白衣高血圧は、自宅の血圧が高くないのにも関わらず、医療機関の外来では、血圧が高くなり、高血圧の診断基準を満たす高血圧です。
白衣高血圧を診断する際には、診察室での血圧測定に加えて、診察室の外での血圧測定、例えば、自宅で血圧測定を行い、家庭血圧が正常であることを確認する必要があります。
白衣高血圧は、高齢者、男性、肥満の人に認められることが多く、全人口の13%の人に認められます。
白衣高血圧が、脳卒中や心筋梗塞などの脳や心臓の血管の病気の発症リスクを高めるかどうかは分かっていません。
しかし、白衣高血圧の人は、将来の持続性高血圧(一般の高血圧)を発症するリスクが高くなることが知られています。
診察室で血圧が高いと指摘された人は、はじめに、自宅で血圧測定を行い、家庭血圧を確認しましょう。
そして、家庭血圧が正常であり、白衣高血圧であった人は、将来の高血圧の発症を予防するため、減塩、野菜の摂取、運動などの生活習慣の見直しに取り組みましょう。
白衣高血圧はどんな病気ですか?
白衣高血圧は、診察室で血圧を測定したときには、高血圧の基準(140/90mmHg以上)を満たすものの、診察室の外、例えば、自宅で測定した場合の血圧が、正常範囲になる高血圧です。
例としては、医療機関の外来では、血圧が160/100mmHgなど高くなりますが、自宅で血圧を測定すると、血圧が120/80mmHgと正常範囲に下がる人です。
一般の高血圧と、白衣高血圧にはどんな違いがあるのですか?
白衣高血圧は、高血圧の一種です。
診察室で血圧を測定したときと、診察室の外で血圧を測定した時に大きく血圧の値が異なる人がいるため、高血圧は、診察室の中と外の血圧の値により、持続性高血圧、白衣高血圧、仮面高血圧に分類されています。
持続性高血圧は、一般的に言われる「高血圧」で、診察室や自宅で測定した血圧が、高血圧の診断基準(140/90mmHg以上)を満たす人です。
白衣高血圧は、診察室の外で測定した血圧は、正常範囲になりますが、診察室の中で測定した際には、血圧が上がり、高血圧の診断基準(140/90mmHg以上)を満たす人です。
仮面高血圧は、白衣高血圧とは逆に、診察室の外で測定した血圧は、高血圧の診断基準(140/90mmHg以上)を満たしますが、診察室の中で測定すると、血圧が正常範囲に下がる人です。
白衣高血圧の人は、どのくらいいますか?
白衣高血圧の有病率は、人口の13%と推定されています。
白衣高血圧は、診察室で血圧が高い人の15%~30%の人に認められます。
血圧が上がる現象は、診察室で血圧を測定する毎に認められます。
白衣高血圧は、高齢者、男性、肥満の人などに認められることが多いです。
白衣高血圧を見逃すとどんなリスクがありますか?
自宅の血圧を測定せずに、外来の血圧が高いからと言って、降圧薬を投薬すると、白衣高血圧の人の場合には、診察室の外での血圧が下がりすぎてしまうリスクがあります。
血圧が低くなりすぎると、めまい、ふらつき、倦怠感などの症状をきたす場合があります。
高血圧を治療する際には、自宅でも血圧を測定しましょう。
白衣高血圧はなぜ起こりますか?
医療機関や診察室では、緊張したり、強いストレスを感じる人がいるためと言われています。
交感神経系と内分泌系の両方が、血圧上昇に関与していると言われています。
白衣高血圧を診断するためにはどうすればよいですか?
白衣高血圧を診断するには、診察室外(特に自宅)での血圧測定を行う必要があります。
自宅外での血圧測定は、自分で血圧計を購入し、血圧を測定す方法と、24時間血圧測定をし続けることのできる血圧計を装着し、血圧を測定する方法(24時間自由行動下血圧測定(ABPM,Ambulatory Blood Pressure Monitoring)があります。
自分で血圧測定をする場合は、上腕式の血圧計を用いて、朝・就寝前の1日2回、安静時に血圧測定をしましょう。
白衣高血圧の人は、将来の高血圧(持続性高血圧)を発症しやすいのですか?
白衣高血圧が将来、持続性の高血圧を発症するリスクは、正常血圧の人のおよそ3倍と言われています。
特に、中高齢者の場合には、短期間のうちに、持続性の高血圧に移行する場合があります。
また、自宅の血圧が、もともと高めの人(正常高値血圧)も、持続性の高血圧に移行する可能性が高くなります。
白衣高血圧を認めた場合には、定期的な血圧測定を行いましょう。
白衣高血圧があると、脳や心臓の血管の病気を発症しやすくなりますか?
現時点では、白衣高血圧があると、脳や心臓の血管合併症のリスクが上昇するかどうかについては、研究により結果が一定せず、統一した見解が得られていません。
ただし、白衣高血圧の人では、正常血圧の人と比較した場合には、心臓(左室)の肥大や動脈硬化などの無症状の臓器損傷が増えることが知られており、今後の研究が望まれます。
白衣高血圧を治療する必要はありますか?
白衣高血圧が脳や心臓などの血管の病気のリスクになるかが定まっておらず、また、白衣高血圧を治療した場合にどのくらいの予後改善効果があるのか等のデータが不足しています。
白衣高血圧は、将来の持続的な高血圧を発症するリスクが高く、臓器障害をきたす可能性がある状態です。
白衣高血圧の人は、高血圧の早期発見のための定期的な血圧測定と、高血圧の治療に準じて、塩分制限などの食事療法や定期的な運動、禁煙などの生活習慣の改善を行いましょう。
白衣高血圧に対する薬物療法は、高血圧に伴う臓器障害を認める場合や心血管疾患を発症するリスクが高い場合には、行われる場合があります。
白衣高血圧の解説は、以上です。
アスクレピオス診療院では、糖尿病や高血圧の生活習慣病の専門家が治療に当たっています。
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