糖尿病食事療法 – 献立・レシピ等の食事内容で気をつけること
糖尿病食事療法 – 献立・レシピ等の食事内容で気をつけること
公開日: 2019年10月15日
最終更新日: 2022年12月30日
糖尿病食事療法中の方は、食事の献立・レシピなどの食事内容を考えるときに色々と悩まれるかもしれません。
今回は、糖尿病の食事療法で注意すべきポイントを分かりやすく説明します。
目次
はじめに、食事の目的とは何でしょうか?
食事の目的は、生命活動に必要な栄養素を摂取することです。
そのため、食事は、糖尿病の食事療法の場合に限らず、必要な栄養素を過不足なく、バランスよく摂取することが必要です。
糖尿病の食事(レシピ・献立)の内容を考える際には、
1 必要な栄養素は不足なくしっかりとる。
2 摂取カロリーは、目標となる体重に近づくようにする。
3 炭水化物などの糖質の量と質に注意する。
4 菓子・清涼飲料水などの間食は控える。
以上の点に注意します。
現在の日本人では、
・カルシウム・マグネシウム・亜鉛などのミネラル
・食物繊維
・ビタミン(ビタミンA、B1、B2など)
が不足しがちです。
食事で不足しがちなミネラル・食物繊維を補うため、
・乳製品(牛乳だと180ml)
・野菜(360g以上、1/3以上は緑黄色野菜)
を毎日とります。
健常者でもこれらの栄養素が多く含まれる食品(魚介類・牛乳・野菜など)は、十分な量を摂取する必要があります。
また、肉類については、豚肉や牛肉と比較し、魚介類には、エイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)などの健康によいω-3脂肪酸が多く含まれることが多く、健康に良い働きがあります。
栄養バランスの悪いファーストフードやカロリー過多の洋食は避けて、
栄養バランスの良い日本食や地中海食にした良いでしょう。
体重は、糖尿病のコントロールが非常に悪くなければ、糖尿病が原因で減少することはありません。
食べ過ぎれば太りますし、摂取カロリーが消費カロリーを下回れば、痩せていきます。
長い目でみると、最終的には、摂取カロリーで維持できる体型になります。
食事をとらずに太り続けられる人はいません。
自分が食べすぎ(=摂取カロリーが多すぎる)かどうかは、週2回程度の体重を測定し、体重の推移を確認しましょう。
食事のカロリー源は、糖質、蛋白質、脂質です。
この中で、食後に血糖を特に上昇させるのは、糖質です。
(蛋白質や脂質を、糖分として利用するためには、吸収した後に、肝臓で糖分に作りなおす必要があります。
そのため、食事を摂取してから、血糖が上昇するまでに時間がかかります。)
糖質の中には、単糖類と呼ばれるブドウ糖や、二糖類のショ糖(砂糖)、多糖類のでんぷんなどいろいろな種類があります。
そして、消化に時間がかかるものほど、食後の血糖上昇はゆっくりになります。
例をだすと、食後の血糖の上昇のスピードは、ブドウ糖>パン>白米>パスタ>玄米・そば の順になります。
(食品ごとの食後の血糖上昇の度合いを表した指数を、グリセミックインデックスと呼ばれます。)
食後血糖を上がり方を決める要因は、
食事中の糖質の量と質です。
インスリンを食前に注射されている方は、糖質の摂取量を一定にすると血糖値は安定します。
加えて、摂取カロリーの調節も、主食の量を変更するとしやすいです。
お菓子には多くの砂糖が使われており、糖尿病の方は食べない方が無難です。
例を示すと、下記の通りです。
清涼飲料水 500ml 砂糖 20~60g
缶コーヒー 200ml 砂糖 15g前後
アイスクリーム 100g 砂糖 20g前後
(参考:角砂糖 1個 砂糖 3-4g)
清涼飲料水や洋菓子には、とてつもない砂糖が含まれています。
糖尿病になりかけ、又は、糖尿病の人が、清涼飲料水を一気飲みすると、
すさまじい血糖上昇(数百mg/dl以上)を引き起こすことがあります。
危険ですのでやめましょう。
(=ペットボトル症候群と呼ばれます。)
糖尿病は、インスリンの不足により、血糖値が上昇する病気です。
糖尿病のタイプや罹患年数により、インスリンの分泌量は異なり、多い人もいれば、少ない人もいます。
そして、インスリンの分泌能の低い人ほど、血糖のバラツキが大きくなり、血糖コントロールが難しくなります。
そのため、初めて2型糖尿病を指摘された方と、インスリンが分泌されていない1型糖尿病の方では、食事の管理の厳密さは異なります。
同じ食事でも、インスリン分泌が低下している方ほど、
血糖値の変動は激しくなるため、食事の管理はより厳密にしなければなりません。
以上が、糖尿病食事療法の献立・レシピ等の食事内容で気をつけることです。
実際の栄養指導は、摂取カロリー量を活動量に応じて設定して、管理栄養士さんに指導してもらうことが多いです。
ですが、多くの2型糖尿病の方にとってはもう少し簡単でも十分でしょう。
みなさんも食事療法のポイントに注意して、食事の献立・レシピを考えてみて頂けたら幸いです。
文責・名古屋市名東区 糖尿病内科 アスクレピオス診療院 糖尿病専門医 服部 泰輔
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