コーヒーは、コーヒー豆を乾燥させたのち、焙煎して挽いた粉末から、お湯で成分を抽出した飲料です。
コーヒーは、世界中で消費されている嗜好品であり、コーヒーの国内の消費量は、約47万トン(平成30年度)に及びます。
日本人一人当たりのコーヒーの消費量は、年間3.64kgになります。
コーヒーには様々な良い健康効果があることが報告されていますが、血圧に対してはどうなのでしょうか?
今回は、高血圧とコーヒーの関係について解説します。
コーヒーを飲むと血圧はどうなりますか?
コーヒーを飲むと、血圧が一時的に上昇することが報告されています。
コーヒーを飲んだときに、血圧を上昇させる主な成分は、カフェインと考えられています。
過去の研究をまとめた報告によると、約1.5〜2杯分のコーヒーに含まれる200〜300mgのカフェインを摂取することによって、収縮期血圧(最高血圧)が平均8.1mmHg、拡張期血圧が5.7mmHg上昇したと報告されています。
血圧の上昇は、高血圧の治療中か否かに関わらず、カフェイン摂取後の1時間以内に認められ、最大3時間持続します。
ただし、カフェインを習慣的に飲用する人では、カフェインへの耐性が出現するため、カフェインによる血圧上昇は抑えられます。
1週~12週間の短期間の間、コーヒーを習慣的に内服させた研究では、1日約5杯のコーヒー摂取は、収縮期血圧2mmHg、拡張期血圧 1mmHg程度の血圧のわずかな上昇を認めたと報告されています。
コーヒーを習慣的に飲むと、将来的に高血圧になるリスクがあがりますか?
コーヒーを習慣的に飲用すると、高血圧を発症するリスクが高くなるかどうかは、まだ分かっていません。
一部の研究からは、コーヒーを1日4杯以上を飲む女性では、高血圧のリスクが約10%低下したと報告されています。
現在までの研究結果からは、コーヒーが、高血圧のリスクになる可能性は低いと考えられます。
コーヒーには、さまざまな良い健康効果が報告されています。
高血圧の予防のために、コーヒーを控える理由にはならないでしょう。
コーヒーを飲むと血圧が上がるメカニズム
コーヒーの血圧上昇のメカニズムとして、カフェインを介する働きが最も研究されています。
カフェインには、交感神経の活性化、アデノシン受容体の拮抗作用、副腎髄質への直接作用、ノルアドレナリンの放出作用、レニン・アンジオテンシン系の活性化など、血圧上昇に関係するさまざまな作用があることが、報告されています。
コーヒーには、抗酸化作用をもつポリフェノール、水溶性繊維、カリウムなどの健康にとって良い働きをする成分も含まれています。
コーヒーの健康効果は総合的に判断しましょう。
コーヒーを習慣的に飲むと、脳や心臓の血管の病気のリスクは上昇しますか?
コーヒーを習慣的に飲んでも、脳や心臓の血管の病気(心血管疾患)のリスクは上昇しないと言われています。
また、心筋梗塞を発症された人が、コーヒーを習慣的に飲用しても、病気の予後が悪くなることはありません。
高血圧と同じく、糖尿病は、脳や心臓などの血管の病気のリスクを高めることが知られています。
コーヒーには、糖尿病の発症を抑制する効果があります。
複数の研究をまとめて解析した結果、2型糖尿病を発症するリスクは、1日6杯~7杯のコーヒーを飲む被検者では、35%低く、4杯~6杯を飲む被検者では28%低いことが報告されています。
コーヒーと高血圧についての解説は、以上です。
アスクレピオス診療院では、糖尿病や高血圧の生活習慣病の専門家が治療に当たっています。
高血圧のことでお困りなら、当院にご相談ください。