高血圧の診断基準とは
高血圧の診断基準とは
公開日: 2021年9月24日
最終更新日: 2022年12月28日
高血圧の基準は、血圧の値と、心筋梗塞や脳卒中などの血管が原因となる病気の発症や死亡率との関係をもとに定められています。
世界の地域や民族ごとに、脳卒中や心筋梗塞等などの心血管疾患のリスクや死亡率が異なるために、高血圧の基準値には、地域ごとに違いがあります。
例を挙げると、2021年9月の時点では、米国では 130/80 mmHg以上、欧州では 140/90 mmHg以上が、高血圧とされています。
診察室で測定した血圧(診察室血圧)140/90 ㎜Hg以上を高血圧とするのは、日本を含めた世界のガイドラインで共通しているようです。
日本の高血圧の基準は、主に、日本高血圧学会が定めた基準値を使用しています。
高血圧の基準は、ときどき改正されています。
2014年のガイドラインでは、高血圧は、診察室血圧 140/90 mmHg以上と定められていました。
2019年のガイドラインからは、これまでの診察室血圧の値に加えて、家庭で測定した血圧(=家庭血圧)による高血圧診断が一般化している状況をふまえ、臨床研究の結果をもとに、家庭血圧による分類が新規に設けられました。
(*表記は、分類、収縮期血圧(最高血圧)(㎜Hg)、拡張期血圧(最低血圧)(mmHg)の順です。)
(*表記は、分類、収縮期血圧(最高血圧)(㎜Hg)、拡張期血圧(最低血圧)(mmHg)の順です。)
上記のオレンジ色の文字が一般的にいう高血圧になります。
診察室血圧と比較し、家庭血圧の基準値はやや低めに設定されているところが、ポイントです。
高血圧の重症度は、血圧の値に応じて、Ⅰ度、Ⅱ度、Ⅲ度の3段階に分類しています。
これは、血圧が高ければ高いほど、心臓病や脳卒中などの心血管疾患のリスクが高まるからです。
正常血圧高値は、高血圧の一歩手前という意味で、将来、高血圧になる可能性が高い人です。
加齢は、高血圧の発症リスクの一つであり、年を重ねるにつれて、動脈硬化が進み、徐々に血圧は上がってきますので、注意が必要ということですね。
孤立性収縮期高血圧とは、収縮期血圧(最高血圧)だけが高く、拡張期血圧(最低血圧)は高くない状態を指します。
高齢者などの動脈硬化が強い高血圧患者さんでは、大動脈の伸展性が低下するために、収縮期血圧は上昇しますが、拡張期血圧はむしろ低下します。
(大動脈は、柔らかいゴムホースのようなもので、心臓のポンプ作用により血液が送りこまれると、血液をため込みます。
動脈硬化で血管がカチカチになると、鉄パイプに水を流すようなもので、血管内の圧力の上がり下がりが激しくなります。)
参考
日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019」 他
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文責・名古屋市名東区 糖尿病内科 アスクレピオス診療院 糖尿病専門医 服部 泰輔 先生