腎性糖尿とは - 症状・遺伝・原因・検査・治療についての説明
腎性糖尿とは - 症状・遺伝・原因・検査・治療についての説明
公開日: 2019年10月12日
最終更新日: 2022年12月30日
腎性糖尿の説明です。医療情報を一般向けに分かりやすくまとめています。
腎性糖尿はまれな疾患のため、糖尿の原因の多くは、糖尿病です。
腎性糖尿症は、血糖値が正常、または、低いにも関わらず、尿中に糖分(ブドウ糖・グルコース)がでていくまれな疾患です。
通常、健常者では、血糖値が、一定以上(160mg/dl~180mg/dl)に上昇したときに、尿中へグルコースが漏れ出します。
→ 尿糖、及び、尿糖陽性になるメカニズムの詳しい記事
腎性糖尿では、腎臓の尿細管(*)でグルコースを再吸収する能力が低下しているため、血糖値が正常でも、尿中にグルコースが多量に排出されます。
(*腎臓の尿細管では、原尿(=腎臓の糸球体で濾した血液)からグルコースを再吸収しています。)
腎性糖尿の頻度は、1961年のバーミンガムの調査では、0.29%(1000人のうち3人)と報告されています。
腎性糖尿は、腎臓のグルコースの輸送に関連する膜タンパク質の変化をひきおこす遺伝子の異常等に起因すると考えられています。
腎性糖尿には、尿細管におけるグルコースの再吸収が完全に欠損されているものから、低下しているものまでさまざまなタイプがあります。
→ 妊娠中の尿糖陽性の意味とは? の記事
糖尿の最も多い原因は、糖尿病、及び、耐糖能障害です。
腎性糖尿を診断する場合には、一般的には、経口血糖負荷試験を行います。
経口血糖負荷試験を行い、血糖値が上昇していなのにも関わらず、尿中にグルコースを認めるかどうかを見ます。
ただし、尿細管の再吸収障害をきたすfanconi症候群などの他の疾患の鑑別も必要です。
→ 経口ブドウ糖負荷試験ってどういう検査?
腎性糖尿のほとんどの人では、明らかな症状や重篤な影響はありません。
多尿(尿量の増加)、夜尿、多飲、多食、思春期中の成長と成熟の軽度遅延が報告されています。
あまり一般的ではありませんが、妊娠中や飢餓状態などの特定の条件下では深刻な症状が明らかになる場合があります。
ほとんどの腎性糖尿は、治療の必要はありません。
ただし、腎性糖尿の人の中には、糖尿病を合併する場合があります。
その場合には、糖尿病の治療が必要です。
→ 1.糖尿病ってどんな病気? 2.糖尿病予防 3.糖尿病の診断基準の記事
文責・名古屋市名東区 糖尿病内科 アスクレピオス診療院 糖尿病専門医 服部 泰輔
参考文献・リンク:
National Organization for rare disorders
Genetic and Rare disaese Information Center
Incidence of Glycosuria and Diabetes
→ 「糖尿病内科 in 名古屋」の記事一覧
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