糖尿病ではない低血糖の原因とは
糖尿病ではない低血糖の原因とは
公開日: 2019年11月15日
最終更新日: 2022年12月30日
ヒトの空腹時の血糖値は、70mg~99mg/dlの間にコントロールされています。
血糖値が、70mg/dlを下回ると、低血糖の症状として、さまざまな自覚症状が出現します。
良く認められる症状としては、発汗、動悸、震え、不安、目のかすみなどが挙げられます。
血糖値が極端に低下すると、錯乱したり、意識障害をきたすこともあります。
低血糖症の最も多い原因は、糖尿病と関連するものですが、糖尿病と関係しない低血糖症もあります。
今回は、糖尿病以外が原因となる低血糖について解説します。
→ 健常者の血糖値の正常値 の記事
→ 低血糖症 の記事
目次
低血糖症状は糖尿病だけでなく、様々な原因で生じます。
以上などです。(1)
アルコールには、肝臓でブドウ糖を作りにくくする働きがあります。
そのため、数日間、全く食事をとらずに、アルコールばかり飲んでいると、低血糖になる場合があります。
病気が重症化すると、低血糖をきたすことがあります。
その原因は、糖分が上手く作れなかったり、糖分の消費が増えることで生じます。
栄養失調になると、低血糖をおこす場合があります。極度の摂食障害(神経性食思不振症など)でも見られます。
血糖を上昇させるホルモンには、さまざまなホルモンがあります。
その中でも副腎皮質ホルモンであるコルチゾールが欠乏すると、低血糖をきたす場合があります。
コルチゾールの欠乏をきたす原因としては、ACTH分泌不全や副腎結核などが挙げられます。
膵臓のランゲルハンス島のβ細胞というところから、インスリンは分泌されています。
インスリンは血糖を下げるホルモンのため、腫瘍からインスリンが多量に分泌されると低血糖をきたします。
インスリンやインスリン受容体に対する抗体ができると、低血糖を生じることがあります。
胃を切除した人(特に胃の出口側(幽門側))では、食事が急激に小腸に入るため、食後高血糖とインスリンの過剰分泌による低血糖になる場合があります。
これまで、糖尿病ではない低血糖症の原因を説明しました。
では、自分が低血糖かどうかを調べるにはどうしたらよいでしょうか?
もちろん、医療機関を受診するのが基本です。
しかし、どうしても受診できない場合には、下記の方法もあります。
自覚症状が出現したときに、自分で血糖値を測定して、低血糖の有無を確認します。
詳細は、下記を参照して下さい。
隠れ糖尿病のセルフチェック - 予防・早期発見に必要な検査(血糖値・尿)などの項目を含めた解説
低血糖の自覚症状は、血糖が上昇すると改善します。
そのため、低血糖症状のセルフチェックには、ブドウ糖の内服が適当です。
ブドウ糖は、薬局などで市販されています。
通常、低血糖では20gを内服することが多いため、20gを内服します。
内服して、15分後ぐらいには血糖値が上昇しますので、自覚症状が改善するかをみます。
症状が消失しない場合には、再度、内服して症状が消失するか確認してもよいでしょう。
(糖尿病の人で、重篤な低血糖をきたし回復しない場合には、15分ごとにブドウ糖の内服を繰り返します。)
症状が改善するようであれば、低血糖の疑いがありますので、医療機関を受診しましょう。
以上が、糖尿病ではない低血糖症の記事になります。
もし、よければ、他の記事も参照して頂けると幸いです。
→ 「糖尿病内科 in 名古屋」の記事一覧
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