糖尿病と前立腺がん
糖尿病と前立腺がん
公開日: 2019年5月1日
最終更新日: 2022年12月31日
今日は、糖尿病と前立腺がんの関係について解説します。
前立腺は、男性の膀胱の下にあるクルミ大の大きさの腺で、尿の流れ道である尿道を取り囲んでいます。
年を取ると、前立腺は大きくなります。
大きくなった前立腺が、良性の場合は、前立腺肥大症と呼ばれ、悪性の場合には、前立腺がんと呼ばれます。
前立腺が肥大すると、尿道を圧迫するため、高齢男性では、尿腺が細い、尿が出るまでに時間がかかるなどの排尿障害の原因になります。
前立腺がんは、前立腺にできた悪性腫瘍です。
日本では、前立腺がんに罹患している方は、78,728 人(2011年度)と報告されており、胃癌,大腸癌についで、男性のがんの第3位を占めています。
他のがんと異なる前立腺がんの大きな特徴の一つに、前立腺がんの成長は遅い事が挙げられます。
前立腺がんは成長が遅いことが多く、ほとんどの男性はがんが問題になる前に他の原因で死亡します。
前立腺がんのリスクは年齢とともに上昇し、80歳までに男性の70%が前立腺がんを患っているという報告もあります。
前立腺がんのスクリーニング検査としては、前立腺の上皮細胞から分泌されるPSAという腫瘍マーカーを測定します。
糖尿病と前立腺がんの関係ですが、
糖尿病の男性の前立腺がんの発症リスクは、糖尿病のない男性と比較し、約15%減少すると言われています。
ある研究では、糖尿病患者では、進行した前立腺がんの発症リスクが、30%低下する可能性があると言われています。
糖尿病の男性は、糖尿病のない男性と比較し、前立腺がんを発症しづらいのですが、その理由はどうしてでしょうか?
その理由として、糖尿病患者では、男性ホルモンであるテストステロンを含むアンドロゲンの量が減少する可能性が指摘されています。
(前立腺がんの治療として、男性ホルモンの産生を抑制する治療が行われます。)
前立腺がんの成長が遅いと言っても、80代で発症するのと、50代で発症するのでは、予後が異なります。
前立腺がんが糖尿病の悪化要因となる可能性を考慮し、当院では、糖尿病の男性の初診の方には、前立腺がんのスクリーニング検査として、PSAを測定しております。
名古屋市で、糖尿病、高血圧、高脂血症(脂質異常症)、肥満症などの生活習慣病を治療するなら、糖尿病内科 アスクレピオス診療院にどうぞ。
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文責・名古屋糖尿病内科 アスクレピオス診療院 糖尿病専門医 服部 泰輔 先生