糖尿病と肝がん
糖尿病と肝がん
公開日: 2019年5月1日
最終更新日: 2022年12月31日
肝がんは、肝臓にできるがんです。
肝がんには、肝細胞がん、肝内胆管がんなどが含まれます。
肝がんの中で最も頻度が高いのが肝細胞がんで、肝臓から発生するがんの約95%を占めています。
肝がんは、日本でも死亡数が高いがんのひとつであり、2019年度のがん死亡予測では、年間2万5000人以上の人が、肝がんで死亡しています。
肝がんによる死亡は、日本人のがん死因の中で5番目に多いがんです。
これまで日本では、B型肝炎ウイルスや、C型肝炎ウィルス感染による慢性肝炎・肝硬変が肝細胞がんの最大の要因となっていました。
(*肝臓に持続的にウイルスが感染すると、慢性的に炎症が生じ(=慢性肝炎)、肝臓が荒廃し、繊維化し、硬くなります(=肝硬変)。ボロボロになった肝臓からはがんができやすくなります。)
しかし、これらの肝炎ウイルスに対する治療薬が開発されるにつれて、肝炎ウイルスによる肝細胞がんは減少しています。
代わって増加してきたのが、脂肪肝や脂肪性肝炎を背景とした肝細胞がんです。
脂肪肝、脂肪肝炎は、肝臓に脂肪が蓄積した状態のため、肥満者に多く認められます。
(*肝臓の細胞に脂肪がたまり過ぎると、ウイルス性肝炎の時と同じく、肝臓の細胞に慢性的な炎症が生じ、ひどい時には、肝臓が荒廃し、繊維化します。)
2型糖尿病の人を対象とした大規模な長期研究によると、2型糖尿病の人は、糖尿病のない人と比べて、肝細胞がんを発症するリスクが約2-3倍高いことが報告されています。
2型糖尿病の人に肝細胞がんができやすくなる理由としては、2型糖尿病の発症・増悪のリスク因子に肥満があり、脂肪肝を合併することが多いことが一因として考えられています。
糖尿病の方の肝がん予防としては、
以上のことが挙げられます。
また、糖尿病の薬のメトグルコは、最も多く使用されている糖尿薬ですが、がんの発生抑制の作用があり、肝がんのリスクを下げる事ができます。
以上が、糖尿病と肝がんの関係です。
糖尿病は、全身の臓器にさまざまな合併症をきたすため、幅広い知識が必要です。
名古屋市で糖尿病、高血圧、高脂血症、肥満症を治療するなら、糖尿病・生活習慣病の専門クリニック アスクレピオス診療院にお任せ下さい。
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文責・名古屋糖尿病内科 アスクレピオス診療院 糖尿病専門医 服部 泰輔 先生