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アムロジピン(高血圧の薬)の解説 |名古屋糖尿病内科 アスクレピオス診療院|名東区の糖尿病専門医

アムロジピン(高血圧の薬)の解説 

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アムロジピン(高血圧の薬)の解説 

公開日: 2021年10月18日

最終更新日: 2022年12月28日

アムロジピンは、1987年に米国で初めて承認されたジヒドロピリジン系のCa拮抗薬です。

アムロジピンは、降圧作用が強く、長期間効果が持続する上、副作用が少ないため、使いやすい薬であり、現在も世界中で使用されています。

本記事では、アムロジピンについて解説します。

アムロジピンってどんな薬?

アムロジピンは、高血圧の薬の一つで、主に血圧を下げるために用いられます。

アムロジピンの大きな特徴は、血圧を下げる力が強く、長時間作用が持続する点が挙げられます。

アムロジピンは、降圧作用が強いのにも関わらず、従来のCa拮抗薬よりも副作用は少なく、使いやすい薬です。

アムロジピンは、発売からすでに30年以上も経過しており、アムロジピンの後発品は、多くの製薬会社から販売されています。

アムロジピンの構造式

血圧を下げる降圧薬には、Ca拮抗薬、ARB、利尿薬など、さまざまな種類の薬があります。

アムロジピンは、Ca拮抗薬という種類の降圧薬に分類されます。

アムロジピンは、Ca拮抗薬の中では、ニフェジピンなどが含まれるジヒドロピリジン系に分類されます。

アムロジピンの構造式は、下図の通りです。

アムロジピンの構造式

アムロジピンの作用機序

血管の平滑筋の筋肉は、細胞外のCa2+が細胞内に流入することにより、収縮します。

アムロジピンは、細胞膜の膜電位依存性カルシウムチャンネルに特異的に結合し、細胞内へのCa2+の流入を減少させることで、冠血管や末梢血管の平滑筋を弛緩させます。

アムロジピンの適応症

アムロジピンの適応症は、高血圧症と狭心症です。

アムロジピンは、降圧効果が強く、副作用が少ないため、高血圧症の優れた第一選択薬です。

アムロジピンは、心臓に栄養している血管が痙攣をおこし、胸の痛みを発生させる狭心症にも良い適応となります。

アムロジピンは、心臓のポンプ機能が低下している冠動脈疾患(心臓を栄養する血管が動脈硬化などで狭くなる病気)の人にアムロジピンを使用した場合には、狭心症の入院のリスクを減らすことが知られています。

保険適応はありませんが、アムロジピンの血管拡張作用を期待して、アムロジピンを、レイノー現象の治療に使用することがあります。

アムロジピンの使用可能な対象と投薬量

アムロジピンは、6歳以上の小児、および、成人に使用可能です。

高血圧に対する投薬量

高血圧の治療として、通常、成人には、アムロジピンを 1日1回 2.5mg~5mgを経口投与します。

アムロジピンの降圧効果が不十分な場合には1日1回10mgまで増量することもあります。

6歳以上の小児の場合は、アムロジピンを1日1回2.5mgを経口投与し、状態によって投与量を増減します。

アムロジピン単剤による降圧効果が不十分な場合には、他の種類の降圧薬(例:ARB、ACE阻害薬、利尿薬)と併用して使用されます。

合剤は、二つの降圧薬を一つにまとめて、飲みやすくした薬です。

アムロジピンと他の降圧薬を合わせた合剤には様々な種類がありますが、多くの合剤に使用されているアムロジピンの含有量は、最高5mgまでとなっています。

イルアミクスHDというアムロジピンとARBのイルベタンの合剤には、アムロジピン10mgが含まれており、合剤でアムロジピンを高用量で投与する際に使用します。

狭心症に対する投薬量

通常、アムロジピンは、成人に対して、1日1回5mgを経口投与します。アムロジピンの投与量は、症状に応じて、適宜増減します。

アムロジピンの降圧効果

アムロジピンは、降圧作用の強い薬です。

アムロジピンの降圧作用は、収縮期血圧が140mmHg以上の高血圧の患者(305例)に対して、アムロジピン5mgを1日1回投与した場合には、血圧は、平均7.0mmHg低下し、アムロジピン10mg投与した場合には、平均13.7mmHg低下したとの報告があります。

アムロジピンの降圧効果は、年齢、体重、合併症などの影響を受けることから、同じ量のアムロジピンを内服しても、人により血圧の下がり方が大きく異なります。

高齢者では、アムロジピンの降圧効果が強く出過ぎて、血圧が下がりすぎるときもあるため、アムロジピンを使用する場合は、低用量から開始し、血圧の推移をみつつ、徐々に増量していきます。

アムロジピンの作用時間

アムロジピンの半減期(薬の血液中の濃度が半分になる時間)は、30時間~50時間と非常に長く、長時間効果が持続します。

下の図は、アムロジピン5mgを内服した後のアムロジピンの血中濃度の推移です。

アムロジピン5㎎投与後の血中濃度の推移

縦:血清中アムロジピン濃度
横:投与後時間(h)

アムロジピンを内服して24時間経過した後も、血液中に内服6時間後のピーク時の半分程度のアムロジピンが残っています。

アムロジピンの作用時間が長いことのメリットとしては、薬の血中濃度が安定することで血圧の変動が少なくなる、1日1回の朝の内服でも一日中効果が持続していることなどが挙げられます。

アムロジピンは、降圧剤の効果が朝になると切れてしまい、早朝に高血圧をきたしている方に良い適応になります。

アムロジピンの効果発現時間

アムロジピンは半減期の非常に長い薬のため、薬の血中濃度が安定し、血圧が安定するには、5~6日の時間が必要です。

下の図は、アムロジピン5mgを1日1回内服した時の血中濃度の推移です。

アムロジピン反復投与時の血中濃度の推移

縦:アムロジピンの血中濃度
横:時間

アムロジピン投与開始後、おおよそ、5日目から6日目頃にアムロジピンの血中濃度は安定しています。

アムロジピンを内服した際には、内服後6時間に血中濃度のピーク(=降圧効果のピーク)があります。

アムロジピンは、長時間作用する薬のため、急な血圧上昇に対して、降圧効果を期待して使用するのは不向きです。

アムロジピンは、朝、昼、夕、寝る前、食前、空腹時、食後のどのタイミングで飲むべきですか?

アムロジピンを内服するタイミングは、朝が推奨されます。

アムロジピンを朝に飲むことが推奨される理由は、人には、早朝から正午にかけて徐々に血圧が上昇する日内リズムがあることから、朝にアムロジピンを内服することで、血圧の上がりやすいタイミングに、薬の作用のピークを合わせることができるからです。

アムロジピンは、薬の吸収に際して、食事の影響を受けない薬のため、食前、食後、空腹時のどのタイミングに服用しても問題ありません。

アムロジピンの副作用

アムロジピンは比較的副作用の少ない薬ですが、次のような副作用をきたす場合があります。

アムロジピンの副作用には、末梢性浮腫(足のむくみなど)、頭痛、めまい、立ちくらみ、心不全、動悸、顔面の紅潮、歯肉増殖などが挙げられます。

アムロジピンの投与量を増やすほど、浮腫、めまい、動悸、顔面の紅潮などの副作用は増えます。

アムロジピンを服用中にめまいや動悸などの副作用を認めた場合には、血圧低下が影響している可能性があるため、自宅での血圧測定を行いましょう。

アムロジピンを服用中に、手足のむくみを認めた場合には、アムロジピンの副作用以外に、心不全や腎不全などの別の原因が隠れている場合があるため、主治医と相談しましょう。

歯肉増殖の副作用は、ニフェジピンやジルチアゼムというCa拮抗薬を投薬中の人に多く報告されていますが、アムロジピン投与中の人の1.3%の人にも認められたと報告があります。

アムロジピンを服用中の人は、歯科受診時にも、薬手帳を持参しましょう。

アムロジピンは、薬物一般に認められる副作用と同じように、重篤な肝障害などを起こす場合があるため、アムロジピンの内服中に体調不良を覚えたら医師に相談しましょう。

アムロジピンについてのよくある質問

アムロジピン内服中に授乳してもよいですか?

アムロジピンは、母乳中に移行することが報告されていますが、母乳に移行するアムロジピンは極少量です

授乳時にアムロジピンを内服しても、乳児には副作用をきたしません。

アムロジピンを内服中でも、お酒を飲むことはできますか?

アムロジピンと一緒にアルコールを飲むことはできますが、アルコールによって、アムロジピンの血圧を下げる作用が増強され、めまいや動悸、頭痛などを引き起こす場合があります。

アムロジピン内服中に、これらの症状を認めた場合は、アルコールを控えて、医師に相談しましょう。

アムロジピン錠とアムロジピンOD錠にはどのような違いがありますか?

OD(Orally Disitegration)錠とは、「口腔内崩壊錠」のことです。

OD錠は、口の中に入れると、唾液で解ける製剤のため、服用する際に水や噛み砕いて飲む必要がありません。

アムロジピンの一般の錠剤とOD錠の間に、効果の違いはありません。

アムロジピンとグレープフルーツを一緒に飲むと悪いと聞いたのですけど、実際にはどうなりますか?

グレープフルーツジュースは、腸管内のCYP3A4の作用をブロックすることで、一部の薬物動態に影響を与える可能性が示唆されています。

健常者では、アムロジピンとグレープフルーツジュースを同時に飲んでも、アムロジピンの血中濃度は若干上昇したものの、血圧に影響を与えるほどではなかったとの報告があります。

また、別の健常者を対象として、1日1回のグレープフルーツジュースを飲みながら、アムロジピンのバイオアベイラビリティをみた研究においても、グレープフルーツジュースを服用しても、アムロジピンの薬効は、ほとんど変わりませんでした。

高血圧の患者では検討されていませんが、健常者では、グレープフルーツを飲んでも、アムロジピンの薬効は、ほとんど変わらないと考えられます。

アムロジピンの先発品と後発品について教えてください。

アムロジピンは、よく使用される薬剤であり、アムロジピンの後発品(ジェネリック医薬品)は、たくさんの会社から販売されています。

ノルバスク、アムロジンが先発品で、アムロジピン「○○」が後発品になります。

アムロジピンの用量は、2.5mg、5mg、10mgの3種類です。

また、アムロジピンの剤型には、一般の錠剤、OD錠の2種類があります。

アムロジピンの後発品は先発品よりも安価です。

アムロジピンの後発品を、状況に応じて、上手く利用しましょう。

アムロジピンの解説は、以上です。

アスクレピオス診療院では、糖尿病や高血圧の生活習慣病の専門家が治療に当たっています。

高血圧のことでお困りの方は、当院にご相談ください。

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