高血圧と立ちくらみ
高血圧と立ちくらみ
公開日: 2021年8月16日
最終更新日: 2022年12月28日
立ちくらみとは、立ち上がった時に認められる数秒から数分続くふわふわした感じや眼の前が急に暗くなる感じを指します。
今回は、高血圧と立ちくらみの関係について解説します。
立ちくらみとは、立ち上がった時に数秒から数分間続くことのあるふらつき、ふわふわした感じ、眼の前が急に暗くなるような自覚症状を指します。
立ちくらみは、立ち上がった際に、脳への血流が低下することによって生じることが多く、これらの症状は、横になると、速やかに改善します。
(座っている時や寝ている時にも症状が持続する場合や、天井が回転する感じを認める場合には、立ちくらみではなく、めまいの可能性があるため、めまいのブログも参照してください。)
→ 高血圧の症状 – めまいと血圧の関係とは
高血圧は自覚症状の乏しい病気です。
高血圧が立ちくらみの直接の原因になることはありません。
しかし、高血圧の治療や高血圧の合併症に関連して、めまいをきたすことがあります。
高血圧の治療として、降圧薬を内服中の人では、降圧薬の効き過ぎによって、血圧が下がりすぎて、立ちくらみをきたす場合があります。
高血圧の合併症によって、心臓の機能が障害されたり、脳へ血流する血管が細くなると、立ちくらみを生じる可能性があります。
立ちくらみを繰り返す場合には、診察室の血圧と自宅の血圧が大きく異なる場合があるため、自宅での血圧測定を行いましょう。
→ 正しい血圧測定の方法の解説
→ 白衣高血圧の解説
立ちくらみを繰り返したり、失神などの重篤な症状を認める場合には、立ちくらみの原因検索のために、診察室での臥位と立位での血圧測定、胸部X線や心電図による心臓の評価、頸動脈エコーや頭のMRIによる脳や頚の血管の評価などが必要になる場合があります。
立ちくらみは、起立した時に脳への血流が低下したり、脳の正常な活動が阻害されると生じます。
立ちくらみの一般的な原因には次のものが挙げられます。
高齢者では、血圧の調節機能が低下し、起立時に血圧が下がりすぎ、脳への血流が低下し、立ちくらみを生じる場合があります。
脱水症、失血などにより、体内の血液量が低下すると、起立時に血圧が下がりやすくなります。
長時間、横になっていた後に急に立ち上がると、起立時に血圧が下がることがあります。
特殊な神経変性疾患の人では、自律神経に異常が生じ、起立時に血圧が下がる場合があります。
脳や頚の血管が、動脈硬化などで狭くなり、血の巡りが悪いと、立ち上がった瞬間に、少しの血圧低下でも立ちくらみが生じる場合があります。
心筋梗塞や心不全など、心臓のポンプ機能が低下すると、血圧が低下し、立ちくらみをきたす場合があります。
アルコールの飲み過ぎや薬の副作用により、血圧が下がりすぎたり、鎮静が強すぎても、立ちくらみが生じる場合があります。
立ちくらみを認めた場合には、失神したり、転倒する危険を避けるため、横になり安静にしてください。
次に、物が二重にみえる、手足の麻痺、話しにくさ、頭や胸の痛みなどの他の症状がないかを確認して下さい。
安静になっても、症状が続く場合や、手足の麻痺などの他の症状がある場合には、脳卒中や心筋梗塞などの重篤な病気が隠れている可能性があります。
速やかに医師に相談しましょう。
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文責・名古屋市名東区 糖尿病内科 アスクレピオス診療院 糖尿病専門医 服部 泰輔 先生