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HbA1c 5.6%でも、糖尿病の可能性はあるの? 

HbA1c 5.6%でも、糖尿病の可能性はあるの? 

公開日: 2019年11月16日

最終更新日: 2019年11月26日

 
HbA1cは、過去2~3カ月の平均血糖値を示す、糖尿病の血糖コントロールの指標です。
 
健康診断で、糖尿病の早期発見のために、血糖値に加えて、HbA1cを同時に測定する場合があります。
 
検査の結果が、HbA1c 5.6%やHbA1c 5.7%など、HbA1cが正常範囲でも、人によっては、糖尿病の精査を勧められる場合があります。
 
それは、HbA1cが正常範囲の人でも、時々、糖尿病の人がいるからです。
 
でも、HbA1cが正常範囲なのに、糖尿病ということがありうるのでしょうか?
 
今回は、そんな疑問にお答えします。
 
 
HbA1c 5.8%と糖尿病
 
 

 
 
 
 

糖尿病の診断基準

 
糖尿病は血液中の糖分が高くなり、全身の血管・臓器が傷む病気です。
 
糖尿病を診断する際に使用している血糖値は、糖尿病に特徴的な合併症が見られ始める値を基準にしています。
 
糖尿病の基準(血糖値のみ抜粋)は次の通りです。

  • 空腹時血糖値 126mg/dl 以上
  • 随時血糖値 200mg/dl 以上
  • 75g経口血糖負荷試験 2時間値 200mg/dl 以上

 

空腹時血糖値、75gOGTT血糖値ともに、この血糖値を超えると、糖尿病網膜症が増加しはじめます。
 
参考:
→ 糖尿病の診断基準 の記事
→ 経口ブドウ糖負荷試験 の記事
 
 
また、糖尿病の診断基準には、HbA1cも用いられています。

  • HbA1c 6.5% 以上

 
HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)は、赤血球のヘモグロビンに糖分が結合したもので、過去2-3カ月間の平均血糖値を反映します。
 
時間をかけて糖分と結合した赤血球の割合をみているため、出血などで赤血球が失われたときや、ヘモグロビンに異常がある場合などには、実際の血糖値と比較して、低くなったり、高くなったりする場合があります。
 
実際の血糖値と乖離することがあるため、HbA1cが高いだけでは、糖尿病と診断できません。
 
→ HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー) の記事
 
 
 
 

同じHbA1cでも、血糖値にはバラつきがある。

 
次に、HbA1cと血糖値の関係を見てみましょう。
 
下の図は、1980年から1998年の間に、60歳未満のOGTT受診者6658名のHbA1c(JDS値)と空腹時血糖値、経口血糖負荷試験の2時間値をプロットしたものです。(1)
 
HbA1cは、昔、日本で使用されていたJDS値を記載しています。
 
現在、使用されている値(NGSP値)に直す場合には、HbA1c(JDS)に0.4を足してください。
 

HbA1cとFBGの関係の図

縦:空腹時血糖値
横:HbA1c(JDS)%


 
HbA1cと75gOGTT2時間の図

縦:糖負荷試験2時間の血糖値
横:HbA1c(JDS)%


 
この図から見ると分かる事は、次の2点です。

  • HbA1cが高くなると、血糖値は全体的に高くなります。
  • 同じHbA1cの値でも、空腹時の血糖値や糖負荷試験2時間後の血糖値には、かなりばらつきがある。

 
HbA1cが高くなると、空腹時血糖値、糖負荷試験後の血糖値の平均値は高くなります。
 
しかし、同じHbA1c(JDS) 6.1%(=現在のHbA1c 6.5% 糖尿病の診断基準)でも、空腹時血糖値・糖負荷後2時間には、上下に大きな幅がありますね。
 
HbA1cが高くなると、全体の平均血糖値は高くなります。
 
しかし、HbA1cだけでは、実際の各人の血糖値がどうなっているのかは、分かりません。
 
 
 
 

HbA1c 6.4%未満でも糖尿病の人はいる。

 
HbA1cは過去2-3カ月の血糖値の平均と相関しますが、実際の血糖値とは、全然違う場合があることがあることが分かりました。
 
それでは、HbA1cが7.0%未満の人で、同じHbA1cの人では、どのくらいの割合の人が正常、境界型、糖尿病型なのか見てみましょう。
 

HbA1c別の正常型・境界型・糖尿病型の分布図

横:HbA1c(JDS)
縦:%
青:正常型
赤:境界型
緑:糖尿病型(空腹時、または、2時間値が高値)
橙:糖尿病型(空腹時と2時間値の両方高値)


 
少々分かりにくい図ですが、HbA1c毎に、正常型、境界型(=正常型と糖尿病型の中間)、糖尿病型を図示したものです。
 
(緑:糖尿病型(空腹時、または、糖負荷後2時間値が高値) 橙:空腹時血糖値と糖負荷後2時間値の両方が高い。)
 
HbA1c(JDS)5.0%(=HbA1c(NGSP)5.4%)の時点で、少数ですが糖尿病の人がいます。
 
HbA1cは、反映される血糖値にばらつきがあるため、経口血糖負荷試験を用いて、詳しく調べると糖尿病の人がいるというわけです。
 
HbA1c 6.1%(JDS)(=HbA1c 6.5%)を超えると、正常型の人はぐっと減り、境界型・糖尿病型の人が多数を占めます。
 
HbA1c 6.5%以上を基準値に用いつつ、血糖値が必要なのは、大多数の人が糖尿病型になる一方で、一部の人が、糖尿病型ではないからなんですね。
 
 
 
 

HbA1cが正常でも経口血糖負荷試験が推奨される人

 
HbA1c 6.4%未満の人で、経口血糖負荷試験(=糖尿病の精密検査)が推奨される人は、下図の通りです。
 
75 g経口血糖負荷試験が推奨される場合

 
上の図を簡単に説明すると、
 
HbA1c 6.0%~6.4%では、糖尿病の人は結構いますので、経口血糖負荷試験を行って糖尿病の有無を確認しましょう。
 
HbA1c 5.6%~5.9%では、糖尿病の人はたまにしかいませんが、糖尿病の人もいるため、糖尿病のリスクが高い人々には、経口血糖負荷試験をして調べておきましょう。

 
以上のような考え方になっています。
 
→ 糖尿病予防の解説 - 糖尿病になりやすい人 他 の記事
 
HbA1cによって、糖尿病の人の頻度が異なるため、推奨する理由も違いますね。
 
 
 
 
以上が、HnA1c 5.6%でも、糖尿病ではないと言い切れない理由です。
 
糖尿病についてご相談があれば、当院にご相談下さい。
 
参考文献・図の引用元:
 
Yutaka Seino et al. Report of the Committee on the Classification and Diagnostic Criteria of Diabetes Mellitus. J Diabetes Investig. 2010
 
清野 裕 他 糖尿病の分類と診断基準に関する委員会報告 (国際標準化対応版)糖尿病 2012年 55巻7号 p.485-504
 
 
→ 「糖尿病内科 in 名古屋」の記事一覧
 
 
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文責・名古屋市名東区 糖尿病内科 アスクレピオス診療院 糖尿病専門医 服部 泰輔 先生

 

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