糖尿病と感染症
糖尿病と感染症
公開日: 2019年5月1日
最終更新日: 2022年12月31日
今日は、糖尿病と感染症の関係について解説します。
糖尿病は、インスリンの作用不足により、高血糖をきたす病気です。
高血糖は、体のいたる所に合併症を生じるなど、健康に悪影響を及ぼします。
糖尿病患者では、感染症にかかりやすくなる事が知られていますが、そのメカニズムとしては、次のことが考えられています。
1)高血糖は、体外からの侵入に対する防御反応である免疫システムを弱める可能性がある。
2)糖尿病を長期間患っている人は、末梢神経が障害され、四肢の血流が悪くなったり、怪我をしても気づきにくくなったりします。
3)糖尿病により四肢の血管に動脈硬化が生じ、血流が減少すると、傷が治りにくくなり、感染症に弱くなります。
4)血液中や組織の糖分の濃度が高くなると、細菌が増殖しやすい環境になります。
以上です。
次に、糖尿病の患者さんによく認められる感染症にはどのようなものがあるのでしょうか?
糖尿病患者で問題となる感染症には次のものが挙げられます。
鼻と喉の真菌(カビ)による感染症は、糖尿病の患者で認められます。症状は、耳の痛みや耳だれ(耳漏)を認めます。
糖尿病患者さんは、インフルエンザが重症化しやすくなります。また、肺炎などの細菌感染症にもかかりやすくなります。
糖尿病をお持ちの方は、インフルエンザワクチンの予防接種や、肺炎球菌ワクチンの予防接種を受けるようにしましょう。
血糖コントロール不良の糖尿病は、膀胱炎などの尿路感染症のリスクになります。尿郎感染の起炎菌は、大腸菌、クレブシエラ等の細菌、カンジタ等の真菌などが原因となります。
糖尿病の血糖降下薬の一つであるSGLT2阻害薬は、尿中に糖分が排泄されることにより、血糖低下と体重減少作用をもつ、画期的な薬ですが、尿糖が増加するため、尿路感染を発症しやすくなります。
糖尿病の方は、白癬菌(水虫菌)などの真菌感染症にかかる可能性が高くなります。
また、皮膚の血流が著しく悪い方や、神経障害が顕著で痛みを感じない方は、四肢に潰瘍を生じ、そこに細菌が感染すると、重症化する可能性があります。
糖尿病の患者さんは、自身の足を定期的にチェックしましょう。
最後に、血糖コントロールが悪くなるほど、感染症にかかるリスクは高くなりますので、糖尿病の血糖コントロールを良い状態に保ちましょう。
以上が、糖尿病と感染症の関係です。
当院のブログには、糖尿病についてのさまざまな解説がありますので、ご興味のある方はご参照下さい。
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文責・名古屋糖尿病内科 アスクレピオス診療院 糖尿病専門医 服部 泰輔 先生