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糖尿病でインスリンを導入するとやめられないって本当?

糖尿病でインスリンを導入するとやめられないって本当?

公開日: 2020年7月13日

最終更新日: 2020年7月16日

「概要」
 
糖尿病はインスリンの作用不足により、高血糖をきたす疾患です。
 
糖尿病の治療では、不足しているインスリン作用を補うために、インスリンを導入する事があります。
 
一旦、導入したインスリンは、肥満や清涼飲料水の多飲によって一過性の高血糖をきたした人では、血糖値を正常化し、糖毒性を解除した後にインスリンから離脱できる場合があります。
 
しかし、一方で、1型糖尿病の人やインスリン分泌が高度に低下している高齢の糖尿病の人では、離脱できないことがほとんどです。
 
 
 
よくある糖尿病の質問について、糖尿病のエキスパートがお答えします。
 

「質問」

 
糖尿病で血糖値が高くなり、インスリン療法を導入しました。
 
将来的に、インスリンから離脱したいと考えているのですが、糖尿病を内服薬のみで治療する事はできますか?
 
 
 
 

「解答」

 
糖尿病の血糖管理のために、インスリン療法を導入した人が、将来的にインスリンから離脱できるかどうかは、ケースバイケースです。
 
糖尿病は、インスリンの作用不足により高血糖をきたす病気です。
 
インスリンの作用不足が生じる原因には、

  • 膵臓からのインスリン分泌が低下している場合
  • 肥満などによって、インスリンは分泌されているものの、インスリンが効きづらい(インスリン抵抗性が高い)場合

 
以上の二つのパターンがあります。
 
インスリンは生命維持に必要なホルモンです。
 
インスリンの作用が完全になくなると、人は生存できません。
 
そのため、自分の膵臓からのインスリン分泌が高度に低下したり、枯渇している人は、インスリンを中止する事はできません。
 
逆に、肥満によって、インスリンが効きづらくなり、高血糖をきたしているタイプの糖尿病(肥満インスリン抵抗性型糖尿病)の人では、食生活や運動習慣を見直し、体重を減らすことができれば、インスリンが効きやすくなり、インスリンから離脱できる場合があります。
 
では、それぞれの具体例について解説していきます。
 
 
 
 
糖尿病治療でインスリン療法から離脱できる?
 
 
 
 

インスリンからの離脱が困難な例とは

 
膵臓からのインスリン分泌が高度に低下したり、枯渇すると、インスリンからの離脱は困難であると説明しました。
 
では、インスリンからの離脱が困難となる例としては、どのようなものがあるのでしょうか?
 
インスリンの離脱が困難な例には、

  1. 非肥満・痩せ型の高齢者の糖尿病(非肥満・やせのインスリン分泌不全型糖尿病の高齢者)
  2. 1型糖尿病
  3. 膵臓全摘後の膵性糖尿病

 
以上の三つが挙げられます。
 
 

(1)非肥満・痩せ型の高齢者の糖尿病

 
一般的に、糖尿病を発症した時点で、すでに膵臓からのインスリン分泌は半分程度に低下していると言われています。
 
そして、糖尿病を発症した後も、加齢とともにインスリン分泌は徐々に低下していきます。
 
(現時点では、人の加齢に伴うインスリン分泌の低下を抑える方法(=膵臓のβ細胞を再生させる方法)は報告されていません。)
 
糖尿病を患っている方の中には、食事療法や運動療法を頑張っていても、年を取るにつれて、HbA1cが徐々に上昇し、内服薬の量と種類が増えていくことを感じてみえる方もいるのではないでしょうか?
 
数種類の内服薬を使用しても、血糖コントロール不良の状態が続くようになったときに、インスリン療法は導入されます。
 
インスリンの導入が必要になった時点で、自分の膵臓から分泌されるインスリン量はかなり低下しています。
 
また、年齢とともに徐々に悪化していく病気は、年を取ることで良くなることはまずありません。
 
以上から、インスリン分泌の低下した非肥満・やせの高齢者では、一旦、インスリン治療が必要になると、インスリンからの離脱は困難です。
 
ただし、超高齢者や重度の認知症の人などで、自分でインスリンを打てなくなってしまった場合には、生命予後が悪化するのを承知の上で、インスリンを中止する場合があります。
 
 

(2)1型糖尿病

 
1型糖尿病は、免疫異常により、膵臓のβ細胞が破壊され、インスリンの分泌が低下していき、やがて、インスリンの分泌が枯渇してしまう病気です。
 
インスリン分泌が一定以上に低下すると、生命維持が困難となるため、インスリン療法が必要になります。
 
→ 糖尿病の成因分類(1型・2型・妊娠・その他)の記事
 
 

(3)膵臓全摘後の膵性糖尿病

 
膵臓を全摘すると、インスリン分泌が枯渇するため、インスリン療法が必要です。
 
 
 
 

インスリンからの離脱が可能な例とは

 
インスリンからの離脱が可能な例は、

  1. 肥満インスリン抵抗性型の糖尿病
  2. 清涼飲料水や暴飲暴食などで一過性に血糖値が上昇した糖尿病

 
以上が代表的です。
 
 

(1)肥満インスリン抵抗性型の糖尿病

 
冷蔵庫に食べ物を押し込んでいくと、徐々に食べ物が入りづらくなります。
 
人体も同じようなもので、太れば太るほど、同じ量の糖分を身体に押し込むのに必要なインスリン量は多く必要になります。(インスリン抵抗性と呼びます。)
 
太り過ぎで、インスリンが効きづらくなっている糖尿病の人は、痩せれば、インスリンの効きがよくなるため、インスリンを中止できることがあります。
 
 

(2)清涼飲料水や暴飲暴食などで一過性に血糖値が上昇した糖尿病

 
もともと、糖尿病の人や糖尿病になりやすい人が、清涼飲料水や暴飲暴食などをすると、血糖値が数百mg/dl以上に非常に高くなったまま、下がってこなくなることがあります。
 
(ペットボトル症候群(清涼飲料水ケトーシス)などと呼ばれます。)
 
血糖値があまりに高くなると、膵臓が故障してしまい、インスリンが分泌されづらくなったり、全身のインスリンの効きが悪くなります。(糖毒性と呼ばれます。)
 
このような時には、治療として、高血糖のために弱っている膵臓を休めるために、インスリンを導入することがあります。
 
インスリンを導入し、血糖値を正常化すると、糖毒性が解除され、膵臓からのインスリン分泌が回復します。
 
インスリン分泌の改善の程度によっては、インスリンから離脱できる場合があります。
 
ただし、糖毒性を解除しても、インスリンから離脱できるほど、インスリン分泌が思ったよりも改善しないこともある事に注意が必要です。
 
 
 
 
以上が、インスリンを導入した後に、インスリンから離脱できる場合と、離脱できない場合について例を交えて解説しました。
 
実際の臨床では、インスリンから離脱可能かどうかを判断する際には、

  • 年齢
  • 糖尿病の病歴・治療歴
  • 糖尿病の合併症の状態
  • 薬を代謝する肝臓や腎臓の機能
  • 現在のインスリンの投与量
  • 血液中のインスリン濃度や、インスリン分泌の指標となるCペプチドの値

 
などを総合して判断しています。
 
糖尿病のことでお困りなら、糖尿病の専門家にご相談下さい。
 
 
 
 
→ 「糖尿病内科 in 名古屋」のブログ記事一覧
 
 
 
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文責・名古屋市名東区 糖尿病内科 アスクレピオス診療院 糖尿病専門医 服部 泰輔 先生
 

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