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SGLT2阻害薬とダイエット(体重減量・痩せる効果)|名古屋糖尿病内科 アスクレピオス診療院|名東区の糖尿病専門医

SGLT2阻害薬とダイエット(体重減量・痩せる効果)

SGLT2阻害薬とダイエット(体重減量・痩せる効果)|名古屋糖尿病内科 アスクレピオス診療院|名東区の糖尿病専門医

SGLT2阻害薬とダイエット(体重減量・痩せる効果)

公開日: 2019年11月4日

最終更新日: 2022年12月30日

 
SGLT2阻害薬は、2014年に日本で使用可能になった糖尿病治療薬です。
 
SGLT2阻害薬を内服すると、尿中に糖分(ブドウ糖)が多量に漏れるようになり、血糖値が下がります。
 
SGLT2阻害薬を内服による体重減少の効果は数%程度であり、数か月に及ぶ長期間の内服継続が必要です。
 
今回は、SGLT2阻害薬の体重減量の効果について解説します。
 
(健常者のダイエット目的でSGLT2阻害薬の使用を勧めるものではありません。)
 
 
ダイエット・体重減量
 
 

 
 
 
 

SGLT2阻害薬ってどんな薬?

 
SGLT2阻害薬は、尿中に糖分(ブドウ糖・グルコース)が漏れるようになる薬です。
 
血糖値を下げる効果の他にも、体重減少効果、心疾患リスクの低減、腎保護効果などが報告されています。
 
副作用としては、尿中に糖分が漏れるため、細菌や酵母が増えやすくなり、尿路や性器の感染症になりやすくなります。
 
SGLT阻害薬を内服すると、尿中には、1日 60g~100gの糖分がでます。
 
カロリー換算では、ブドウ糖 1gは、4kcalのため、240kcal~400kcalになります。
 
一部のSGLT2阻害薬では、短期的には、体重が減るときに、最初は、筋肉、脂肪の両方が減少しますが、長期間 飲み続けると、脂肪組織の方が多く減ることが報告されています。(1)
 
保険適応については、SGLT2阻害薬は2型糖尿病に適応があり、フォシーガ・スーグラのみ、1型糖尿病にも適応があります。(2019年11月時点)
 
SGLT2阻害薬には、肥満症の適応はありません。
 
→ SGLT2阻害薬の解説 - 作用機序、副作用、薬の一覧、心不全・腎保護・体重減少などの多面的効果まで の記事
 
 
 
 

SGLT2阻害薬を肥満者に投与したときの減量効果

 
海外のデータですが、SGLT阻害薬の一つのカナグリフロジン(=日本の商品名:カナグル)を、中高齢の肥満者に投与し、どのくらい体重が減少するのかを検討した研究が報告されています。
 
カナグリフロジン投与量は、50mg、100mg、300mgであり、対象者の平均年齢は44.8歳、平均体重は101.3kg、平均BMIは37.0です。
 
(カナグルの日本の用量は、100mgです。)
 
カナグリフロジンを開始して、12週後には、プラセボ群(=にせの薬の群)では、体重が、平均 1.3%(1.1kg)減少し、カナグリフロジン100mg投与した群では、平均 2.9%(2.8kg)減りました。
 
カナグリフロジンを投与すると、体重 約100kgの人で、1.6%(1.7kg)ほど多くの体重が減るようです。
 

肥満者へのカナグリフロジンを投与時の体重変化のグラフ

縦軸:体重変化(%)
横軸:時間(週)
PBO:プラセボ
CANA:カナグリフロジン


 
また、下の図は、体重の減量の度合い別の人数をグラフにしたものです。
 
カナグリフロジン投与群(黒)の人の方が、プラセボ群(白)の人より、体重が多く減少できています。
 
肥満者にカナグリフロジンを投与し体重減少が達成できた割合

縦軸:人数
横軸:体重減少の区別
一番左:体重が減少しない人
一番右:6kg以上減量した人
CANA:カナグル
PBO:プラセボ


 
その他の効果としては、カナグリフロジン投与群では、血圧は、約2mmHg程度低下しました。
 
副作用としては、カナグリフロジン投与群では、女性の性器感染症・悪心などが多く認められました。
 
SGLT2阻害薬を投与すれば、体重は数%程度、減りますが、数か月単位で内服を続けないとダメみたいですね。
 
参考・グラフ引用:Bays HEet al. Canagliflozin: Effects in overweight and obese subjects without diabetes mellitus. Obesity (Silver Spring). 2014
 
 
 
 

極度の糖質制限ダイエットとSGLT2阻害薬を併用するのは危険です。

 
糖質制限ダイエットは、糖質を制限するダイエット方法です。
 
このダイエットにSGLT2阻害薬を併用すると、危険な場合があります。
 
SGLT2阻害薬を内服すると、糖質(グルコース)が、1日 60g~100g 尿に漏れていく状態になります。
 
そこに極端な糖質制限を加えると、体は、脂肪やアミノ酸から糖質を作るしかなくなり、ひどくなると、正常血糖糖尿病性ケトアシドーシスという重篤な病気を発症することがあります。(2)(3)
 
 
 
 

まとめ

 
SGLT2阻害薬には、体重減少作用があります。
 
ただし、飲めばすぐに痩せるようなものではなく、脂肪を減らすためには、数か月以上の長期投与が必要です。
 
今回は、カナグリフロジン(商品名:カナグル)で検討しました。
 
同系統の薬のジャディアンス、フォシーガ、ルセフィ、スーグラも効果は大差ないでしょうね。
 
SGLT2阻害薬を内服する場合は、女性の方では、尿路感染症や性器感染症のリスクが特に高くなるので注意しましょう。
 
 
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文責・名古屋市名東区 糖尿病内科 アスクレピオス診療院 糖尿病専門医 服部 泰輔 先生

 

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