FreeStyleリブレ - 皮下センサー設置型の持続血糖測定器の解説
FreeStyleリブレ - 皮下センサー設置型の持続血糖測定器の解説
公開日: 2020年4月10日
最終更新日: 2021年10月24日
2017年1月にアボットジャパンよりFreeStyleリブレが発売されました。
FreeStyleリブレが従来の血糖測定器と大きく異なる点は、従来の血糖測定機能(*1)に加えて、フラッシュグルコースモニタリングシステム(*2)を備えている点です。
FreeStyleリブレは、上腕に持続血糖測定用のセンサーを装着する事により、日常生活の中で、自分の好きな時に、指先を穿刺する事なく、血糖値を測定する事ができる上に、最長14日間の血糖値の推移(トレンド)を確認する事が可能になります。
FreeStyleリブレのこの機能によって、自分の血糖値の推移を確認したり、低血糖になりやすい時を把握することで、低血糖の頻度を抑え、よりよい血糖コントロールを目指せます。
FreeStyleリブレの血糖持続測定センサーの保険適応は、強化インスリン療法中、あるいは、強化インスリン療法からインスリン2回打ちに変更となった糖尿病患者が対象です。(2020年4月の時点)
(*1 従来の血糖測定器:指先を穿刺により、血液を採取し、血糖測定器にセンサーを取り付け、測定します。)
(*2 フラッシュグルコースモニタリングシステム:皮下に留置したセンサーにより、間質液中のグルコース濃度を連続的に測定するシステムです。)
目次
FreeStyleリブレは、2017年1月にアボットジャパンより発売された画期的な血糖測定器です。
FreeStyleリブレが、従来の血糖測定器と大きく異なる点は、次に示す二通りの方法で、血糖値の測定をおこなう事ができる点です。
1.指先を穿刺し、血液を採取した後に、血糖測定器に装着したセンサーで測定する従来の血糖測定方式
FreeStyleリブレには、これまでの血糖測定器にはない、様々な特徴があります。
FreeStyleリブレは、センサーに本体を接触させることで血糖値を読みとることができます。
そのため、従来の血糖測定器時に行っていた指先の穿刺は必要ありません。
(厚さ4cm以内の衣服の上から読み取る事ができます。これなら、冬でも服の上から測定できますね。)
FreeStyleリブレは、血糖値を毎分測定しています。
そのため、血糖値を知りたい時に自分の血糖値を測定することができます。
Freestlyeリブレのセンサーは、最長14日間にわたり、血糖測定が可能です。
1か月間、持続測定がしたい場合には、センサーが2個必要という事ですね。
本体(リーダー)に保存されている血糖値のデータを、専用のソフトウェアを使用することで、血糖推移のトレンドグラフに加工することが可能です。
ただし、センサーのメモリーには、8時間分のデータしか保存できません。
8時間が経過すると、センサーのメモリーからデータが消えてしまうため、8時間以内に1度は、本体(リーダー)をセンサーに接触させ、データを取り込む事が必要です。
リブレの使用方法については、Abott社のホームページを参照して下さい。
→ リブレセンターの使用方法(Abott社 外部リンク)
装着までの流れを記載すると、
以上です。分かりにくい場合には、下記のアボットジャパンのサイトで動画で確認して下さい。
→ FreeStyleリブレの使用方法動画(アボットジャパン)
その他の注意点は下記の通りです。
耐水性については、センサーは、入浴中、シャワー中、水泳中、運動中も装着することができます。
ただし、センサーを水深1m以上より深い所や、最長30分以上、水に浸さないようにして下さい。
FreeStyleリブレが保険適応になる人は、2020年4月の時点では、次の方です。
自分に適応があるかどうかがご不明な場合には、お問い合わせ下さい。
FreeStyleリブレのセンサーにかかる費用は、次の通りです。
市場価格:FreeStyleリブレセンサー 1個 約7500円
→ Amazon FreeStyleリブレセンサー(外部リンク)
保険適応(間歇スキャン式持続血糖測定器によるもの):月12500円(3割負担 3750円、1割負担 1250円)
(*センサー代のみ、他の検査代金や管理料は含まず。)
センサー代は、自費なら、1カ月(28日分)15000円、保険適応なら、1カ月 3割負担で3750円になります。
FreeStyleリブレについてのQ&Aになります。
FreeStleリブレの皮下センサーは、皮下の間質液中のグルコース濃度を測定しています。
そのため、血液中のグルコース濃度が変化した後に、間質液中のグルコース濃度が変化するまでに、5分~10分の生理的なタイムラグがあると考えられています。
そのため、低血糖時には、皮下センサーの値は、血糖値が上昇した後に、5分~10分程度遅れて上昇する事に注意が必要です。
また、指先穿刺による自己血糖測定値との比較では、11.4%程度の数値に差がある事が報告されています。
血糖値の上下1割程度(100mg/dlの場合は、90mg/dl ~ 110mg/dl)は、高く出たり、低く出る事があるというわけですね。
従来の血糖測定器の代わりに、FreeStyleリブレの皮下センサーを使用すると、血糖コントロールや低血糖の頻度に影響を及ぼすかどうかを検討した代表的な臨床試験が二つあります。
一つ目は、5年以上の罹患歴のある強化インスリン療法の1型糖尿病の方を対象にしたIMPACT試験です。
結果は、FreeStyleリブレを装着した患者さんは、従来の血糖測定した患者との間のHbA1cは変わりませんでしたが、低血糖の時間を38%も短縮したことが報告されています。
(低血糖の平均時間:FreeStyleリブレ装着群は、3.38時間/日 → 2.03時間/日、対象群 3.44時間/日 → 3.27時間/日)
二つ目は、強化インスリン療法中の2型糖尿病患者を対象としたREPLACE試験です。
結果は、FreeStyleリブレを装着した患者さんは、従来の血糖測定した患者との間のHbA1cは変わりませんでしたが、低血糖の時間を43%も短縮したことが報告されています。
(低血糖の平均時間:FreeStyleリブレ装着群は、1.3時間/日 → 0.59時間/日、対象群 1.08時間/日 → 0.99時間/日)
上記の試験をまとめると、FreeStyleリブレを使用する事で、HbA1cを改善する効果はありませんが、低血糖の頻度を少なくする効果はありそうですね。
(注:HbA1cの改善効果は、一部の臨床試験では報告されています。
しかし、HbA1cは、2~3カ月間の平均血糖値のため、低血糖が少なくなると、HbA1cは高くなります。
そのため、HbA1cの値よりも、血糖変動の質に注目すべきでしょう。)
[参考文献]
Bolinder J et al. Novel glucose-sensing technology and hypoglycaemia in type 1 diabetes: a multicentre, non-masked, randomised controlled trial. Lancet. 2016
Thomas Haak et al. Flash Glucose-Sensing Technology as a Replacement for Blood Glucose Monitoring for the Management of Insulin-Treated Type 2 Diabetes: a Multicenter, Open-Label Randomized Controlled Trial. Diabetes Ther. 2017
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文責・名古屋市名東区 糖尿病内科 アスクレピオス診療院 糖尿病専門医 服部 泰輔 先生