高血圧による目の症状
高血圧による目の症状
公開日: 2021年9月27日
最終更新日: 2022年12月28日
高血圧症は、全身の動脈に対して高い圧力が長期間にわたり加わることで、心臓や腎臓などの様々な臓器に合併症を引き起こす病気です。
未治療の高血圧は、一般に考えられているような目の充血などの症状はきたしません。
しかし、高血圧は、眼球の奥の光を感じる網膜や眼球に栄養や酸素を供給する脈絡膜といった細い血管に様々な悪影響を及ぼすことが知られています。
高血圧による最も一般的な目の合併症は、高血圧によって網膜に障害をきたす高血圧性網膜症です。
高血圧による視力の症状は何年も認めないことも多いのですが、高血圧が治療されない場合は、目の損傷が進行し、眼底から出血したり、視力を損なったり、失明に至る場合があるため、注意が必要です。
目の症状は、血圧が高く、高血圧を患っていた期間が長いほど、目の損傷は、より深刻になる可能性があります。
また、糖尿病、高脂血症、喫煙習慣がある人では、目の障害が発生するリスクや失明のリスクが高くなります。
高血圧は、糖尿病性網膜症、緑内障、加齢に伴う黄斑変性症の発症がするリスクも高めることが知られています。
高血圧を指摘されたり、血圧が高いことに気づいたときは、専門家に相談しましょう。
慢性的に血圧が高い状態が持続することにより、眼球の奥の網膜が障害される病気です。
通常、高血圧性網膜症を発症しても、病気がかなり進行するまで、自覚症状を認めません。
そのため、健康診断や人間ドックなどの眼底検査で発見されます。
高血圧性網膜症の症状には、次のものが含まれます。
重度の網膜症は、妊娠中の高血圧で発症する可能性があり、注意が必要です。
高血圧性網膜症は、眼科医による眼底検査で診断されます。
眼底検査で認められる症状は、下記の通りです。
眼底の血管は、全身の血管の中で、唯一直接確認できる血管です。
重度の網膜症の人は、心臓や腎臓の血管にも異常をきたしていることが多く、脳卒中のリスクも高くなります。
高血圧性網膜症は、進行するにつれて、下記の写真のように悪化していきます。
高血圧性網膜症の予防と治療は、血圧の管理を行います。
血圧のコントロールにより、網膜の血管は改善することが多いのですが、重度の網膜症の人の中には、永続的な視力障害が残る人もいます。
医師から処方された降圧薬を忘れずに服用しましょう。
また、太りすぎの方は最適な体重に減量し、塩分の取りすぎなどの食事内容に気をつけて、定期的な運動をしましょう。
「参考」
高血圧性脈絡膜症は、網膜の下にあり、栄養を供給している脈絡膜に体液が貯留する病気です。
視界が歪んだり、視力の低下につながる瘢痕を生じる可能性があります。
参考文献
Mai Tsukikawa et al. A Review of Hypertensive Retinopathy and Chorioretinopathy Clin Optom. 2020 他
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文責・名古屋市名東区 糖尿病内科 アスクレピオス診療院 糖尿病専門医 服部 泰輔 先生