くだものなどに含まれる果糖(フルクトース)と糖尿病の関係
くだものなどに含まれる果糖(フルクトース)と糖尿病の関係
公開日: 2019年11月21日
最終更新日: 2022年12月29日
果糖(フルクトース)は、果物やテーブルシュガーなどに含まれる単糖です。
フルクトースを多く含む果物は、白米やパンなどの炭水化物よりも、食後の血糖上昇がゆるやかになります。
炭水化物を同カロリーのフルクトースに変更した場合には、HbA1cが改善することが報告されています。
フルクトースの一日摂取量の目安としては、60g未満が良さそうです。
1日フルクトースを60g以上摂取すると、血液中の中性脂肪が高くなります。
しかし、くだものだけで、1日60gのフルクトースを取ろうとすると、1日 500g 以上は、くだものを食べる必要があります。
フルクトースの取り過ぎを防ぐには、砂糖や高カロリー甘味料を減らすのが良さそうですね。
目次
果糖(フルクトース)は、果物、はちみつ、テーブルシュガー(スクロース)、高フルクトースコーンシロップなどに含まれる単糖です。(1)
スクロース(ショ糖)は、砂糖の主成分であり、ブドウ糖とフルクトースが結合したものです。
高フルクトースコーンシロップは、異性化糖(高果糖液糖)とも呼ばれ、トウモロコシを原料として作られた高カロリー甘味料です。
清涼飲料水や調味料などに使われています。
→ 高フルクトースコーンシロップの説明
フルクトースは、でんぷんなどの炭水化物の食品よりも食後血糖を上げにくい特徴があります。
グリセミックインデックス(GI:glycemic index)は、食品に含まれる糖質の吸収度の程度を示す指標です。
調理方法によっても、糖質の消化吸収のしやすさが変わるため、GIは変化します。
グルコースを基準(100)とした場合、GIが70以上の食品を高GI食品 56~69の間の食品を中GI食品 55以下の食品を低GI食品と分類しています。
高GI食品の代表例は、炭水化物の多い白パン、白米、蒸したジャガイモなどになります。
くだものは、フルクトースが多く含まれており、低GI食品に分類されています。(2)
亀山 詞子 他 GIとカーボカウント 糖尿病 2013年より引用
糖質を炭水化物からフルクトースに変更する事で、HbA1cは0.53%程度の改善効果が得られることが報告されています。(3)
(研究のフルクトースの摂取量は、1日20g~160gです。)
明確な理由は明らかではないですが、その一因として、食後血糖の上昇がゆるやかになることなどが考えられています。
長期的な影響については、未検証のため、さらなる調査が必要です。
フルクトースは、2型糖尿病の患者では、1日60gを超える摂取により、血液中の中性脂肪(TG:tryglyceride)が、平均約20mg/dl程度、増えることが報告されています。(4)
フルクトースは、他の炭水化物と比較し、多くの血清中性脂肪を増加させる可能性があり、過剰な摂取には注意が必要ですね。
ところで、一般のくだものには、フルクトースはどのくらい含まれているのでしょうか?
くだものには、水分も多く含まれており、100gあたりで比較するのが良さそうです。
下のグラフは 各くだもの100gに含まれる糖質量です。
→ くだもの100gに含まれる糖質量(外部リンク)
→ 上記のPDFファイルのセミナー(外部リンク)
フルクトースの含有量は、くだものの種類によって異なりますが、100gあたり、2g~7gが含まれています。
スクロースもグルコースとフルクトースが結合したもののため、フルクトースに換算しても、2g~8g程度になります。
フルクトースを1日60gを、くだものだけから摂取しようとすると、1日500g以上を摂取しなければならないので、相当多い量になります。
砂糖や高カロリー甘味料をなるべく控えるようにした方が良さそうです。
→ 「糖尿病内科 in 名古屋」の記事一覧
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