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フィアスプ注 - 新しい超速効型インスリンの効果・薬価・使い方

フィアスプ注 - 新しい超速効型インスリンの効果・薬価・使い方

公開日: 2019年12月12日

最終更新日: 2019年12月13日

 
2020年2月7日にフィアスプ注がノボノルディスクファーマより発売されます。
 
フィアスプ注は、ノボラピッドと同じインスリンアスパルトの超速効型インスリン製剤です。
 
ノボラピッドの違いは、インスリン溶液の添加物が異なるため、効果発現が 5分~10分程度早い点です。
 
フィアスプの投与タイミングは、ノボラピッドと異なり、食直前(0~2分)、食後20分とされています。
 
しかし、1型糖尿病の臨床研究では、超速効型インスリンは、食事開始20分前に投与した方が、食後血糖を抑え、低血糖のリスクが低減できることが報告されているため、将来的には、投与タイミングの研究が必要となるでしょう。
 
 
フィアスプ 超速効型インスリン
 
 

 
 
 
 

フィアスプ注とは

 
フィアスプ注は、2020年2月7日にノボノルディスクファーマより発売予定の超速効型インスリン製剤です。
 
フィアスプ注は、同社から発売されているノボラピッドと同じインスリン アスパルトの溶液の組成を変える事により、作用の発現を早くした製剤になります。
 
 
 
 

フィアスプ注の適応

 
フィアスプ注は、インスリン製剤のため、インスリン療法の必要な糖尿病になります。
 
 
 
 

フィアスプ注の組成

 
フィアスプ注のインスリン成分は、インスリンアスパルトであり、現在、発売されているノボラピッドと同じです。
 
インスリンアスパルトに、ニコチン酸アミド(ビタミンB3)とアルギニン等が添加されることで、作用の発現を早くしています。
 
 
 
 

フィアスプ注の種類

 
フィアスプ注は、次の三種類のものが発売予定です。

  • フィアスプ注フレックスタッチ ・・・ インスリンのペン型注入器
  • フィアスプ注ペンフィル    ・・・ カートリッジ交換型のインスリンのペン型注入器のカートリッジ
  • フィアスプ注100単位/ml    ・・・ バイアル製剤

 
 
 
 

フィアスプ注の薬価

 
フィアスプ注の薬価は、ノボラピッドと同じです。

  • フィアスプ注フレックスタッチ 1918円/キット
  • フィアスプ注ペンフィル    1338円/筒
  • フィアスプ注100単位/ml    334円/バイアル

 
「参考」

  • ノボラピッド注フレックスタッチ 1918円/キット
  • ノボラピッド注ペンフィル    1338円/筒
  • フィアスプ注100単位/ml     334円/バイアル

 
 
 
 
→ 薬価サーチ(外部リンク)
 
 
 
 

フィアスプ注の血中濃度の推移

 
フィアスプ注とノボラピッド注の違いは、投与後の作用発現(血中濃度の上昇)スピードの違いです。
 
下図は、フィアスプとノボラピッドの投与後の血中濃度の推移を示したものです。
 

ノボラピッドとフィアスプのインスリンアスパルト濃度の違い

縦軸:インスリンアスパルト濃度
横軸:時間(分)
赤色:フィアスト
青色:ノボラピッド


 
D. Slattery et al. Diabet Med. 2018 より引用
 
フィアスプ注は、ノボラピッド注より若干早く血液中に取り込まれます。
 
他のデータも参照すると、その差は、ノボラピッドより、おおよそ5分~10分程度早いと考えられます。
 
 
 
 

フィアスプ注の投与タイミング

 
ノボラピッド注の添付文書上の投与タイミングは、毎食直前(食直前 15分以内)に皮下注します。
 
フィアスプ注は、作用発現が早いためか、投与タイミングは、食事開始2分以内、もしくは、食事開始後20分以内に投与します。
 
承認前の臨床試験では、成人1型糖尿病患者に対して、食事開始前 0~2分前投与と、食事開始後20分に皮下投与したデータでは、低血糖などの有害事象には有意差はなく、HbA1cも有意な差は認めませんでした。
 
しかし、この投与タイミングが適切かどうかは、検討が必要です。
 
1型糖尿病患者の臨床研究では、食事の15分~20分前に超速効型インスリン製剤を投与した場合に、食直前投与と比較して、食後血糖値は、約30%低下し、低血糖のリスクが減少する事が報告されています。(1)
 
超速効型インスリンを食後に投与した場合には、食後低血糖のリスクが上昇することが報告されています。(2)
 
下図は、1型糖尿病の人を対象にして、インスリンポンプを使用して、超速効型インスリン製剤であるインスリングルリジン(商品名:アピドラ)を食前20分、食事開始時、食後20分に投与した際の食後の血糖推移を表した図です。
 

グルリジン食前、食直前、食後投与時の食後血糖推移

縦軸:血糖値
横軸:食後時間(分)
赤:食前20分投与
青:食事開始時投与
緑:食後20分投与


 
D. Slattery et al. Diabet Med. 2018 より引用
 
図からは、食前20分前の投与が食後血糖を最も抑制できています。
 
インスリンポンプと、皮下注射による食事摂取時の超速効型インスリン投与時の血中インスリン濃度の推移は似ているため、インスリンポンプの結果は、超速効型インスリンの皮下注にも適応可能です。
 
 
 
 

ノボラピッド注からフィアスプ注への切り替え時の単位数

 
ノボラピッド注からフィアスプ注に切り替える場合には、1対1の単位数で切り替えます。
 
 
 
 

フィアスプ注を使用する際に注意すべき人

 
フィアスプ注を使用する際に注意すべき人は、超速効型インスリンと同じで、糖尿病の神経障害により、胃の動きが悪くなっている人(胃不全麻痺の人)です。
 
胃不全麻痺の人では、食後血糖の上昇が不安定なため、低血糖のリスクが高まります。
 
 
 
 

フィアスプ注の使い方

 
フィアスプ注は、ノボラピッド注より作用発現が、おおよそ5分~10分程度少し早くなった製剤です。
 
この差が、臨床的に、どの程度意義があるかは分かりません。
 
食事開始直前にノボラピッドを投与していた方なら、食後血糖の改善が見込めると考えます。
 
発売開始1年間は、14日間しか処方できませんが、長期処方が解禁されたら、ノボラピッドからの切り替えが徐々に進むのではないでしょうか。
 
 
 
 
 
以上が、フィアスプ注の解説になります。
 
ご興味があれば、他の記事も参照頂けると幸いです。
 
 

参考文献:フィアスプ注 新医薬品の「使用上の注意」の解説 ノボノルディスクファーマ株式会社
 
 
→ 「糖尿病内科 in 名古屋」の記事一覧
 
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文責・名古屋市名東区 糖尿病内科 アスクレピオス診療院 糖尿病専門医 服部 泰輔 先生
 

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