糖尿病の診断基準 - 糖尿病の診断基準(空腹時血糖値・フローチャート)と背景を含めた解説
糖尿病の診断基準 - 糖尿病の診断基準(空腹時血糖値・フローチャート)と背景を含めた解説
公開日: 2019年10月17日
最終更新日: 2022年12月30日
今回は糖尿病の診断基準について説明します
糖尿病の診断基準は、主に
・空腹時の血糖値
・随時の血糖値
・HbA1c
・75g経口血糖負荷試験の血糖値
を基準しています。
では、どういう背景でこのような基準に
定められているのでしょうか?
糖尿病の診断基準について、
一歩踏み込んで説明します。
七彩さんによる写真ACからの写真
目次
糖尿病は、血糖値が高くなり、
様々な合併症をきたす疾患です。
そのため、糖尿病を疑った場合には、
高血糖の有無を確認します。
空腹時には血糖値は正常範囲でも、
食事などで糖分の負荷がかかった時のみ、
血糖値が上昇する方もいます。
そのため、糖尿病の基準診断には、
空腹時の血糖値と、随時の血糖値の項目が含まれています。
糖尿病の診断基準の一部
① 空腹時血糖値 126mg/dl 以上
② 随時血糖値 200mg/dl 以上
→ 血糖値の正常値 ー 1日の血糖値の推移を含めた解説 の記事
これで、血糖値が明らかに高い場合には、
糖尿病が疑われます。
しかし、外来での血液検査では、食事を食べた量も、採血時間もばらばらです。
これでは、本当にいつも血糖値が高いかどうかは判断できません。
そのため、血糖値が一回高いだけでは判断せずに、
もう一回、高血糖を確認したり、
HbA1cという過去2~3カ月の血糖値を反映する検査を行っています。
→ HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)って何? の記事
または、血糖値が高いことに加えて、
高血糖により生じる糖尿病に特徴的な合併症である糖尿病網膜症があれば、糖尿病と診断できます。
今言った検査だけでは、糖尿病かどうかが判断がつかない場合には、
空腹時に75g(=300kcal)という大量のブドウ糖を内服させる75gブドウ糖経口負荷試験を行います。
簡単に説明すると、ブドウ糖ジュースを飲んでもらい、多大な負荷をかけてみて、血糖値が正常に戻るかを見る検査です。
(耐糖能の予備能をみています。)
→ 経口ブドウ糖負荷試験は糖尿病の診断検査 の記事
ブドウ糖の負荷をかけた後に、血糖値が正常範囲に戻らなければ、糖尿病です。
先ほど、糖尿病の診断の仕方をお話ししました。
診断の仕方をまとめたものが、
下図の糖尿病の診断フローチャートになります。
糖尿病の診断基準では、
① 空腹時血糖値 126mg/dl 以上
② 随時血糖値 200mg/dl 以上
③ 75gブドウ糖経口負荷試験(oral glucose tolerance test : OGTT) 2時間値 200mg/dl 以上
④ HbA1c 6.5%以上
の場合に糖尿病型と診断します。
さらに、血糖値が高いだけでなく、糖尿病の症状があるかどうか、つまり、
① 糖尿病の典型的症状(口渇、多飲、多尿、体重減少など)
② 確実な糖尿病網膜症
も診断基準に用いられています。
外来受診時に血糖値がたまたま正常範囲に戻ることがあっても、
糖尿病に特徴的な所見や合併症があれば、
糖尿病を発症しているだろうというわけですね。
→ 尿糖(糖尿)と糖尿病の関係の記事
HbA1cと血糖値が糖尿病型の場合 という項目について、
なぜ、HbA1cだけで糖尿病と診断しないかと言いますと、
HbA1cのみで糖尿病と診断しない理由は、
HbA1cは、赤血球内のヘモグロビンが糖化したもので、2カ月~3カ月間の血糖値の平均を反映するものの、
出血などで赤血球の寿命が短くなると、HbA1cが低く出るなどの影響を受けるためです。
→ HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)って何? の記事
参考文献:
糖尿病の分類と診断基準に関する委員会報告(国際標準化対応版)
糖尿病の診断基準は、どのように決まったのでしょうか?
糖尿病の診断基準は、糖尿病に特徴的な合併症のある人(有病率)が増加し始める血糖値を基準として定められています。
下の図は、2型糖尿病の頻度が非常に高いピマ・インディアンの網膜症の有病率を調べた研究です。