スギ花粉症と思っていた人の半数には、他の花粉にもアレルギーがある。
スギ花粉症と思っていた人の半数には、他の花粉にもアレルギーがある。
公開日: 2020年2月3日
最終更新日: 2021年9月22日
本年も2月となり、スギ花粉の飛散時期が近づいて来ました。
愛知県のスギ花粉の飛散開始時期は、概ね平年並みの2月中旬から下旬頃と予測されています。
→ 愛知県の花粉飛散予想(tenki jp 外部リンク)
花粉症は、日本人の4人に1人がもっている国民病です。
花粉症になると、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどのつらい症状が出現します。
花粉症の中では、スギ花粉のアレルギーが最も多いのですが、
実は、自分ではスギ花粉症だと思っていても、スギ以外の花粉、ダニ、ハウスダストなどにアレルギーがある人が、約半数程度います。
スギ以外の花粉にもアレルギーがある場合には、スギの開花時期以外にも花粉症対策が必要となったり、
ダニやハウスダストなどにアレルギーがある場合は、家のこまめな掃除など、対策すべき事柄が変わります。
スギ花粉症と自己診断する前に、一度、自分かどのようなものにアレルギーをもっているのかを検査して確認しましょう。
今回、紹介する文献は、
平成12年度にスギ花粉症だと自己診断している方を対象にして、本当にスギ花粉症なのか、どんなアレルギーをもっているのかを調査した研究になります。
具体的には、対象者は、2月から4月に春にくしゃみ、鼻水、鼻づまり、目の症状などの一般的な花粉症症状を認め、スギ花粉症と自己診断している大阪府吹田市の患者さんです。
対象者の人数は、300名(男性 175名、女性 124名)、平均年齢は、男性 28.8歳、女性 34.1歳であり、
被験者のうち、20歳代の人が、約3分の2を占めていました。
調査したアレルゲン(アレルギーをおこすもの)は、次のものになります。
はたして、スギ花粉症と自己診断していた人のどのくらいの人が、正しく診断できていたのでしょうか?
興味がありますね。
では、結果を見てみましょう。
下の図は、被験者の方の各アレルゲンの陽性率です。
スギ花粉症と自己診断していた人が、実際に、スギ花粉に陽性だったのは、78.9%の人でした。
男女別の陽性率は、男性 78.9%、女性 79.0%であり、男女差はありませんでした。
スギ花粉が原因だと思っていても、5人のうち1人は、別のアレルゲンが原因だったいうことですね。
また、スギ以外のアレルゲンに対しても、約5割の人が、ダニ・ハウスダスト・ヒノキ・カモガヤにアレルギーがあり、約2割の人が、シラカンバ、ネコ、ハンノキにアレルギーを認めました。
スギ花粉以外にもアレルギーがある事はよくある事なんですね。
次に、陽性になったアレルゲンの種類の数を見てみます。
被検者の約7.7%の人では、10項目のすべてのアレルゲンが陰性でした。
(調査したアレルゲンがすべて陰性でも、調べていないアレルゲンがあるため、花粉症ではないとは言い切れません。
しかし、花粉症ではなく、感染症や血管運動性鼻炎などの非アレルギー性鼻炎の可能性があります。)
年齢別に陽性となったアレルゲンの数を見てみると、
10歳代では、4.5種類、
20歳代では、4.1種類、
若年世代では、4種類以上が陽性です。
60歳以上では、1.6種類と、年齢を重ねるにつれて、少なくなる傾向が認められました。
最後に、今回の調査は、全国調査ではなく、大阪の一地域での調査のため、他の地域では結果が異なる可能性があることに注意が必要です。
しかし、スギ花粉症と自分で思っていても、5人に1人の方は、そもそもスギ花粉症ではなく、
約半数の方では、スギ花粉以外の花粉やダニ・ハウスダストにアレルギーを認めた事には留意すべきでしょう。
まとめると、
自己診断でスギ花粉症だと思っている方は
以上を、一度、きちんと調べておいた方が良さそうですね。
参考文献
荻野 敏 他. スギ花粉症自己診断例のアレルゲン陽性率 耳鼻咽喉科臨床 2001年94巻 12号 p. 1073-1078
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