糖尿病の初診時の検査について
糖尿病の初診時の検査について
公開日: 2019年5月1日
最終更新日: 2022年12月31日
今日は、糖尿病の治療のために初回受診された際の検査項目について解説します。
糖尿病は、インスリンの作用不足により、高血糖をきたし、全身の至るところに合併症を生じる病気です。
糖尿病を患っている人には、
など、人によって、千差万別です。
糖尿病を発症した背景や、糖尿病の血糖コントロールの状況もさまざまです。
そのため、糖尿病の初診では、
以上の項目を評価しています。
一般的なスクリーニングの血液検査の項目には、肝機能・腎機能・電解質・尿酸値・血球数(白血球・赤血球(貧血)・血小板)・炎症反応(CRP)などが含まれます。
全身状態を把握するのが主な目的ですが、肝機能や腎機能は、薬の投与量の調節や、薬の副作用の確認のために必要です。
現在の血糖コントロール状況の把握には、HbA1c、血糖値(BG:Blood Glucose)を測定します。
まれに、ヘモグロビンに異常がある人では、HbA1cが血糖コントロール状況を反映しない場合がありますので、グリコアルブミン(*)を同時に測定します。
(*グリコアルブミンは、糖化されたアルブミンです。2週間の平均血糖値を反映します。)
→ グリコアルブミンの解説記事
高血糖をきたす原因には、
など、様々なものがあります。
糖尿病を悪化させる要因の中で、食事・運動などの生活習慣の乱れ、清涼飲料水の飲みすぎは、病歴を聴取することで評価できます。
しかし、1型糖尿病などの特殊なタイプの糖尿病、ホルモン異常、悪性腫瘍の新規発生を、病歴を聴取しても、評価するのは難しい場合があります。
そのため、初診時には、
を検査します。
甲状腺ホルモンは、新陳代謝をコントロールするホルモンで、不足すると、体重増加やコレステロール異常の原因になります。
上記の腫瘍マーカーで評価可能ながんは、膵癌、大腸がん、肝がん、前立腺がん、卵巣がんなどの婦人科系のがんです。
がんがあっても腫瘍マーカーが上昇しない場合がありますので、必ずしも、発見できるわけではありませんが、がん発見の一助になります。
治療への反応が悪いなど、悪性腫瘍の存在が疑われる場合には、腹部エコーやCT検査を行います。
抗GAD抗体は、免疫異常により膵臓のβ細胞が破壊されて生じる1型糖尿病と呼ばれる糖尿病を評価するために測定します。
1型糖尿病は、若年者では急速に血糖コントロールが悪化する場合が多いのですが、高齢者では、徐々に進行する場合もあり、病歴では鑑別できないことがあります。
糖尿病に合併しやすい病気としては、高脂血症(脂質異常症)があります。
糖尿病の代表的な合併症には、網膜症、腎症、神経症、動脈硬化による病気があります。
高脂血症(脂質異常症)については、LDL-C(悪玉コレステロール)、HDL-C(善玉コレステロール)、TG(中性脂肪)などを評価します。
糖尿病の合併症については、糖尿病で腎臓が悪くなると、尿中に蛋白質が漏れるようになるため、尿中のアルブミンを評価します。
糖尿病網膜症は、眼科に紹介状を作成し、糖尿病神経障害は、身体診察で評価します。
動脈硬化性疾患については、胸部X線・心電図を行う事が多いのですが、現役世代の方では、定期健康診断で評価されていることが多いです。
頸動脈エコーは、動脈硬化のリスクが高いと考えられる方に行っています。
以上です。
糖尿病の精査・治療は、糖尿病の専門家にお任せ下さい。
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文責・名古屋市名東区 糖尿病内科 アスクレピオス診療院 糖尿病専門医 服部 泰輔 先生