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HbA1cが異常に低い時の原因とは

HbA1cが異常に低い時の原因とは

公開日: 2019年12月10日

最終更新日: 2019年12月20日

 
HbA1cは、過去2カ月から3カ月間の平均血糖値を表す指標です。
 
HbA1cが異常に低い場合に考えられる原因としては、

  • 平均血糖値が低い
  • 赤血球寿命が短く、新しい赤血球が増えている
  • 異常なヘモグロビンが存在する

 
以上が考えられます。
 
平均血糖値が低い場合には、血糖降下薬やインスリン投与、インスリノーマのような腫瘍により、頻回に低血糖を生じている可能性があります。
 
赤血球寿命が短い、新しい赤血球が増える原因には、慢性出血や溶血、肝硬変、腎不全での造血剤投与、輸血などの影響が考えられます。
 
HbA1cの異常な低値を認めた場合には、次のような事を行い、原因を究明していきます。

  • 上記の病気の検索
  • 他の血糖コントロールの指標(グリコアルブミンなど)の測定
  • 一日の血糖推移(平均血糖値や低血糖の有無)と、HbA1cに乖離がないかの確認
  • 異常ヘモグロビンの検査

 
(ただし、一部の検査には保険適応がありません。)
 
 
HbA1cが異常低値となる原因
 
 

 
 
 
 

HbA1cとは

 
HbA1cが低くなる原因を説明する前に、HbA1cについて説明します。
 
HbA1cは、ヘモグロビンエーワンシーと読み、赤血球内のヘモグロビンが血液中の糖分(グルコース)と結合した糖化タンパク質の一種です。
 
血液中の糖分が多くなるほど、糖化されやすくなるため、平均血糖値が高いほど、HbA1cは高くなります。
 
また、ヘモグロビンが糖化されるのには時間がかかるため、赤血球の寿命が長いほど、HbA1cは高くなるという特徴があります。
 
(*赤血球の寿命は、約120日です。古くなった赤血球は、脾臓で壊されます。)
 
各検査機関では、HbA1cの基準値(=健常者の95%の人が含まれる値)は、4.6% ~ 6.2%とされています。
 
米国の若年者の健常者のHbA1cの平均は、5%であり、ほとんどの人は、4.2% ~ 6.0%の間に含まれます。
 
→ HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)とは の記事
 
→ HbA1cの基準値 の記事
 
→ 小児から20代の平均HbA1cはどのくらい? の記事
 
 
 
 

HbA1cが低くなる原因

 
HbA1cが低くなる原因として考えられるのは、次の3パターンがあります。

  1. 平均血糖値が低い
  2. 赤血球の寿命が短い、または、新しい赤血球が増える。
  3. 赤血球のヘモグロビンに異常がある。

 
 

平均血糖値が低い

 
平均血糖値が低いと、HbA1cは低くなります。
 
健常者の血糖値は、70mg/dl ~ 99mg/dlの範囲内に維持されています。
 
血糖値が70mg/dlを下回ると、低血糖と呼ばれます。
 
低血糖をきたす多い状況としては、糖尿病の治療中や、インスリンを分泌する腫瘍(インスリノーマ)がある場合などが挙げられます。
 
低血糖についての詳細な説明や、低血糖のきたす原因・病気については、下記の記事を参照して下さい。
 
→ 血糖値の正常値はいくつ? の記事
 
→ 低血糖症 の記事
 
→ 糖尿病ではない低血糖の原因とは の記事
 
 

赤血球の寿命の短命化と、新しい赤血球の増加

 
赤血球の寿命が短くなり、新しい赤血球が増えると、HbA1cは低くなります。
 
これは、赤血球のヘモグロビンが糖化されるのに、時間がかかるためです。
 
赤血球の寿命が短くなり、新しい赤血球が増える原因には次のものが挙げられます。

  • 慢性出血
  • 溶血性貧血
  • 肝硬変の一部
  • 透析

 
赤血球の寿命が短くなると、新しい赤血球が作られます。
 
大腸がんなどで、慢性的に出血すると、赤血球寿命が短くなります。
 
溶血性貧血という赤血球が壊れてしまう病気でも、赤血球寿命は短くなります。
 
肝硬変により、脾臓が大きくなると(脾腫)、赤血球が壊されやすくなります。
 
透析中は、赤血球寿命が 60日と短くなり、透析による失血や出血、エリスロポエチン製剤投与により、HbA1cは、平均血糖値と比較して、低くなります。
 
また、新しい赤血球が増えるのは、下記の時です。
 

  • エリスロポエチン投与時
  • 貧血からの回復時
  • 輸血後

 
新しい赤血球が増えると、血液が希釈され、HbA1cは低くなります。
 
造血剤であるエリスロポエチンを投与した時や、鉄欠乏性貧血などの貧血からの回復時、輸血時などが挙げられます。
 
 

赤血球のヘモグロビン異常

 
赤血球のヘモグロビンに異常がある場合には、上手くHbA1cを計測できなくなる時があります。
 
日本人の異常ヘモグロビン症は、約3000人に1人の割合でいます。
 
すべての異常ヘモグロビン症で、HbA1cが低値になるわけではなく、HbA1cの異常を伴う異常ヘモグロビンには、Hb Camperdown、Hb Fukuoka、Hb Philadelphia、Hb Wayne、Hb Raligh、Hb Shizuokaなどがあります。
 
異常ヘモグロビンでHbA1cが低くなる理由としては、次の通りです。
 
HbA1cの測定方法は、HPLC法、免疫法等があります。
 
異常ヘモグロビンは、これらの検出過程に影響を及ぼします。
 
HPLC法の場合は、クロマトグラムの溶出に影響を与えたり、免疫法では、抗原抗体反応の生じる部位に影響を及ぼします。
 
→ HbA1cの測定方法の種類と特徴 の記事
 
 
 
 

HbA1cが異常に低い場合の対応

 
HbA1cが異常に低い場合には、次の事を行います。

  1. HbA1cが低くなる病気や原因(慢性出血など)を鑑別する
  2. 血糖推移を把握するために、他の血糖コントロールの指標を測定する
  3. 異常ヘモグロビンの有無を検査する

 
はじめに、上述した病気を鑑別します。
 
一般的な血液検査に加えて、胃がんや大腸がんなどの消化管からの慢性出血も考えられるため、便潜血検査や上下部の内視鏡検査を行う場合もあります。
 
次に、現在の本当の血糖推移を把握するために、日内の血糖値を測定したり、他の血糖コントロールの指標として、1.5-AGや、グリコアルブミンなどを測定します。
 
→ 1,5-AG(1,5-アンヒドログルシトール) の記事
 
→ グリコアルブミン(糖化アルブミン)の記事
 
それでも、原因不明な場合には、異常ヘモグロビンの有無を検査する場合があります。
 
一部の検査は保険適応外です。
 
 
 
 

以上が、HbA1cが異常低値を示す病気や状態の解説になります。
 
HbA1cがあまりに低い場合には、一度、医療機関を受診して相談しましょう。
 
参考文献
  
Low HbA1c levels in a poorly controlled diabetic BMJ journal
 
古賀 正史 他 人間ドック受診時にHbA1cの異常低値を契機に発見した異常ヘモグロビン5例の解析 糖尿病 56(11), 841-848, 2013
 
 
 
→ 「糖尿病内科 in 名古屋」の記事一覧
 
 
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HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)って何?
 
糖尿病予防の解説 - 糖尿病になりやすい人・食事・運動・減量から薬物までのまとめ
 
隠れ糖尿病のセルフチェック - 予防・早期発見に必要な検査(血糖値・尿)などの項目を含めた解説
 
 
 
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文責・名古屋市名東区 糖尿病内科 アスクレピオス診療院 糖尿病専門医 服部 泰輔 先生
 

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