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糖尿病だと歯が悪くなるって本当? - 糖尿病と歯周病の関係とは|名古屋糖尿病内科 アスクレピオス診療院|名東区の糖尿病専門医

糖尿病だと歯が悪くなるって本当? - 糖尿病と歯周病の関係とは

糖尿病だと歯が悪くなるって本当? - 糖尿病と歯周病の関係とは|名古屋糖尿病内科 アスクレピオス診療院|名東区の糖尿病専門医

糖尿病だと歯が悪くなるって本当? - 糖尿病と歯周病の関係とは

公開日: 2020年5月5日

最終更新日: 2022年12月29日

 
虫歯(齲歯)や歯周病は、口の中の細菌によって生じる病気です。
 
糖尿病の人は、血糖コントロールが悪いと、感染症に弱くなるため、虫歯や歯周病になりやすくなります。
 
糖尿病の人は、虫歯や歯周病になりやすい上に、歯周病自体が、糖尿病の血糖コントロールを悪化させてしまいます。
 
虫歯や歯周病の主な原因は、食事の食べかすによって、増えた細菌の塊であるプラーク(歯垢)や、プラークが石灰化した歯石です。
 
虫歯や歯周病の予防のためには、口腔内の細菌を減らす必要があります。
 
口腔内を清潔に保つために、日頃から、次の事を心がけましょう。

  • 良い血糖コントロールを保つ。
  • 少なくとも1日2回、歯を磨く。理想としては、毎食後に磨く。
  • 歯と歯の間、歯肉の下のプラークを取り除くため、少なくとも1日1回、歯をフロスする。
  • 定期的に歯科に受診する。
  • タバコを止める。

 
 
歯茎が赤く腫れる、歯磨きしたときに出血する、口臭が強いなどの症状のある方は、歯周病の疑いがあります。
 
これらの症状があるときには、早めに歯科に受診しましょう。
 
 
 
糖尿病と歯周病
 
 
 

 
 
 
 

よくある歯の病気の説明

 
初めに、よくある歯の病気について説明します。
 
よく見かける歯科の病気には、虫歯(齲歯)と、歯周病があります。
 
虫歯と歯周病の違いは、御存じでしょうか?
 
答えは、虫歯は「歯」の病気である一方で、
 
歯周病は、歯を支えている「歯茎や骨(歯槽骨)など」の病気である点が異なります。

 
 

虫歯(齲歯)

 
虫歯は、口腔内の細菌の作り出す酸によって、歯が溶かされる病気です。
 
虫歯ができるまでの経過は、次の通りです。
 
口の中には、色々な種類の細菌がいます。
 
これらの細菌(代表的な菌:ミュータンス菌)は、食品や飲料の砂糖やでんぶんを利用して、歯にプラーク(歯垢)と呼ばれる粘着性の膜を作ります。
 
(分かりやすくすると、プラークは、しばらく歯磨きをしないと出てくる歯の表面のネバネバです。)
 
プラークは、細菌と細菌の作り出した粘着物質の塊であり、わずか1mgに数億から数兆もの細菌が潜んでいます。
 
プラーク中の細菌によって作られた酸が、歯の表面のエナメル質や象牙質を溶かし、虫歯を作ります。
 
 
ミュータンス菌と齲歯
 
 

歯周病

 
歯周病は、歯を支えている歯肉・骨などの組織が障害される病気です。
 
歯周病は次の順序で悪化していきます。
 
歯周病は、初期には歯の周りの歯肉に炎症をおこし、歯肉の発赤、腫れ、出血を起こします(歯肉炎)。
 
歯肉炎が悪化すると、歯周炎と呼ばれるより深刻な状態となります。
 
そのまま放置すると、歯を支えている組織や骨が破壊され、最終的には、歯がぐらぐらするようになり、歯が抜けてしまいます。

 
歯周病の最も一般的な原因は、先ほど説明した歯の表面のプラーク(細菌の塊)と、プラークが長く放置された結果、かちかちに固まった歯石(=石灰化したプラーク)です。
 
プラークと歯石は、細菌の塊です。
 
歯の周りに、細菌が大量にいると、歯の周りの組織が徐々に傷んでくるというわけですね。
 
歯周病は、歯を失う原因になるだけでなく、心血管疾患、認知症、がんを含む様々な病気のリスクとなる可能性が報告されています。(1)(2)(3)
 
 

歯周病モデル

歯周病のイメージ図:歯がぐらぐらです。


 
 
 

糖尿病があると、歯の病気になりやすく、歯周病があると、糖尿病は悪化しやすい。

 
糖尿病は、齲歯や歯周病に悪い影響を及ぼす事が報告されています。
 
その理由としては、次の通りです。

  1. 糖尿病になると、感染症に弱くなる。
  2. 糖尿病患者の中には、口の渇きがあり、抗菌作用のある唾液の分泌が少ない人がいる。
  3. 歯周病があると、血糖コントロールが悪くなる。

 
糖尿病の血糖コントロールは悪いほど、免疫力が低下し、感染症に対して脆弱になります。
 
→ 糖尿病になると感染症になりやすい の解説記事
 
そのため、口腔内の細菌が原因となる齲歯や歯周病になりやすくなります。
 
また、歯周病になると、血糖コントロールが悪くなり、その結果、歯周病が悪化しやすくなります。
 
逆に、歯周病を治療すると、糖尿病の血糖コントロールが良くなることが報告されています。
 
糖尿病と歯周病は互いに密接な関係があります。
 
糖尿病の方は、自身の歯の状態にも注意を払いましょう。
 
 
 
 

虫歯や歯周病の予防するのに必要なこと

 
虫歯や歯周病を予防するのに必要なことは、次の通りです。

  • 糖尿病の血糖コントロールを良い状態に保つ。
  • 少なくとも1日2回、歯を磨く。理想としては、毎食後に磨く。
  • 歯と歯の間、歯肉の下のプラークを取り除くため、少なくとも1日1回、歯をフロスする。
  • 定期的に歯科を受診する。
  • タバコを止める。

 
 

糖尿病の血糖コントロールを良い状態に保つ。

 
血糖値を良く管理するほど、歯肉炎などの歯の問題を発症する可能性が低くなります。
 
 

少なくとも1日2回、歯を磨く。理想的には、毎食後に磨く。

 
歯に食事の残りかすがくっついていると、細菌が増殖します。
 
食べかすをブラッシングやフロスで除去しないと、プラーク(歯垢)は24時間以内に蓄積し始めます。
 
うまくブラシをかける事が難しい方は、電動歯ブラシを使いましょう。
 

 
→ SUNSTAR デンタルフロス/歯間ブラシの使い方より引用
 
フッ素入りの歯磨き粉には、虫歯の予防効果があることが報告されています。(4)
 
 

歯と歯の間、歯肉の下のプラークを取り除くため、少なくとも1日1回、歯をフロスする。

 
歯の間は、歯ブラシが届きにくく、食べかすが残ってしまい、プラーク(歯垢)が溜まることがあります。
 
デンタルフロスを使用して、歯の間も清潔に保ちましょう。
 

 
→ SUNSTAR デンタルフロス/歯間ブラシの使い方より引用
 
デンタルフロスには、糸まきタイプと、ホルダータイプがありますので、使いやすい方を選びましょう。
 
→ ライオン歯科衛生研究所(外部リンク)
 
 

定期的に歯科に受診する。

 
プラーク(歯垢)が石灰化した歯石は、細菌感染の温床となり、虫歯や歯周病を引き起こす原因になります。
 
歯石は一旦形成されると、歯磨きやフロスでは除去できず、歯科医による専門器具を用いた除去が必要になる場合があります。
 
定期的に歯科を受診し、口腔内の異常の早期発見に努めましょう。
 
 

タバコを止める。

 
喫煙は、歯周炎を悪化させるリスクになります。(5)(6)
 
タバコはなるべく禁煙しましょう。
 
 
 
 

歯周病を疑うのはどんなとき?(歯周病のセルフチェック)

 
次のような自覚症状を認めたら、歯周病の可能性があります。
 
早めに歯科を受診しましょう。

  • 歯をフロスやブラッシングするときに歯茎が出血する。(注)
  • 歯茎が赤くなり、柔らかく、腫れている。
  • 歯茎を押すと膿が出てくる。
  • 口臭がある。
  • 以前より、歯が長くなったように見える。
  • 笑った時に、歯肉の線が不揃いになっている。
  • 歯の付け根が露出し、熱さや寒さに敏感になった。
  • 舌や指で歯を小刻みに動かすことができる。
  • 歯の間にスペースができた。
  • 噛み方に変化が生じた。
  • 部分入れ歯のフィット感が変化した。

 
注:健常な歯肉は、通常のフロスや歯磨きでは出血しません。
 
 
 
 
「参考文献」
 
Darré L et al. Efficacy of periodontal treatment on glycaemic control in diabetic patients: A meta-analysis of interventional studies. Diabetes Metab. 2008 他
 
 
 
→ 「糖尿病内科 in 名古屋」のブログ記事一覧
 
 
 
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文責・名古屋市名東区 糖尿病内科 アスクレピオス診療院 糖尿病専門医 服部 泰輔 先生
 

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