病でよく認められます。
 
重度の労作や運動をされる場合には、体を動かす前に、補食をすべきかを、主治医の先生に確認してください。
 
糖尿病でない方が、低血糖をきたした場合には、下記の可能性があります。
 
1 反応性(食後)低血糖
 
2 空腹時低血糖
 
反応性(食後)低血糖は、食事に応じて分泌されたインスリンが過剰になり、
 
一旦上昇した血糖値が食後数時間後に下がりすぎる事で生じる低血糖です。
 
胃を切除した人に発生する事がありますが、
 
この手術を受けたことがない人にも起こります。
 
空腹時低血糖は、様々な原因で生じます。
 
例:
アスピリン・サルファ薬などの薬物
アルコールの飲みすぎ
肝臓、腎臓、心臓、膵臓の病気
血糖を上昇させるホルモン(例:コルチゾール)が低い場合
特定の腫瘍
 
長時間の絶食後(例:朝食前)に生じることが多いです。
 
絶食後や朝食前に、低血糖の症状を認めたら、医療機関を受診しましょう。
 
→ 糖尿病ではない低血糖の原因 の記事
 
 
 
 

低血糖の診断と精査

 
低血糖を診断する際には、低血糖症状が出現している時に、血糖値を測定します
 
通常、インスリンを使用されている方では、自己血糖測定を指導されています。
 
1型糖尿病やインスリン使用中の高齢者等の
 
意識障害を伴う低血糖をきたす可能性がある場合には、
 
家族が血糖測定の手技を習得しておくのが望ましいです。
 
低血糖が頻回に生じる場合には、
 
皮下連続式グルコース測定システム(Continuous Glucose Monitoring system; CGMS)を用いて、
 
日内の血糖推移を調べる場合があります
 
反応性低血糖を疑った場合には、
他国では混合食負荷試験が行われていますが
日本では保険適応がありません。
 
日本では、経口血糖負荷試験を、
通常の120分から、180分、240分と延長し、低血糖の有無を確認します。
 
ただし、健常者の10パーセントの方にも、4〜6時間のOGTT中に最低 50 mg/dL 未満の血糖値を示すため、経口血糖負荷試験の意義は懐疑的です。
 
空腹時低血糖を疑った場合は、問診、身体診察、内服薬の確認、ホルモン検査などを行います。
 
精査のために、入院し、絶食時間が長くなると、低血糖発作をきたすかどうかを調べる絶食試験を行う場合があります。
 
 
 
 

低血糖の治療

 
低血糖の自覚症状をきたし、血糖測定が可能な場合には、血糖値が70mg/dl未満であることを確認します。
 
次に、血糖値が70mg/dl未満の場合には、ブドウ糖10g、または、20gを内服します。
 
(ブドウ糖が手元にない場合には、清涼飲料水(ゼロキロカロリーを除く)でも代用可能です。
 
例えば、コカコーラであれば、100mlあたり11.3g の砂糖が含まれています。)
 
内服15分後に再度、血糖値を測定し、血糖値が少なくとも70mg/dl以上になり、自覚症状が消失するまで、ブドウ糖の内服を繰り返します。
 
低血糖を治療する際には、炭水化物の選択は重要です。
 
消化吸収に時間のかかる炭水化物(例:玄米や米など)ではなく、血糖値の上がりやすい、グルコース、または、砂糖を含む食品を摂取して下さい。
 
糖尿病でない方の場合には、低血糖への対処方法は、原疾患により異なるため、原因の精査が必要です。
 
 

救急車を呼ぶタイミング

 
低血糖で救急車を呼ぶタイミングは、下記の2つのときが多いです。
 

低血糖により、意識障害、錯乱、混乱等をきたしているとき

 
低血糖により、意識障害をきたしている場合には、無理に口を開けて糖分を摂取させずに、救急車を呼んでください。
 
(家人がグルカゴン注射を打つことも可能ですが、日本ではほとんど行われていません。)
 
これは、意識障害の原因として、
 
低血糖以外の原因(例:脳卒中など)も考慮される。
 
意識障害をきたす低血糖の場合には、血糖降下薬の過剰・蓄積のため、低血糖が遷延することがある。

 
ためです。
 

ブドウ糖を何回内服させても、低血糖を繰り返すとき

 
低血糖への対応を繰り返しても、
 
再度、低血糖を繰り返すときには、
 
インスリン・血糖降下薬の過剰投与や、
 
胃腸炎による脱水等で薬が体内に蓄積している場合が考えられます。
 
この場合には、薬が完全に抜けるまでに、1日~3日程度の時間がかかる場合があり、
 
入院して、血糖管理をするのが安全です。
 
 
 
 

低血糖の予防

 
糖尿病の方が、低血糖を避ける場合には、血糖コントロールをよくすることになり、
 
次の方法が考えられます。
 
① 毎日、食事を決まった時間に食べる。
 
② 規定通りの食事の量(食後の高血糖は、糖質が重要です。)を食べる。
 
③ 運動は、食後30分~1時間に運動する。
 
④ 薬を投与する前にインスリン量(特に食事により変更する場合)や、血糖降下薬を確認する。
 
⑤ 運動をする前に、補食の必要性を主治医に確認する。

 
→ 糖尿病の運動療法 - 効果・種類・禁忌・必要性から低血糖までの解説 の記事
 
 

低血糖の長期的な悪影響

 
低血糖は、短期的に動悸・発汗を覚えたり、重篤になると、意識障害や昏睡に至る事を説明しました。
 
では、低血糖には、他に悪影響はないのでしょうか。
 
低血糖は繰り返すと、徐々に体が低血糖に慣れていきます。
 
そして、自覚症状が乏しくなり、無自覚低血糖をおこします。
 
痛みなどの自覚症状は、生体の防御反応ですので、これが生じないのは、大変な問題となります。
 
例えば、血糖値が下がったときに、血糖値を上げる働きがうまく作動せず、そのまま意識障害をきたしてしまいます。
 
また、低血糖を繰り返すと、認知症になりやすくなったり、心臓血管死のリスクになる事が知られています。
 
 
 
以上です。
 
今回は、低血糖の基本的なメカニズムや対応についてお話ししました。
 
糖尿病でお困りのことがあれば、
どうぞ、ご相談下さい。
 
文責・名古屋市名東区の糖尿病内科 アスクレピオス診療院 糖尿病専門医 服部 泰輔
 
 
<参考文献>
 
Hypoglycemia NCBI Book
 
Hogan MJ. et al. Oral glucose tolerance test compared with a mixed meal in the diagnosis of reactive hypoglycemia. A caveat on stimulation. Mayo Clin Proc. 1983
 
S Kalra. Hypoglycemia: The neglected complication Indian J Endocrinol Metab. 2013
 
Rhee SY. Hypoglycemia and Dementia. Endocrinol Metab. 2017
 
 
 
→ 「糖尿病内科 in 名古屋」の記事一覧
 
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