インフルエンザ予防接種の適正価格 ー 2000円は安い? 4000円は高い? 原価を含めた考察
インフルエンザ予防接種の適正価格 ー 2000円は安い? 4000円は高い? 原価を含めた考察
公開日: 2019年10月2日
最終更新日: 2019年12月3日
10月から11月に入ると、インフルエンザシーズンに備えて、インフルエンザの予防接種が、病院やクリニックなどの医療機関で始まります。
インフルエンザ予防接種の価格は、自由診療のため、医療機関によって、まちまちです。
インフルエンザの予防接種の適正価格は、いくらなのでしょうか?
インフルエンザ予防接種に必要な経費等を考慮した適正価格は、4000円~5500円だと考えます。
今回は、インフルエンザ予防接種の適正価格について考察します。
目次
2018-2019年シーズンのインフルエンザ予防接種の価格は、全国平均 3529円とされています。
愛知県では 3473円だった模様です。
→ マイナビニュース(外部リンク)
インフルエンザ予防接種にかかる費用(原価)は、いくらなのでしょうか?
インフルエンザ予防接種一人当たりに必要な費用の構成をみてみます。
保険医療機関で売り上げを上げられるのは、医師のみです。
クリニックなどで、1人の医師が、インフルエンザ予防接種を、1時間あたり6人に行うとします。
インフルエンザ予防接種 1人あたり10分を使用する事になります。
医療機関は、医師、看護師、医療事務などのさまざまな専門職が仕事を分担しています。
一般的なクリニックでは、医師一人で運営されているため、医師の診療スピードにより、全体の診療人数が制限されます。
次のデータは、インフルエンザ予防接種 一人するのに、必要な材料費と人件費です。
材料費
インフルエンザワクチン 約1400円
注射器・その他 約20円
人件費
受付事務 2人 約1140円 × 1.2 × 2人 ÷ 6 = 456円
看護師 1名 約1780円 × 1.2 × 1人 ÷ 6 = 356円
医師 1名 約7620円 × 1.2 × 1人 ÷ 6 = 1524円
(各職種の平均時給は、Indeedを参考にしています。
人を雇用する際には、社会保障費等のその他の経費が必要となるため、給与を2割増しにして計算しています。)
→ indeed の給与比較(外部リンク)
ここに、さらに、施設維持費・運営費(税理士費用など)・広告費・リース料などのもろもろの経費がかかります。
仮に 月 100万円とすると、月25日診療し、1日6時間診療するとして、10分で約1100円が必要です。
月 100万円(月25日診療×1日6時間)= 10分 約1100円
以上の費用を総計します。
1時間に6人打つとすると、1人当たり約4900円です。
1時間に10人打つとすると、1人当たり約3500円になります。
*本来は原価に人件費は含まないのですが、分かりやすくするため、含めています。
インフルエンザ予防接種の適正価格はいくらなのでしょうか?
価格 = 経費 + 利益 になります。
飲食店を経営する際に、常に満席になることは想定しません。
稼働率が、10割とすると、約3500円、6割とすると、4900円が損益分岐点です。
さらに、事業を継続するためには、1割程度の利益は必要ではないでしょうか。
総計すると、インフルエンザ予防接種の適正価格は、4000円 ~ 5500円になります。
以上から、インフルエンザ予防接種の適正価格は、4000円 ~ 5500円程度だと考えます。
インフルエンザ予防接種 1500円という価格は、予防接種の材料費と同じ価格であり、人件費等の経費を全く含んでいません。
他の業種では、こういう価格設定は、ダンピングと呼ばれます。
もし、自分がお店を経営していて、隣のお店が、原価割れで販売していたら、とても困るでしょう。
インフルエンザについて詳しく知りたい方はこちら
→ インフルエンザとは – 症状(熱、咳、頭痛等)、流行る時期、潜伏期間、検査、治療などの解説
→ インフルエンザと風邪(感冒)を見分ける方法
→ インフルエンザは内科と耳鼻科のどちらに受診すべきですか?
→ のどの痛みは、内科、耳鼻科どっちに受診すべき?
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文責・名古屋市名東区 糖尿病内科 アスクレピオス診療院 糖尿病専門医 服部 泰輔