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高血圧の食事療法|名古屋糖尿病内科 アスクレピオス診療院|名東区の糖尿病専門医

高血圧の食事療法

高血圧の食事療法|名古屋糖尿病内科 アスクレピオス診療院|名東区の糖尿病専門医

高血圧の食事療法

公開日: 2021年10月4日

最終更新日: 2022年12月28日

 
食事療法や運動療法などの生活習慣は、高血圧の発症や進行に大きな影響を及ぼします。
 
今回は、高血圧の食事のポイントを解説します。
 
 
高血圧と食事療法
 
 

高血圧の食事療法のポイント

  • 適正なカロリー摂取
  • 減塩(1日6g/日未満)
  • 野菜や果物を摂取する
  • コレステロールや飽和脂肪酸の取りすぎを避ける
  • 魚を摂取する
  • アルコールを控える。(純アルコール換算で1日20ml/日以下)

 
 
 

適正なカロリー摂取

 
太りすぎや肥満は、血圧を上昇させ、高血圧を引き起こします。
 
太りすぎや肥満は、睡眠中の呼吸障害(睡眠時無呼吸症候群)をきたし、血圧をさらに上昇させる可能性があります。
 
体重減量は、血圧をコントロールするための最も効果的な方法の一つです。
 
若干太りすぎの軽症の高血圧の白人の男女222人(平均身長 170cm 平均体重 80.5Kg 平均BMI 27.7)では、平均体重が8.1 kg減少すると、収縮期血圧が4.2mmHg低下し、拡張期血圧が3.3mmHg低下したと報告されています。
 
太りすぎや肥満の人は、摂取カロリーを適性に保ち、適正な体重を維持しましょう。
 
適正な体重は、身長(m)×身長(m)×25で計算した時の値の体重(Kg)未満が推奨されています。
 
身長 150㎝では56Kg未満、160㎝では64kg未満、170㎝では72Kg未満、180㎝では81Kg未満が適性体重になります。
 
ただし、元々の骨格や筋肉の重量に個人差がありますので、20歳時の体重も参考にして、若い時よりも10Kg以上増えている人は注意しましょう。
 
 
 

減塩(1日6g/日未満)

 
塩分(ナトリウム)には、水を体内に保持する作用があります。
 
塩分をとりすぎると、人によっては血圧が上昇します。(食塩感受性高血圧と呼ばれます。)
 
20歳以上の日本人が1日に摂取している食塩の量は、約10g(男性10.8g、女性9.2g(平成28年度国民健康栄養調査より))です。
 
日本高血圧学会のガイドラインでは、塩分摂取は1日6g未満が推奨されています。
 
元々、日本食は、漬物や味噌汁などの塩分の強い料理が多く、塩分摂取が多くなりがちです。
 
減塩のポイントとしては、次の点に注意しましょう。
 

減塩のポイント

  • 減塩食品(減塩醤油など)を活用する。
  • 塩分の多い加工食品を避ける。
  • 味付けを塩分に頼らず、酢や柑橘類、香辛料などの塩分の含まれていない調味料を活用する。
  • 食事に味にメリハリをつける。
  • 麺類の汁は残す。

 
 
食品を購入する際には、食塩の含有量を確認しましょう。
 
通常の食塩・精製塩の場合、小さじ1杯の塩は約6gであることも覚えておきましょう。
 
→ 高血圧と塩分の解説
 
 
 

野菜や果物の摂取

 
野菜や果物などには、食物繊維、カリウム、マグネシウムが多く含まれています。
 
食物繊維には、血圧を下げるのみならず、動脈硬化のリスクであるコレステロールを下げたり、狭心症などの心血管疾患のリスクを下げる効果もあることが知られています。
 
食事によるカリウム摂取は、血圧が高い人でも高くない人でも、摂取量を増やすと、血圧が下がることが知られています。
 
また、高血圧は、狭心症や心筋梗塞などの心疾患を引き起こすリスクとなりますが、カリウムの摂取は血圧の低下とは関係なく、これらの心疾患のリスクを低下させます。
 
利尿薬(カリウム保持性利尿薬を除く)を使用中の人は、カリウムが尿中に失なれるため、カリウムを摂取しましょう。
 
ただし、カリウムは腎臓から尿の中へ排泄されるため、腎機能が悪い人では、血液中のカリウム濃度の上昇(高カリウム血症)をきたす可能性があり、注意が必要です。
 
→ 高血圧とカリウムの解説
 
マグネシウムには、血管の平滑筋の緊張を緩和することで、血圧を低下させる作用があることが報告されています。
 
日本人の1日のマグネシウムの摂取量は、18~29歳男性では340㎎、30~49歳男性では370㎎、50~69歳男性では350㎎、70歳以上の男性では320㎎で、18~29歳女性では270㎎、30~69歳女性では290㎎、70歳以上の女性では270㎎が推奨されています。(日本人の食事摂取基準(2015年))
 
平成27年国民健康・栄養調査におけるマグネシウムの1日の摂取量の平均は243.9㎎であり、不足しています。
 
サプリメントや下剤などのマグネシウム含有薬からのマグネシウムが多すぎると、下痢を引き起こす可能性があります。
 
(酸化マグネシウムは、下剤として頻用しています。)
 
食品からのマグネシウム摂取による悪影響は報告されていません。
 
塩分(ナトリウム)の摂取を減らし、マグネシウムとカリウムの摂取を増やす組み合わせは、単一のミネラル摂取量を変えるよりも血圧の低下に効果的であり、降圧薬の投薬と同じくらいの効果がある場合があります。
 
 
 

コレステロールや飽和脂肪酸の取りすぎを避ける

 
高血圧の重要な合併症の一つに動脈硬化があります。
 
飽和脂肪酸は、動物の脂肪(肉や乳製品)に多く含まれており、LDL(悪玉)コレステロールが増やす働きがあります。
 
LDLコレステロールが高くなると、動脈硬化が進行しやすくなり、心臓病や脳卒中のリスクが上昇します。
 
通常の日本人の食生活では、飽和脂肪酸の平均的な摂取量(中央値)は、年齢が高くなるほど少なくなりますが、総摂取エネルギーの6.2%~7.6%に相当する量(平成28年国民健康・栄養調査)となっています。
 
健康のための摂取目標は、7%未満とされていますので、肉類や乳製品などをよく食べる人は、注意しましょう。
 
ただし、飽和脂肪酸の摂取量が少なくなりすぎると、脳出血のリスクが高まることが知られているため、肉類や乳製品を全くとらないなど極端な食事制限は避けましょう。
 
 

飽和脂肪酸を含む食品の例

  • 牛肉
  • 豚肉
  • 牛脂
  • ラード
  • バター
  • チーズ
  • ココナッツオイル

 
さらに、洋菓子や揚げ物には、飽和脂肪が含まれている可能性があります。
 
 
 

魚を摂取する

 
魚(特に、イワシ、サバ、サンマなどの青魚)には、EPA、DHAなどのオメガ3脂肪酸と呼ばれる不飽和脂肪酸が多く含まれており、これらの不飽和脂肪酸は血圧を下げる作用をもちます。
 
また、これらの脂肪酸には、血液をさらさらにする作用(抗血小板作用)や抗炎症作用があり、コレステロールを上げずに中性脂肪を下げ、心筋梗塞などの心臓病のリスクを下げることが知られています。
 
動物性の脂が多いラード、バター、クリームなどは控え、魚や植物性の油を多くしましょう。
 
 
 

アルコールを控える。(純アルコール換算で1日20ml/日以下)

 
少量のアルコールは血管を広げて血圧を下げますが、過度の飲酒をすると、血圧は上がります。
 
1日のエタノール摂取の適量として、男性は20〜30ml以下、女性はその約半分の10〜20ml以下が推奨されています。
 
女性は男性よりアルコールに対しての耐性が低く、男性の半分の量が目安です。
 
 

アルコールの一日の摂取量の目安(男性の限度)

  • 日本酒 1合まで
  • ビール 中瓶1本まで
  • 焼酎 半合まで
  • ウイスキー・ブランデー ダブル1杯まで
  • ワイン 2杯まで

 
→ 高血圧とアルコール
 
 
 
参考文献
 
Roberto Fogari et al. Effect of body weight loss and normalization on blood pressure in overweight non-obese patients with stage 1 hypertension Hypertension Research 2020
 
日本高血圧学会 高血圧治療ガイドライン2019 他
 
 
 
以上です。
 
アスクレピオス診療院では、生活習慣病の専門家が高血圧の治療に当たっています。
 
高血圧でお困りなら、当院にご相談ください。
 
 
 
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文責・名古屋市名東区 糖尿病内科 アスクレピオス診療院 糖尿病専門医 服部 泰輔 先生
 

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