動悸とは、普段は気にならない心臓の拍動が自覚される症状です。
動悸を自覚するときには、心臓が力強く拍動したり、普段と比べて、脈が速くなったり、脈が飛ぶように感じられることがあります。
高血圧は自覚症状に乏しい病気であり、高血圧そのものが、動悸の直接の原因となることは少ないのですが、高血圧に関係する病気が動悸を引き起こす場合があります。
今回は、高血圧と動悸の関係について解説します。
動悸とは
動悸は、心臓がドキドキするなどと表現されることがあります。
動悸は、心臓の拍動が速いとき、心臓の脈が不規則なとき、心臓が強く拍動するときなどに感じます。
動悸は、胸、のど、首に感じられます。
動悸は、多くの人が経験する症状ですが、動悸が常に重篤な病気の兆候であるとは限りません。
動悸を感じた時には、どうしたらよいですか?
動悸を感じる状況には、心臓が速く脈打っているとき、脈が不整になっているとき、心臓が強く拍動しているときがあります。
動悸を感じたときには、安静にして、自分の胸に手を当てるか、手首で脈を計測し、脈が速くないか、脈が飛んでいないかを確認しましょう。
次に、動悸の原因として、血圧が著しく高くなっている場合があるため、安静にしたのちに、正しい方法で血圧を測定しましょう。
動悸の自覚症状と共に、意識消失、胸の痛み、めまい、異常な発汗、立ちくらみ等があるときには、深刻な病気が発生している可能性があります。
動悸と共にこれらの症状がある場合には、速やかに医療機関に受診しましょう。
高血圧で動悸はおこりますか?
高血圧は、自覚症状に乏しい病気であり、高血圧そのものが、動悸の直接の原因になることは稀です。
ただし、著しく血圧が高い時(例 180/120mmHg以上)には、心臓が強く拍動するため、あなたは心臓の拍動を感じることがあります。
著しく高い血圧が高い状態を放置すると、さまざまな臓器に合併症が生じるため、生命に危険が及ぶ可能性があります。
自宅で血圧を測定し、高血圧が続く場合は、医師に相談しましょう。
動悸の原因
動悸は、さまざまな原因によって生じます。
高血圧と動悸の両方の原因になるもの、高血圧によって生じる病気による動悸、高血圧とは関係のない動悸の原因に分けて解説します。
高血圧と動悸をひきおこす病気
高血圧には、明らかな原因が不明である高血圧の本態性高血圧と、他の病気や原因があり高血圧をきたす二次性高血圧があります。
この二次性高血圧をきたす病気の中には、高血圧の原因になるだけではなく、脈の拍動を強めたり、脈を速くするものがあります。
動悸をきたす二次性高血圧の例としては、原発性アルドステロン症、褐色細胞腫、甲状腺機能亢進症、バセドウ病などの病気が挙げられます。
二次性高血圧の場合は、本態性高血圧と異なり、さまざまな自覚症状を伴う場合があるため、高血圧と共に、倦怠感、動悸、体重の増減など、何か気になる自覚症状を認めたら、専門家に相談しましょう。
二次性高血圧の原因
- 腎性高血圧(腎実質性疾患、腎嚢胞、腎腫瘍など)
- 腎血管性高血圧(動脈硬化症、繊維筋性形成異常)
- 副腎性高血圧(原発性アルドステロン症、クッシング症候群、褐色細胞腫 他)
- 閉塞性睡眠時無呼吸症候群
- 神経性高血圧(心因性、家族性自律神経異常症、頭蓋内圧亢進)
- 甲状腺機能異常(甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症)
- 高カルシウム血症
- 先端巨大症
- 薬物性高血圧(エストロゲン、副腎皮質ステロイド、抗うつ薬、NSAID等)
動悸をきたす高血圧の合併症
高血圧は、心臓に負担をかけるため、さまざまな心臓の病気のリスクになります。
高血圧でおこる心臓の変化としては、全身に血液を送るポンプの役割を果たしている左室という心臓の筋肉の肥大(左室肥大)が一般的です。
また、高血圧が長期間続くと、心臓が疲弊して、心臓のポンプ機能が低下する心不全という病気をきたすことがあります。
高血圧によって生じる心臓の合併症の中で、動悸の原因になるものとしては、心房細動、上室性不整脈、心室性不整脈などの不整脈疾患、心臓の弁の病気(心臓弁膜症)が代表的です。
動悸をきたすその他の原因
動悸は、次のようなさまざまな原因で生じます。
高血圧と関連しない動悸の原因
- 運動
- ストレス
- 発熱
- 脱水
- 低血糖
- 電解質異常
- 貧血
- 月経、妊娠、更年期障害などのホルモン変化
- 低血圧
- カフェイン
- アルコール
- タバコ
- 違法薬物(コカイン、アンフェタミン)
- 薬の副作用(気管支拡張薬、β刺激薬など)
動悸をきたす原因には、自分自身で治せるものから、治療が必要なものまであります。
また、血液検査や心電図などの検査を行わないと、動悸の原因が判明しない場合があります。
動悸の症状が続く場合には、医師に相談しましょう。