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糖尿病は吐き気(悪心)の原因になりますか?

糖尿病は吐き気(悪心)の原因になりますか?

公開日: 2020年8月13日

最終更新日: 2020年8月19日

 
吐き気(悪心)は、一般的によく認められる症状です。
 
糖尿病により吐き気を生じる原因としては、

  • 血糖降下薬の副作用(メトホルミン・GLP-1受容体作動薬・αグルコシダーゼ阻害薬)
  • 低血糖及び高血糖
  • 糖尿病性ケトアシドーシス
  • 胃不全麻痺
  • その他

 
以上が挙げられます。
 
吐き気は、糖尿病と関係のない、胃腸炎などの一般的な病気に由来している場合があります。
 
糖尿病があり、吐き気が続く場合には、自己判断せず、主治医の先生に相談しましょう。
 
 
 
糖尿病による吐き気の原因とは
 
 
 

 
 
 
 

糖尿病による吐き気の原因

 
吐き気は、一般的によく経験する症状です。
 
糖尿病の人にも、吐き気の訴えはよく認められます。
 
吐き気には、軽症で短期間で改善するものから、重症で生命に危険を及ぼすようなものまで、様々な程度のものがあります。
 
吐き気の原因によっては、生命に危険を及ぼすため、迅速な治療介入が必要です。
 
糖尿病による吐き気の原因としては、

  • 血糖降下薬の副作用
  • 低血糖及び高血糖
  • 糖尿病性ケトアシドーシス
  • 胃不全麻痺
  • その他

 
以上が代表的です。
 
では、それぞれについて解説します。
 
 

血糖降下薬の副作用

 
糖尿病の血糖管理を行う際には、さまざまな血糖降下薬を使用します。
 
血糖降下薬の中でも、メトホルミン、GLP-1受容体作動薬、αグルコシダーゼ阻害薬では、悪心の副作用が多い薬剤として知られています。
 
血糖降下薬の副作用によって、悪心を生じた場合は、薬を中止すれば改善します。
 
 

メトホルミン(メトグルコ)

 
メトホルミン(メトグルコ)は、世界中で使用される最も一般的な血糖降下薬です。
 
メトグルコは、消化器系の副作用が良く生じることが報告されています。
 
メトグルコの消化器系の頻度の多い副作用としては、下痢(40.5%)、悪心(15.4%)、食欲不振(11.8%)、腹痛(11.5%)が挙げられます。
 
メトグルコの消化器系の下痢などの一部の副作用は、内服を続けるうちに、徐々に軽快していきます。
 
メトグルコを使用する場合には、開始する投与量を少量から開始し、徐々に増量すれば、副作用を抑えることが可能です。
 
→ メトグルコ(メトホルミン) の解説
 
 

GLP-1受容体作動薬

 
GLP-1受容体作動薬は、GLP-1受容体を刺激することで、血糖降下作用を発現する血糖降下薬です。
 
代表的なGLP-1受容体作動薬には、

  • リラグルチド(ビクトーザ)
  • エキセナチド(バイエッタ・ビデュリオン)
  • リキシセナチド(リキスミア)
  • デュラグルチド(トルリシティ)
  • セマグルチド(オゼンピック)

 
以上のものが挙げられます。
 
GLP-1受容体作動薬には、膵臓からのインスリン分泌を促し、血糖値を下げる作用以外にも、消化管の蠕動(動き)を抑える作用があります。
 
胃や腸管の動きを抑える働きは、食後の腹満感を増やすことができる良い面がある一方で、人によっては、消化器系の副作用を生じます。
 
GLP-1受容体作動薬でよく認められる消化器系の副作用としては、便秘、悪心・嘔吐、下痢、腹部膨満感などです。
 
→ GLP-1の体重減少効果 の解説
 
 

αグルコシダーゼ阻害薬

 
αグルコシダーゼ阻害薬は、消化管での糖分の吸収をゆっくりにすることで、食後の血糖上昇を抑える薬です。
 
代表的なαグルコシダーゼ阻害薬には、次のものが挙げられます。

  • アカルボース(グルコバイ)
  • ボグリボース(ベイスン)
  • ミグリトール(セイブル)

 
αグルコシダーゼ阻害薬を内服すると、糖分の分解が抑えられ、糖分の吸収がゆっくりになります。
 
これだけなら良いのですが、同時に腸内細菌によって分解される糖分の量が増えます。
 
すると、腸管内のガスが増えて、お腹が張るなどの副作用が生じます。

 
以上から、αグルコシダーゼ阻害薬の副作用には、腹部膨満、下痢、便秘、腹痛、悪心・嘔吐、食欲不振などの消化器症状をよく認めます。
 
 

低血糖及び高血糖

 
血糖値が下がり過ぎたり、上がり過ぎたりすると、吐き気を引き起こす場合があります。
 
低血糖や高血糖を認めた場合には、主治医の先生と相談して下さい。
 
→ 低血糖症の解説
 
 

糖尿病性ケトアシドーシス

 
重度の吐き気を認めた場合には、糖尿病性ケトアシドーシスという重篤な病気の可能性があります。
 
糖尿病性ケトアシドーシスは、1型糖尿病を新規に発症した時、1型糖尿病や膵臓全摘後などのインスリン分泌が枯渇している人が、インスリンを自己中断した時など、インスリン作用が極度に低下した場合に生じます。
 
糖尿病性ケトアシドーシスでは、高血糖の他に、強い口渇、悪心、嘔吐、腹痛、脱力、フルーティーな香りの息などを認め、重篤な場合には、錯乱、意識障害、呼吸困難などをきたします。
 
糖尿病性ケトアシドーシスが疑った場合には、すぐに医療機関を受診して下さい。
 
 

胃不全麻痺

 
胃不全麻痺は、胃の動きが悪いために、胃の中に入った食物を空にするのが通常よりも遅い状態を指します。
 
食事によって、胃に入った食物が、なかなか十二指腸に移動しないため、食事開始後の胃の膨満感や、食後の満腹感、吐き気、胸のむかつき、食欲低下などを認めます。
 
原因は、腸管神経の損傷、ウイルス感染、手術の合併症などがありますが、糖尿病による自律神経障害でも認められます。
 
胃不全麻痺の人では、食後の血糖上昇が遅延し、超速効型インスリンを使用した場合に、食後低血糖を認める場合があります。
 
→ 糖尿病性神経障害 の解説
 
 

その他

 
一般的な吐き気の原因には、次のものが挙げられます。

  • 胃腸炎などの感染症
  • 脳出血、めまいなどの頭の病気
  • 心筋梗塞などの心臓の病気
  • 逆流性食道炎などの食道の病気
  • 胃炎などの胃の病気
  • 肝硬変・肝炎などの肝臓の病気
  • 胆嚢炎・胆石症などの胆嚢の病気
  • 膵炎などの膵臓の病気
  • 腎不全などの腎臓の病気
  • 腸閉塞などの閉塞性疾患
  • バセドウ病・副甲状腺機能亢進症などの内分泌疾患
  • 神経性食思不振症・うつ病などの精神の病気
  • 抗がん剤・抗不整脈薬などの薬物
  • 悪性腫瘍
  • 妊娠
  • アルコール

 
上記の原因による吐き気は、糖尿病ではない人にも生じます。
 
ただし、一部の病気は、糖尿病の人は、糖尿病でない人と比較し、より発症しやすくなります。
 
これらの病気は、問診、身体診察、血液検査、画像検査などを行って鑑別します。
 
 
 
 
 

吐き気の原因が知りたい時は主治医に相談しよう。

 
吐き気には、糖尿病が原因となっている吐き気以外にも、さまざまな病気から生じるため、吐き気の原因が知りたい時には、自己判断せず、主治医の先生に相談することを推奨します。
 
吐き気の診断を行う上で、

  • 吐き気の出現する時間(食前、食後)
  • 吐き気が出現した経緯(いつから、どのように)
  • 吐き気以外の症状(発熱、下痢、痛み など)

 
以上の情報は、吐き気の原因を特定するのに役立ちます。
 
吐き気が続いている場合には、以上の情報を記録し、医師に相談しましょう。
 
 
 
 
以上が、糖尿病で生じる吐き気の原因です。
 
糖尿病でお困りなら、糖尿病の専門家にご相談下さい。
 
 
 
 
参考文献
 
メトホルミン塩酸塩錠の添付文書
 
ビクトーザの添付文書
 
セイブルの添付文書
 
岡安伸二 他.メトホルミン塩酸塩による下痢発現のリスク要因の解析と下痢予防のための対策立案 医薬ジャーナル 49巻6号 (2013年6月)
 
 
 
 
→ 「糖尿病内科 in 名古屋」のブログ記事一覧
 
 
 
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文責・名古屋市名東区 糖尿病内科 アスクレピオス診療院 糖尿病専門医 服部 泰輔 先生
 

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