HbA1cは、ヘモグロビンの糖化反応により生じる。
HbA1cは、ヘモグロビンの糖化反応により生じる。
公開日: 2019年10月1日
最終更新日: 2021年9月22日
HbA1cは、糖尿病の血糖コントロール状況を判定するのに用いるマーカーであり、過去2~3カ月の平均血糖値を反映します。
今回は、HbA1cのできるまでを調べてみました。
生体のタンパク質は、さままざな酵素反応中に、頻繁に糖化されます。
赤血球中に含まれているヘモグロビンの糖化は、グルコースとシッフ塩基を形成するβ鎖のN末端との間の非酵素反応で生じます。
* シッフ塩基 (Schiff base)とは、有機化合物の分類のひとつで、窒素原子に炭化水素基(アリール基やアルキル基など)が結合したイミンを指す名称です。
塩基の再配置により、シッフ塩は、アマドリ転位化合物になります。
* アマドリ転位は、シッフ塩基から安定なアマドリ化合物になる過程において、ケトースの誘導体に変換されることを意味します。
Shariq I. Sherwani et al. Biomark Insights. 2016
糖化ヘモグロビンができる際の主要なステップでは、ヘモグロビンと血糖が相互作用することで、アルジミンを形成したのち、徐々にケトアミンの形に変換されます。
*アルジミンとは、第一級アミンとアルデヒド、もしくは、ケトンが縮合してシッフ塩基となった化合物です。
*アルジミンは可逆性のため、不安定ですが、最終物質のケトアミンは不可逆性のため安定しています。
ヘモグロビンのグリコシル化は、β-val-1、β-Lys-66、α-Lys-61などで生じます。
成人のヘモグロビンは、HbA(α2β2)、HbA2(α2δ2)、HbF(α2γ2)で構成されており、それぞれ、97%、2.5%、0.5%の割合です。
HbAの約6%は、HbA1と呼ばれ、クロマトグラフィーにより、HbA1a1、HbA1a2、HbA1b、HbA1cの分画に分けられます。
HbA1cはこのフラクションの中で最も多くなっており、健常者でも一定量のHbA1cは常に生成されています。
以上が、HbA1cのできるまでの解説です。
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参考文献:
Shariq I. Sherwani et al. Significance of HbA1c Test in Diagnosis and Prognosis of Diabetic Patients Biomark Insights. 2016
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文責・名古屋市名東区 糖尿病内科 アスクレピオス診療院 糖尿病専門医 服部 泰輔 先生