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糖尿病の合併症と高血圧|名古屋糖尿病内科 アスクレピオス診療院|名東区の糖尿病専門医

糖尿病の合併症と高血圧

糖尿病の合併症と高血圧|名古屋糖尿病内科 アスクレピオス診療院|名東区の糖尿病専門医

糖尿病の合併症と高血圧

公開日: 2021年10月6日

最終更新日: 2021年10月14日

 
今回は、糖尿病の合併症と高血圧の関係について解説します。
 
 
糖尿病と高血圧
 
 
 

糖尿病の血管合併症とは

 
糖尿病は、慢性的に血糖値が高くなることによって、全身の血管が痛み、さまざまな合併症を生じる病気です。
 
(例えるなら、糖尿病は、血管の中を甘い砂糖水が流れることで、全身の血管がボロボロになってしまう病気だとイメージして下さい。)
 
人体にはさまざまなサイズの血管があります。
 
糖尿病によって、微小な血管が障害されるために生じる血管合併症は、細小血管合併症と呼ばれています。
 
また、糖尿病によって太い血管が障害された場合の血管合併症は、大血管合併症と呼ばれています。
 
糖尿病の血管合併症には次のようなものがあります。
 

細小血管合併症

  • 糖尿病網膜症
  • 糖尿病性腎症
  • 糖尿病性神経障害

 

大血管合併症

  • 脳梗塞
  • 狭心症や心筋梗塞などの心臓の血管の病気(冠動脈疾患)
  • 腎動脈狭窄症
  • 四肢の血管が細くなる閉塞性動脈硬化症

 
 
 

糖尿病による細小血管合併症

 
糖尿病による細小血管合併症としては、糖尿病網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害の三つが代表的です。
 
 

糖尿病網膜症

 
糖尿病網膜症は、糖尿病の最も一般的な目の合併症です。
 
糖尿病性網膜症は、日本では、年間約3000人の失明を引き起こし、日本人の失明原因の第二位となっています。
 
→ 糖尿病網膜症の解説記事
 
 

糖尿病性腎症

 
糖尿病性腎症は、血液をろ過することで尿を作り、体外に不要物や老廃物を排泄する腎臓の糖尿病合併症です。
 
腎臓は、糸球体と呼ばれる細かい血管の塊でできており、高血糖によって血管の塊が潰れると、血液を濾して、尿を作ることができなくなり、体外に不要物や老廃物を出せなくなります。
 
水分や老廃物を尿として体外に出せなくなると、水分や老廃物を体外に出すために、透析が必要になります。
 
(血液透析は、血管に太い針を刺して、体の外に一旦血液を出して、機械で血液をろ過することで、不要物を除去しています。)
 
日本の透析患者数は、2015年の時点で、約32.5万人(日本人 386人に1人)であり、透析導入の原因の約4割は、糖尿病性腎症です。
 
→ 糖尿病性腎症の解説記事
 
 

糖尿病性神経障害

 
糖尿病性神経障害は、血糖値が高いことによって、四肢や内臓に情報を伝達する神経が故障する病気です。
 
高血糖によって神経が故障するメカニズムは正確には分かっていませんが、高血糖によってポリオールという物質の蓄積したり、糖化された老廃物(AGE)が溜まったり、酸化ストレスが生じたりすることなどが原因として考えられています。
 
神経には、感覚を司る感覚神経、筋肉の動きを司る運動神経、胃腸などの内臓を調節する自律神経など様々な神経があります。
 
糖尿病によって、これらの神経が障害されると、触覚、温度や痛みなどの感覚や胃腸の運動などの様々な部位に影響がでてきます。
 
代表的な神経障害の例としては、初期には、手足のしびれ、足の裏の違和感などが挙げられ、重篤化すると、足の温度や痛みが分からなくなる、立ち上がると血圧が下がり、ふらつく、食後の胃もたれ、勃起不全、頑固な便秘や下痢などが出現します。
 
また、運動神経が障害されると、手足の麻痺なども出現することがあります。
 
→ 糖尿病性神経障害の解説記事
 
 
 

糖尿病による大血管合併症

 
糖尿病は、体の中央を流れる大動脈、脳、首、心臓、手足の動脈などの全身の動脈硬化を促進します。
 
血管に動脈硬化が生じると、血管が硬くなり、血圧(収縮期血圧)が上昇しやすくなり、また、動脈硬化が進行すると、徐々に、血液の通る内腔が狭くなり、血液が流れにくくなります。
 
血液が全く流れなくなると、その動脈で還流していた臓器の部分が壊死します。
 
また、糖尿病は、出血した時に血液を固めて止血する作用をもつ血小板が血管壁にくっつきしやすくしたり、血液が固まりやすくする作用も上昇させます。(血小板接着能の上昇と凝固亢進作用)
 
これらの作用によって、より血管が詰まりやすくなるため、血管合併症のリスクが高まります。
 
糖尿病でリスクが高まる代表的な血管合併症としては、脳梗塞、狭心症や心筋梗塞などの冠動脈疾患、腎動脈狭窄症、四肢の血管が狭窄して血液が流れにくくなる閉塞性動脈硬化症が挙げられます。
 
 
糖尿病と高血圧
 
 

糖尿病の血糖コントロールが悪いと、血管合併症は進行しやすい。

 
すべての糖尿病の血管合併症は、血糖コントロールが悪ければ悪いほど、高血糖の期間が長ければ長いほど、発症したり、悪化するリスクが高まります。
 
血糖コントロールを良好に保つことで、これらの合併症のリスクを下げることができまますが、注意すべき点が一点あります。
 
血糖コントロールの指標として、HbA1cが用いられますが、必ずしも、HbA1cを正常範囲(例 HbA1c 6%未満など)まで下げることが、予後の改善につながらない点です。
 
HbA1cは、赤血球に結合したグルコース(糖分)の量をみていますが、同じ血糖値でも人により、HbA1cの値にはかなり個人差があります。
 
→ HbA1cの解説記事
 
また、血糖降下薬やインスリンを増量して、HbA1cを下げたときに、一日のどこかで低血糖を生じている可能性があります。
 
低血糖を繰り返すと、低血糖への慣れが生じ、身体の反応が弱くなったり、低血糖によって、心臓発作が引き起こされたり、認知症のリスクとなる場合があります。
 
→ 低血糖症の解説記事
 
自分がどの程度の血糖コントロールを目指すべきなのかは、主治医の先生と相談しましょう。
 
 
 

高血圧は、糖尿病の血管合併症を進行させる

 
高血圧は、長期間にわたり、血管の壁に対して高い圧力が加わることで、全身の血管にダメージを与える病気です。
 
高血圧は、糖尿病の細小血管合併症や大血管合併症のどちらにも悪影響を及ぼします。
 
血圧は高ければ高いほど、合併症のリスクが高まります。
 
 
 

糖尿病の人の血圧の管理目標とは

 
疫学調査では、血圧が115/75mmH以上になると、心筋梗塞などの冠動脈疾患、網膜症、腎疾患、死亡率などの段階的な増加と関連していることが報告されています。
 
血圧を140/90mmHg未満への下げることは、冠動脈疾患、心不全、網膜症などのリスクを減少させることが明白であり、糖尿病や高血圧のある人は、ほとんどの人でこの値まで下げる必要があります。
 
過度の降圧は、メリットがないばかりか、年齢や病状によっては逆効果の場合もあるため、注意が必要です。
 
非高齢者では120mmHg未満、高齢者では130mmHg未満に血圧を下げた場合には、脳心血管のイベントや有害事象が増える可能性が報告されています。
 
日本の高血圧ガイドラインでは、糖尿病患者の降圧目標は、診察室血圧 130/80 mmHg未満、家庭血圧 125/75 mmHg未満です。
 
 
 

糖尿病の人の血圧を管理する際の注意点

 
糖尿病の人は、起立した時に血圧が下がる現象(起立性低血圧)を生じる場合があります。
 
起立性低血圧は、座っている時、もしくは、仰向けに寝ている時から、立ち上がった時の血圧が、収縮期血圧(最高血圧)20mmHg、または、拡張期血圧(最低血圧) 10mmHg低下した場合に診断されます。
 
起立性低血圧の原因としては、糖尿病性神経障害による血圧を管理する自律神経の障害、高血糖による脱水、薬の副作用(例 利尿薬、αブロッカー、SGLT2阻害薬など)などが一般的です。
 
起立時に血圧が下がりすぎる場合には、起立時に血圧が下がりにくい薬を使用したり、過度の降圧を避ける必要があります。
 
起立直後にふらつきがある、立ち眩みがするなどの症状を認めた場合には、主治医の先生に相談しましょう。
 
 
 

糖尿病患者での血圧管理の方法について

 
糖尿病患者の血圧を管理する場合には、一般的な糖尿病の治療と高血圧の治療を組み合わせた形になります。

  • 血糖値の管理
  • 適性体重の維持
  • アルコールの飲み過ぎを避ける
  • タバコの減量、禁煙
  • 塩分(ナトリウム)の制限
  • カリウムの摂取量の増加
  • 定期的な運動
  • 降圧薬の使用

 
高血圧と糖尿病の治療で大きく異なる点としては、食事療法が挙げられます。
 
糖尿病の食事管理には、カロリー制限や至適栄養素の割合(炭水化物、脂質、たんぱく質など)などの管理目標はあるものの、高血圧の食事療法にありません。
 
また、糖尿病の人で、糖尿病性腎症2期以降の人の場合には、たんぱく質の過剰摂取は腎機能を悪化させることが知られているため、蛋白質の過剰摂取を避け、たんぱく質を制限することが推奨されています。
 
高血圧の食事療法
 
 
 

糖尿病患者での降圧剤の選択について

 
降圧薬にはさまざまな種類のものがあります。
 
→ 降圧薬の種類と特徴の解説記事
 
医師は、降圧薬を処方する際には、病状、降圧効果、効果時間、副作用、薬価、副次的効果などの様々な要素を加味して、最適だと思われるものを使用します。
 
糖尿病のある人の高血圧を治療する際には、Ca拮抗薬、ARB、ACE阻害薬、サイアザイド系利尿薬など、様々な種類の降圧薬を処方します。
 
ただし、糖尿病性腎症による蛋白尿がある人の場合には、腎保護作用や蛋白尿の減少作用が報告されているため、ARB、ACE阻害薬をよく用います。
 
 
 
参考文献
 
Michael J et al. Microvascular and Macrovascular Complications of Diabetes Clinical Diabetes 2008
 
Ian H. de Boer w al. Diabetes and Hypertension: A Position Statement by the American Diabetes Association Diabetes Care 2017
 
日本高血圧学会 高血圧治療ガイドライン2019 
 
 
 
以上です。
 
アスクレピオス診療院では、糖尿病や高血圧の生活習慣病の専門家が治療に当たっています。
 
糖尿病や高血圧でお困りなら、当院にご相談ください。
 
 
 
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文責・名古屋市名東区 糖尿病内科 アスクレピオス診療院 糖尿病専門医 服部 泰輔 先生
 

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