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糖尿病と便秘で知っておきたいこと|名古屋糖尿病内科 アスクレピオス診療院|名東区の糖尿病専門医

糖尿病と便秘で知っておきたいこと

糖尿病と便秘で知っておきたいこと|名古屋糖尿病内科 アスクレピオス診療院|名東区の糖尿病専門医

糖尿病と便秘で知っておきたいこと

公開日: 2020年6月2日

最終更新日: 2022年12月29日

 
便秘は、糖尿病の一般的な合併症です。
 
便秘は、糖尿病患者の約11%から約56%の人に認めます。
 
糖尿病の人が便秘になりやすい原因としては

  • 高血糖による大腸(結腸)の自律神経障害
  • 高血糖による直腸・肛門の機能障害
  • 糖尿病の医薬品(GLP-1製剤・SGLT2阻害薬など)の副作用

 
が考えられます。
 
糖尿病の血糖値の管理が悪いほど、糖尿病の神経障害などの合併症は進行しやすくなります。
 
そのため、糖尿病の便秘解消の治療は、はじめに、良好な血糖コントロールを維持することが大切です。
 
次に、

  • 便秘の副作用のある薬をチェックする。
  • 食物繊維を十分とり(一日20g-25gを目標)、運動する。

 
以上の2点に注意します。
 
上記を行っても、便秘が改善しない場合には、一般的な便秘に効果のある治療法に準じて、下剤による薬物治療を行います。
 
 
 
糖尿病と便秘
 
 
 

 
 
 
 

糖尿病と便秘

 
便秘は、糖尿病の方に一般的に認められる胃腸合併症の一つです。
 
便秘の症状には、排便の間隔が3日以上、腹満感がある、排便が困難、便が硬いなどが挙げられます。
 
また、便秘の定義は、学会により異なり、
 
「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」(慢性便秘症診療ガイドライン2017)
 
「排便が数日に1回程度に減少し、排便間隔不規則で便の水分含有量が低下している状態(硬便)を指す」(消化器内科学会)
 
とされています。
 
便の回数が少ない、便が硬いなどで、便通でお困りなら、「便秘」と考えて、差支えないでしょう。
 
 
 
 

糖尿病患者における便秘の頻度

 
糖尿病の患者を対象にした研究では、糖尿病を患っている約11%~約56%の人に便秘の症状を認めたと報告されています。
 
糖尿病のある人は、糖尿病ではない人々と比較して、便秘のある人の割合は、明らかに多くなっています。
 
 
 
 

糖尿病があると、便秘になりやすい理由

 
糖尿病があると、便秘になりやすい原因には、次のものが考えられます。

  • 大腸(結腸)の自律神経障害
  • 肛門・直腸の障害
  • 糖尿病の薬の副作用

 
それぞれについて説明します。
 
 

大腸(結腸)の神経障害

 
糖尿病だと便秘になりやすい理由の一つに、
 
高血糖によって、大腸の動きを調節している自律神経が障害され、大腸の働きに異常をきたしていることが考えられています。
 
上記を裏付けるデータとして、
 
便秘の糖尿病患者さんの、便が結腸(大腸の一部)を通過する時間を調べたところ、糖尿病ではない人と比較して、通過にかかる時間が長くなっていました。
 
また、糖尿病の人でも、自律神経が障害されている人では、自律神経障害がない人と比べて、便秘のある割合が高かったことが報告されています。
 
→ 糖尿病性神経障害の解説
 
 

肛門・直腸の機能低下

 
糖尿病の血糖管理が悪いと、排便時に必要な肛門や直腸の機能を調節する神経が障害され、肛門や直腸の機能が低下することがあります。
 
肛門や直腸の機能が低下すると、排便が困難となり、便秘になります。

 
 

糖尿病の薬の副作用

 
糖尿病で使用する薬には、便秘をきたしやすくするものがあります。
 
リラグルチド(例:商品名 ビクトーザ)などのGLP-1作動薬は、腸管蠕動を抑制する(腸管の動きをゆっくりにする)ため、便秘になりやすくなります。
 
SGLT2阻害薬(例:商品名 ジャディアンス)は、尿から糖が漏れるようにすることで、血糖と体重を下げる薬ですが、尿から糖と一緒に水分が体外に排出されるため、その分、便から水分が吸収され、便秘になりやすくなります。
 
他には、DPP4阻害薬(例:商品名 トラゼンタ)、αグルコシダーゼ阻害薬(例:商品名 セイブル)などにも便秘の副作用があります。
 
 
 
 

糖尿病の便秘の治療

 
糖尿病の便秘の治療は、次の通りです。

  • 糖尿病性神経障害の進行を防ぐため、血糖コントロールを良好に保つ。
  • 便秘をきたす薬がないかの副作用をチェックする
  • 食物繊維の摂取を増やす。(一日20g-25gを目標)
  • 運動量を増やす。

 
便秘の治療としての、ビオフェルミンのような乳酸菌製剤も効果があります。
 
乳酸菌のようなプロバイオティクスを内服すると、慢性便秘の患者では、腹部症状を悪化させることなく、排便の頻度を増加させることが報告されています。
 
また、一部の試験では、残便感、肛門部不快感、排便時の痛みなどの自覚症状も改善させています。
 
上記を行っても改善がない場合には、医療介入が必要となり、便秘の病状に合わせて、各種の下剤を使用します。
 
糖尿病に伴う便秘に対して、どの薬が良いのかを検討した臨床研究は、ほとんど行われていません。
 
そのため、糖尿病の便秘には、一般的な便秘の治療法に準じて、医薬品を用いた薬物治療を行います。
 
下剤の種類と例

  • 膨張性下剤 : カルボキシメチルセルロース(商品名 コロネル)
  • 浸透圧下剤   : ポリエチレングリコール(商品名 モビコール)
  • 塩類下剤    : 酸化マグネシウム(商品名 酸化マグネシウム)
  • 糖類下剤    : ラクツロース(商品名 モニラック)
  • 刺激性下剤   : センノシド(商品名 プルゼニド)
  • 上皮機能変容薬 : ルビプロストン(商品名 アミティーザ)・リナクロチド(商品名 リンゼス)
  • 胆汁酸トランスポーター阻害剤 : エロキシパット水和物(商品名 グーフィス)
  • 漢方薬 : 麻子仁丸・大黄甘草湯・大建中湯・芍薬甘草湯など
  • 坐剤  : 炭酸水素ナトリウム・無水リン酸二水素ナトリウム配合剤(商品名 新レシカルボン酸坐剤)
  • 浣腸  : グリセリン浣腸

 
 
 
糖尿病と便秘についての解説は、以上になります。
 
もし、糖尿病のことでお困りなら、糖尿病の専門家にご相談頂けると幸いです。
 
 
 
参考文献
 
Marc S. Piper et al. Diabetes Mellitus and the Colon Curr Treat Options Gastroenterol. 2018
 
 
 
→ 「糖尿病内科 in 名古屋」のブログ記事一覧
 
 
 
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文責・名古屋市名東区 糖尿病内科 アスクレピオス診療院 糖尿病専門医 服部 泰輔 先生
 

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