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慢性甲状腺炎(橋本病)とは

慢性甲状腺炎(橋本病)とは

公開日: 2020年7月3日

最終更新日: 2020年7月29日

 
慢性甲状腺炎は、免疫異常により甲状腺に慢性的な炎症が生じる病気です。
 
病初期には、ほとんど自覚症状は認めません。
 
しかし、慢性炎症により甲状腺組織の破壊が進むと、甲状腺の機能が低下し、倦怠感、体重増加、むくみ、寒がり、便秘などの様々な自覚症状が出現します。
 
慢性甲状腺炎の診断は、抗甲状腺抗体(抗TPO抗体、抗サイログロブリン抗体)を測定します。
 
慢性甲状腺炎自体は、ほとんど自覚症状はなく、治療する必要はありませんが、
 
慢性甲状腺炎の4人~5人に1人は、甲状腺機能低下症を発症するため、合成レボチロキシン(商品名:チラーヂンS)の補充が必要となります。
 
慢性甲状腺炎(橋本病)でお困りなら、当院にご相談下さい。
 
慢性甲状腺炎(橋本病)の診断と治療
 

 
 
 
 

慢性甲状腺炎(橋本病)とは

 
甲状腺は、頚部の喉仏の下にある内分泌腺であり、甲状腺ホルモンと呼ばれる新陳代謝を調節するホルモンを分泌しています。
 
本来、体内に侵入してきた異物と戦うリンパ球などの免疫の異常が生じ、甲状腺に慢性的な炎症が生じる病気を慢性甲状腺炎(別名 橋本病、慢性リンパ球性甲状腺炎)と呼びます。
 
甲状腺に慢性的に炎症が続くと、甲状腺の組織が徐々に破壊され、時間の経過とともに、甲状腺が甲状腺ホルモンを産生する能力が低下し、最終的には、十分な甲状腺ホルモンを分泌できなくなり、甲状腺機能低下症をきたします。
 
慢性甲状腺炎は、中年女性に多く認められる疾患であり、日本で最も一般的な甲状腺機能低下症の原因疾患です。
 
 
 
 

慢性甲状腺炎の頻度

 
慢性甲状腺炎は非常に頻度の高い病気です。
 
成人女性の10人に1人、成人男性の40人に1人の割合で認められます。
 
ただし、慢性甲状腺炎だからと言って、全員が甲状腺機能低下症をきたすわけでありません。
 
慢性甲状腺炎の罹患者のうち、甲状腺の組織が破壊され、甲状腺機能低下症に至るのは、4~5人に1人未満です。
 
大部分の人では、甲状腺ホルモンは正常に保たれており、無症状です。
 
発症年齢は、30代~40代の女性に多く認められ、幼児や学童はまれです。
 
 
 
 

慢性甲状腺炎の自覚症状

 
慢性甲状腺炎は、何年にもわたって非常にゆっくりと進行するため、初期の段階では、ほとんど自覚症状がありません。
 
しかし、慢性甲状腺炎によって、徐々に甲状腺の組織が破壊され、十分な甲状腺ホルモンを分泌することができなくなると、最終的には、甲状腺機能低下症の症状が出現します。
 
「甲状腺機能低下症の症状一覧」

  • 全身倦怠感
  • 寒がり
  • 便秘
  • 乾燥肌
  • 体重増加
  • 嗄声
  • 筋力低下
  • 筋肉の痛み、圧痛、こわばり
  • 血中コレステロール値の上昇
  • 月経不順・月経過多・不妊症
  • 薄毛
  • 心拍数の低下(徐脈)
  • うつ症状
  • 記憶障害

 
上記以外の症状としては、炎症により甲状腺が腫大し(甲状腺腫)、首の不快感や嚥下困難をきたす場合があります。
 
また、高度の甲状腺機能低下症では、眠気、無気力、意識障害などを伴う粘液水腫性昏睡と呼ばれる重篤な状態になる場合があります。
 
慢性甲状腺炎では、甲状腺が破壊されますが、甲状腺が破壊された際に、多量の甲状腺ホルモンが血液中に流出し、逆に、一過性の甲状腺ホルモン過剰状態(甲状腺機能亢進症)をきたす場合があります。
 
通常は、甲状腺の痛みや発熱は伴わず、無痛性甲状腺炎と呼ばれます
 
→ 甲状腺機能低下症の解説
 
→ 甲状腺機能亢進症の解説
 
 
 
 

慢性甲状腺炎の原因

 
慢性甲状腺炎は、自己免疫疾患の一つであり、甲状腺に対する免疫異常によって生じます。
 
免疫とは、体外からの異物(ウイルスや細菌など)の侵入を防いだり、排除する働きを指します。
 
この免疫に異常が生じ、甲状腺の組織を異物と見做して、自分のリンパ球などの免疫担当細胞が間違って攻撃してしまう事で、慢性的な炎症が甲状腺に生じます。
 
免疫異常によって、破壊された甲状腺は再生しますが、壊され続けると、やがて、甲状腺は荒廃してしまい、甲状腺の機能は低下します。
 
 
 
 

慢性甲状腺炎の発症リスクの高い人

 
慢性甲状腺炎の発症するリスクの高い人は、次の通りです。

  • 女性
  • 年齢(中年)
  • 血縁者に甲状腺疾患、もしくは、他の自己免疫疾患をもっている方
  • 関節リウマチ、1型糖尿病、SLEなどの別の自己免疫疾患のある方
  • 甲状腺への放射線照射歴のある方

 
甲状腺の疾患は、女性に多く認められます。
 
また、免疫異常による病気を持っている方も、慢性甲状腺炎になりやすいです。
 
 
 
 

慢性甲状腺炎の診断

 
慢性甲状腺炎の診断は、はじめに、血液検査で、抗甲状腺抗体の有無を確認します。
 
抗甲状腺抗体には、抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(抗TPO抗体)、Tg抗体(抗サイログロブリン抗体)を測定します。
 
甲状腺ペルオキシダーゼは甲状腺ホルモンの生産に役割を果たす酵素であり、サイログロブリンは、甲状腺ホルモンの前駆物質です。
 
これらの抗体が陽性の場合、慢性甲状腺炎を疑います。
 
ただし、甲状腺の自己抗体は、日本の人間ドック受診者(平均年齢 51.3歳)を対象とした研究において、いずれかの抗体の陽性者は25.3%と比較的よく認められます。
 
そのため、同時に、甲状腺エコーを行い、慢性甲状腺炎に認められる所見(びまん性腫大、内部エコー不均一など)があるかどうかを確認します。
 
最後に、慢性甲状腺炎の4人~5人に1人では、甲状腺機能低下症を合併するため、甲状腺ホルモン(遊離T3(FT3)・遊離T4(FT4))、甲状腺刺激ホルモン(TSH)を測定します。
 
 
 
 

慢性甲状腺炎の治療

 
慢性甲状腺炎は、慢性甲状腺炎自体ではほとんど症状を認めないため、治療する必要はありません。
 
ただし、慢性甲状腺炎によって、甲状腺機能低下症をきたしている場合には、甲状腺ホルモンの補充療法が必要になります。
 
甲状腺ホルモンは、合成レボチロキシン(商品名:チラーヂンS)を使用することが一般的です。
 
慢性甲状腺炎のほとんどの患者では、合成レボチロキシンによる生涯にわたる投薬が必要です。
 
慢性甲状腺炎は、ゆっくりと、甲状腺機能が低下するため、甲状腺ホルモン(FT3・FT4)は正常範囲でも、甲状腺刺激ホルモン(TSH)が正常上限を超えて分泌され、甲状腺から甲状腺ホルモンの分泌を促している場合があります。
 
この状態は、潜在性甲状腺機能低下症と呼ばれ、TSH 10μU/ml以上、妊娠中、あるいは、妊娠希望の女性の場合には、合成レボチロキシンの補充を行います。
 
 
 
 
以上が、慢性甲状腺炎(橋本病)の解説になります。
 
何か健康のことでお困りのことがあれば、ご相談頂けると幸いです。
 
 
 
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文責・名古屋市名東区 糖尿病内科 アスクレピオス診療院 糖尿病専門医 服部 泰輔 先生
 

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